世界の名ボクサー:ジェームス・バスター・ダグラス①「史上最大級の番狂わせ男」
世界ヘビー級王者。東京ドームでタイソンを粉砕した男。世界王者になる前の試合。デビッド・ジョンソン戦、グレグ・ペイジ戦、トニー・タッカー戦ほかを紹介します。
ジェームス・ダグラス(アメリカ)
身長192cm:オーソドックス(右構え)
①ジェームス・ダグラス 10R 判定 デビッド・ジョンソン
(ヘビー級戦、1983年)
(感想:オハイオ州コロンバス出身の黒人ダグラス(「親子ボクサー」で、父ビル・ダグラスは「ダイナマイト」と呼ばれたミドル級の世界ランカー)。ニックネームは「バスター(破壊者)」。元々はバスケットボール選手だったが、その合間にアマチュアのリングにも上がっていた。プロ入りしたが、大柄なため油断すると体重が増えがち。デビュー6戦目でデビッド・ベイにTKO負け(ベイは後、ラリー・ホームズのIBF世界ヘビー級王座に挑戦、TKO負け)。13戦目ではステファン・タングスタッドと引き分け(タングスタッドは後、マイケル・スピンクスのIBF世界ヘビー級王座に挑戦、TKO負け)。以降は連勝。ジョンソン戦はプロ19戦目で、23歳。ジョンソン(25歳)はメリーランド州の黒人で、ニックネームは「Big Foot」。身長193cmのスリムなボクサータイプ。デビュー当初はまずまずの戦績だったが、上位陣相手に苦戦。レナルド・スナイプス、グレグ・ペイジ、ティム・ウィザスプーンらに連敗中。アトランチックシティでの一戦。濃いグリーンのトランクスのダグラス。ジョンソンは白。互いにジャブ。パンチの打ち方が良いダグラス。右ストレートに迫力があり、右ストレートからの左フック、右アッパー、左右フック。右ストレートからの左ジャブといった小技も使用。ジョンソンは接近戦でのボディフック、斜め下からの鋭い左フックに良さがある。互いにディフェンスし、決定打に欠く。攻めるダグラス。ジョンソンはスタミナとパワーに不足しており、受け身の姿勢に。10R終了。判定は2-0。映像では攻めたダグラスが勝ったように見えたが、ジャッジの一人はドローだった。後に世界を獲る右ストレート、右アッパーに光るものがあったダグラス。しかし、KOどころかダウンすら奪えず。当時のヘビー級はラリー・ホームズの時代。後にダグラスが世界ヘビー級王者になると誰が予想したろう? 一方のジョンソン。パワーで競い合うヘビー級でアウトボクサーは不利。モハメド・アリのように距離を取って戦うタイプでもいざというときはパワフルな攻めをしなければならない。左フックに強いものがあっただけにスタミナが続かなかったのが惜しい。その後、ジョンソンは再起戦でトニー・タッカーにKO負け。それが事実上のラストファイトとなった。)
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