世界の名ボクサー:ジョー・ルイス①「”人類の誇り”と呼ばれた男」

世界ヘビー級王者。世界王座25連続防衛。世界王者になる前の試合。リー・ラメージ戦(再戦)、プリモ・カルネラ戦、マックス・ベア戦、パウリノ・ウスクダン戦を紹介します。

ジョー・ルイス(アメリカ)
身長187cm:オーソドックス(右構え)

①ジョー・ルイス 2R KO リー・ラメージ
(ヘビー級戦、1935年)
(ダウンシーン)
2R:右フック、左フックでラメージが2度、ダウン
(感想:「褐色の爆撃機」と呼ばれ、世界王座を25連続防衛した伝説の世界ヘビー級王者ルイス(ゴルフ好きだったことでも有名)。身長は187cmでそれほど大きくないが、リーチは193cmあったという。本名「ジョセフ・ルイス・バロー」、生年月日「1914年5月13日」。アラバマ州生まれ。綿を摘む労働者の息子(父は精神の問題によりルイスと離れて暮らした)。17歳でボクシングを始め、アマ王者に。黒人が当たり前のように差別されていた時代。黒人ジャック・ジョンソンに苦い思い出がある白人ボクシング界はなおさら敏感で、黒人にはチャンスが与えられなかった。しかしながら、風向きに変化。プロボクシングはスポーツではあるが、結局は「人気商売」。白人中心のヘビー級はレベルが低下。ギャングがバックアップする選手による八百長試合などもあり、ボクシング界には「浄化」が求められていた。そういった状況で台頭してきたのがルイス。ジョンソンのように白人と対立したり、白人を挑発したりといったことがないよう細心の注意を払う生き方を心がけ、ついに世界戦のチャンス。ジョンソン以来、史上2人目の黒人の世界ヘビー級王者となり、人種を超えた魅力(強さ、穏やかな性格)により白人にも受け入れられるようになっていった(大変な人気者になったルイス。トレーニング・キャンプの周辺には多くの見物客。有料で練習を見物させたり、屋台が営業したりといった形でルイスのおかげで儲けた人がいたほど)。ラメージ戦はプロ二年目の試合で、再戦。初戦は8RでのTKOでルイスの勝利。ラメージはカリフォルニア出身の白人。カリフォルニア州王座を二階級制覇している(ライトヘビー級、ヘビー級)。ロサンゼルスでの一戦。相手に対して半身に構え、左のガードを下げた前傾姿勢から強いジャブを飛ばすルイス。ダッキングしながら前進し、打ち下ろすような右ストレート、猛烈な左右フック連打。左フックからの右ストレートといった現代でも使われているコンビネーションを自在に打ち込む。ラメージはひたすら足を使って距離を取る作戦。ワンツーやフック連打で反撃するが、相手の勢いに押され気味。2R、右フックでラメージがダウン。立つことができたが、次はそうはいかなかった。強烈な左フックで長々とぶっ倒れるラメージ。レフェリーがカウント中にタオルが投げ入れられて試合終了。なんとも恐ろしい強打でルイスが勝利。「古い時代のボクサー」には「古さ」を感じることが多いが(構え方、パンチの打ち方など)、ルイスのボクシングは現代でも通用する激しいモノ。白人に嫌われないよう言動に細心の注意を払ったというルイスだが、リング上では実に獰猛な攻めっぷり。ルイスの実力を認める白人も目の前で白人選手が思いっ切りぶっ倒されるのを見るのはさすがにいい気分がしなかっただろう。一方、死んだのではないかと思うほど強烈なKO負けを喫したラメージ。その後もカリフォルニアを主戦場にリングに。中堅どころでキャリアを終えた。)

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