世界の名ボクサー:イベンダー・ホリフィールド①「真の支配者」

世界クルーザー級、ヘビー級王者。デビュー初期の試合。ライオネル・バイアーム戦、エリック・ウィンブシュ戦、フレディ・ブラウン戦ほかを紹介します。

イベンダー・ホリフィールド(アメリカ)
身長188cm:オーソドックス(右構え)

①イベンダー・ホリフィールド 6R 判定 ライオネル・バイアーム
(クルーザー級戦、1984年)
(感想:世界クルーザー級王座を統一し、世界ヘビー級王者にもなった二冠王ホリフィールド。かつては「世界ライトヘビー級王者は世界ヘビー級王者にはなれない」などと言われたものだが、マイケル・スピンクスがラリー・ホームズを破って以来、下の階級から上がった選手が世界ヘビー級王者になることはそれほど珍しいことではなくなった感がある。しかしながら、ホリフィールドの時代のヘビー級王者はあのマイク・タイソン。「いくら強くても所詮クルーザー級」と言われたホリフィールドがジェームス・ダグラスを下して世界ヘビー級王者に。それからはまるで「ベルトコレクター」であるかのように敗北しても王座を奪回。長期に渡り世界ヘビー級戦線のトップクラスであり続けた。ホリフィールドはアラバマ州生まれ。その後、一家でジョージア州へ(非常に貧しかったらしいが、本人は「家族との暮らしが楽しかった」とポジティブに少年時代を回顧している)。子供の頃はフットボーラーに憧れたこともあったが、8歳でボクシングを始める。元々身体は大きくなかったが、急速に成長。アマチュアで好戦績。しかしながら、ロス五輪では痛恨のミス(レフェリーの指示が聞こえず、相手を攻撃して反則負け)により銅メダルに終わる。しかしながら、これによって「無冠の帝王」とマスコミから呼ばれるようになり、逆に「金メダリスト」よりも目立つことになった。そして、ダン・デュバの「メインイベンツ社」と契約。ルー・デュバの指導もあってプロで快進撃。「The Real Deal(真の支配者)」などと呼ばれ、莫大なマネーを稼ぐトップ選手に。しかしながら、急速にビルドアップされた身体に世間から疑問も(ドーピングの疑いアリ)。バイアーム戦はプロデビュー戦。オリンピックメダリストが登場する「ナイト・オブ・ゴールド」と呼ばれる興行が舞台。デビュー戦にもかかわらずファイトマネーは何と「7万5000ドル」。バイアームはペンシルベニア州フィラデルフィアの黒人。これまで9勝(4KO)1敗2分。ペンシルベニア州王座(ライトヘビー級)を獲得している。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦(リングアナは名物男エド・デリアン。会場では俳優テリー・サバラスが観戦)。共に22歳。バイアームはリディック・ボウに似た顔(ホリフィールドはよくよくボウと因縁があるようだ)。この頃はスリムなホリフィールド(赤いトランクス。ベルトラインは青)。リズムを取りながらジャブ、ワンツーからの左フック、左フックからの右ストレート。既に基本形はできており、パワーもある。バイアーム(シンプルな黒トランクス)はジャブ、ストレート。右ストレートからの左ジャブといったテクニックを持ち、右ストレートに自信がある様子。接近戦。互いにストレート、フック、ボディ打ち。攻撃の正確さ、ディフェンスでホリフィールド。しかし、バイアームも反撃。4R、ホリフィールドが右アッパー。5R、バイアームがボディ連打。互いに手数を出して6R終了。判定は3-0。ホリフィールドが後に大きな試合でも見せるパンチ(コンビネーション)、ディフェンスで勝利。倒せなかったが、良い動きだった(観客が6R終了後にスタンディング・オベーション)。バイアームもよく頑張った。その後、バイアームは勝ったり負けたり。最後はタオウフィック・バルボーリ、ネイト・ミラー(共に後、WBA世界クルーザー級王座獲得)らに連敗してキャリアを終えた。)

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