世界の名ボクサー:ジョー・ルイス⑦ラスト「”人類の誇り”と呼ばれた男」

世界ヘビー級王者。世界王座25連続防衛。全盛を過ぎてカムバック&引退後の苦難。エザード・チャールズ戦、リー・サボルド戦、ロッキー・マルシアノ戦を紹介します。

ジョー・ルイス(アメリカ)
身長187cm:オーソドックス(右構え)

①エザード・チャールズ 15R 判定 ジョー・ルイス
(NBA世界ヘビー級タイトル戦、1950年)
(感想:チャールズがタイトル防衛。ジャージー・ジョー・ウォルコットをKOして25度目の世界王座防衛に成功したルイス。王座を返上して引退。これまで稼いだ大金で悠々自適かと思われたが、さにあらず。何と巨額の税金を滞納。これが払えないルイスはカムバックを決意(後にモハメド・アリも「オレが大金を稼げるのはボクシングしかない」という理由で無謀なカムバックをした)。二年ぶりのカムバック戦が世界挑戦。王者チャールズはジョージア州出身で、貧しい農家の生まれ。家族に守られ、悪事とは無縁の好青年。アマチュアボクシングでは無敗でミドル級王者になったことも。プロではライトヘビー級で勝負し、へビーに転向。NBA王座(WBAの前身にあたる組織。後に「N」が「W」になって一時的に唯一の「世界王座認定団体」となった)をウォルコットとの決定戦で獲得。これまで三度の防衛に成功している。 ブロンクス「ヤンキースタジアム」での一戦。36歳のルイス。それ以上に老けて見える(50歳ぐらい)。試合開始。共に左手を少し下げた構えからジャブ。王者チャールズが距離を取ってジャブ、右ストレート、振りが少し大きめのフック。ルイスはジャブを出すが、動きとパンチにキレがない。ただ、フックにはパワーを少し感じる。距離を取るチャールズを追うルイスだが、追う足がない。接近戦ではもみ合い。左目を腫らしながらもチャールズがジャブ、右ストレート、左フックでポイントを取る。14R、右フックが効いたルイスはクリンチでピンチをしのぐ。ルイスも左目を腫らして15R終了。判定は3-0。チャールズが王者らしくない「下がりながらの反撃」で勝利。ルイスはこれが限界。全盛期なら軽く始末したであろう相手を追い掛けてぶっ飛ばすパワーも勢いもなかった。その後のチャールズ。王座を守り続けたが、ウォルコットに雪辱されて王座陥落。再戦にも敗北し、王座返り咲きならず。ロッキー・マルシアノが新王者になり、挑戦したが勝てず。キャリア終盤は敗北が増えていったが、全盛期はライトヘビー級時代だったと現在では評価されている。)

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