世界の名ボクサー:ティム・ウィザスプーン①「恐怖の強打」

WBA・WBC世界ヘビー級王者。テリブルな強打。世界王者になる前の試合。ジェリー・ウィリアムス戦、アルフォンソ・ラトリフ戦、レナルド・スナイプス戦ほかを紹介します。

ティム・ウィザスプーン(アメリカ)
身長192cm:オーソドックス(右構え)

①ティム・ウィザスプーン 7R TKO ジェリー・ウィリアムス
(ヘビー級戦、1981年)
(ダウンシーン)
7R:連打でウィリアムスがダウン
(感想:「テリブル」ウィザスプーンはペンシルベニア州フィラデルフィア出身の黒人ハードパンチャー。アマチュアのリングに上がっていたが、フットボールを選択。しかしながら、フットボールの方はケガでうまくいかなかったらしく、勧められてボクサーに。アマチュアではわずか五試合のみ。1979年にプロに転向。激しいスパーリングで上達(ゲーリー・クーニーを打ちのめしてスパーリングパートナーをクビになったことも)。1980年、ラリー・ホームズ戦を控えていたモハメド・アリとスパーリング。その時、アリから「テリブル(凄い奴)」と言われたのがニックネームの由来。デビュー以来、全勝。ウィリアムス戦はプロ11戦目となる。ウィリアムズは中堅どころの黒人。ピンクロン・トーマスに敗北している(結果的に三度対戦)。フィラデルフィア「マーチン・ルーサー・キング・アリーナ」での一戦(TV解説席にWBA世界ライトヘビー級王者マイケル・スピンクス)。この頃は比較的スリムな体型のウィザスプーン。自慢の強打でひたすら前進、と思ったら、さにあらず。足で距離を取ってジャブ。ブロックしながら相手を迎え撃つ戦い方。ウィリアムスはファイタータイプ。ジャブを使いながら前に出て右ストレート、フックでボディ攻撃。接近戦ではフックの打ち合い。ウィザスプーンはロングフック、ウィリアムスはショートフック。共に右ストレートからの左フック。ウィザスプーンは受け身の姿勢ながらも左ジャブ、左ボディからの左フックといった左のテクニックを見せる。5R、左フック連打を浴びてウィリアムスがピンチ。7R、ウィザスプーンが畳み掛ける攻撃。連打でウィリアムスがダウン。立ったが、レフェリーストップ。ウィザスプーンが若手にしては老獪な試合運びで勝利。ディフェンスしながら相手が打ち終わった隙を突くフック攻撃が印象的だったが、フィニッシュの猛攻には「ただ者ではない」と思わせるような迫力があった。ウィリアムスはよく攻めたが、ブロックされてしまった。その後、ジェームズ・ティリスに敗北。ラストファイトはトニー・タッブスにKO負け。実力者には敵わなかった。)

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