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記事一覧
セミノンフィクション小説「悪行の履歴書」(23)
第1章 忌まわしい泡の思い出 第23回 ここから、変わる、始まる
「はー、ここが銀座かあ」
上京し、始めて会社に行った日のことは覚えている。
2回目の東京・・・1回目は高2の修学旅行、その時点から10年も前だ。
でも自由行動では渋谷と原宿しか行っていない、だからその時あたしは初めて銀座に訪れたのだ。
当時のパソルート本社は銀座と新橋の間のギリギリ銀座寄りにあった。業務拡大でオフィスが近隣の複
セミノンフィクション小説「悪行の履歴書」(19)
第1章 忌まわしい泡の思い出 第19回 泡の顛末
売れっ子だったあたしは当初の売掛やサラ金への借金は半年足らずで返済できた。でもストレスからホスト通いが止められず、シャブもやっていたので中々お金が貯まらない。
そしてソープ嬢になってから数年があっという間に過ぎ、気がつくと27歳になった矢先に事件を起こした。カネがないあたしはそれでもシャブの売人から何とかシャブを引き出そうと路上で揉めていた時、
セミノンフィクション小説「悪行の履歴書」(17)
第1章 忌まわしい泡の思い出 第17回 一歩踏み出す
身寄りのないあたしは高卒後は就職するのでもなく、当てもなく旭川から札幌に出た。旭川という街はあたしにとって単に生まれた場所に過ぎなかったからだ。
旭川から札幌に出ると札幌で就職した先輩のアパートを転々とした。
間もなくしてその先輩たちはあたしをウザがるようになったので、自分で部屋を借りるために家賃稼ぎにガソリンスタンドでバイトし始めた。だけ
セミノンフィクション小説「悪行の履歴書」(11)
第1章 忌まわしい泡の思い出 第11回 寒空に放り出された男ども
「ふう、疲れた」。
なんとかあのクライアントにも押し込むことができそうだ。
「じゃ、恵美、今日はフレックスで帰っていいから。カレにも宜しくー」
「はい!また今度飲みに行きましょうね!」
さて、会社に戻るか。
あたしは誰も信用しない、あの一見純粋そうな恵美でさえも。
「アイツ」が死んじゃった後、あたしは営業として狂ったように仕
セミノンフィクション小説「悪行の履歴書」(1)
第1章 忌まわしい泡の思い出 第1回 ダブルスコア
「ジリリリ・・・」
「うっさいな、もう!」
社員募集広告の事業からから始まった日本最大、世界屈指の大手複合メディア企業「リーチパーソン」。そこに勤務するあたしの一日は、けたたましい目覚まし時計のベルで始まる。
スマホのタイマー? ありゃダメだ。音量MAXでも絶対起きない。
あたしはその会社に20年ぐらい前に派遣社員として入って、やがて直接