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今の私の、半分以上。

(この文章は、2023年3月1日、当時高校3年生だった私が大学入試を終えた直後、これとは別のnoteアカウントで書き綴ったものになります。人様に読んでいただけるクオリティの文章ではありませんが、私という人間を伝える上で都合がいいのでここに置いておかせてください。)

 奮い立たせたい1日の始まりに「10時の方角」。戦線に向かう決意を固める時の「ファンファーレ」。妥協したくない目標に向かうためのマインドセットに「雨天決行」と「祝祭」。これから起こる奇跡を信じて「坂道、白を告げて」。

 憂鬱を振り切って新たな1日を一歩ずつ踏み出す為の「アルル」と、そんな憂鬱と絶望に溢れる毎日を肯定してあげる為の「Simple」、そして希望の見えない毎日に囚われた心を救い出してくれる「惰星のマーチ」。自己嫌悪に陥るくらい何もかもが上手くいかない日の帰り道に聴く「オレンジ」。散々な昨日までの柵を祓って気持ちを一新させたい時は「Jasmine」。もう後へ引けない状況への覚悟が決まったら「New World」。

 叶いもしないのに誰かを好きになった日の「願い」、その愛憎の愛より憎が強くなれば「No.5」、終わりを見据え始めた時に「アンコール」、後悔ばかりを抱えて歩く「アネモネ」、そんな後悔と訣別する為の「Late Show」。少し嬉しいことがあった日には「Lovers」、この先に続く幸せを浮かべて「ここから見える景色」、あと「「伝言歌」」。

 sumikaはいつだって僕の取り留めのない日常に寄り添ってくれる。毎日のすごく微細な精神状態の変化に合わせて、一つ一つの楽曲ごとに全然違うアプローチで僕の心に触ってくれる。僕がsumikaに出会ったのは確か中学2年生の頃。全然バンドなんて聴かないし興味もない人間だったけど、YouTubeで見た「フィクション」や「ファンファーレ」、「MAGIC」と言った楽曲のMVに心を掴まれて、ほんの少しだけど初めて一組のバンドに対して興味を抱いた。本気で好きになったのは多分高校1年生の冬くらいだろうか。少なくともそれからの僕の高校生活は、どのフェーズにもsumikaの楽曲が彩りを添えてくれた。僕の生活の主題歌も劇中歌もインスパイアソングも全部sumikaの楽曲だった。sumikaが楽曲の中で構築する居場所に何よりの居心地の良さを感じていた。特に受験期になってからはどれほど救われたことだろうか。sumikaの楽曲はどれも受験生の味方だと思っている。sumikaのお陰でこの生活を乗り切れているんだろうな。そう強く信じていた。

 2月24日。国公立大学入試1日目の前夜。現地のホテルで、明日のための支度を終えていつもより早めに就寝しようとした僕は最後にLINEを開いた。飛び込んできたのは、僕にとってのヒーローの訃報だった。当然、その事実をすぐに飲み込むことはできなかったし、疑うことしかできなかった。ついこの前までツアーやってたよね、しかもこの前映画の発表あったよね。確か5月には横浜スタジアムでアニバーサリーライブやるんだよね。全然整理がつかない。TEN to TENには参戦できなかったけど、次のツアーには絶対に行くつもりだった。というか、11月に地元富山で公演があったのに迷った末で諦めた。受験期だったし。あの時無理にでも行けばよかったのかな。とりあえず、簡単に消化できる知らせではなくて、入試前日にして僕の積み重ねてきたものが一瞬で崩れ去ったような感覚だった。

 でも僕だってこの日のためにそれなりにやってきたつもりだ。引き返すことなんてできない。きっとsumikaは今も僕の背中を押してくれている。sumikaは、すぐに妥協してしまうしすぐに自信を失ってしまう脆弱な自分が受験期を乗り切れるよう使命が課せられていて、あの日、遂にその使命を全うしたんだ。そんなはずがないし独りよがりに過ぎないことくらい分かっていたけど、でもそう割り切ることしかできなかった。大丈夫、僕は戦える。だってsumikaがついているんだから。あの夜もsumikaを聴きながら眠りについた。「10時の方角」「ファンファーレ」「Simple」「New World」「坂道、白を告げて」——— "極刑でもどうぞ"。翌朝、覚悟を決めて戦前に赴いた。

 sumikaがいなかったら、僕はこうしてあの日受験会場に向かうことも叶わなかったと思う。相変わらず脆弱な自分だけど、受験期の生活の中で多少は強くなれたと思っている。ファンクラブにもまだ入れてないし、ライブにも行ったことがないし、アルバムも2作しか持っていない。まだsumikaのことを全然知らないし、sumikaのファンを名乗るには不相応かもしれない。それでも僕はずっとsumikaに救われて生きている。感謝なんて多分一生かけても追いつかないけど、きっとこの先も救われ続けるんだろうな。

 伝えたい、全部あなたに。今の私の半分以上があなたで出来ていたと気づいたから。

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