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『旅の空』ネパールの旅 憧憬のヒマラヤの向こうに 15

15日目~17日目 パンボチェ(3985m) → ナムチェバザール(5845m) → ルクラ(2840m) → カトマンズ(1200m)

 それからの3日間は、出発地のルクラまで下山を続けることになる。すべてのピークを踏み、安堵感と達成感に包まれながら、ぼくたちは歩いていた。下山途中にあるタンボチェには、チベット仏教の重要な僧院(ゴンパ)があり、そこで、その世界を、ほんのちょっとだけ、かいま見ることができたりする。これは、とっても貴重な経験で、なんというか、その荘厳な読経は、信じるものを持つ強さというやつを、ぼくに伝えているようだった。

タンボチェのゴンパ(僧院)

 歩行距離約148km、17日間に及ぶ山での暮らしは、なんだかとてもシンプルだった。もちろん、旅行者として無責任に関わっているから言えることなのだけれど、やっぱり山の人々の暮らしは、どこか地に足がついていて、自然な感じがしたのだ。

 ルクラでカトマンズ行きのセスナ機に乗り込む。山の暮らしが心地よかったとはいえ、やはり都会の便利さが恋しい。ぼくは、眼下にひろがる少し茶色い農村風景を眺めながら、カトマンズ盆地での過ごし方を考えていた。

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