『旅の空』ネパールの旅 憧憬のヒマラヤの向こうに 17
カトマンズで何をしようか。あては無い。もそもそと起き出して、昼ご飯を食べに外へ出る。そして、山で書き溜めていた手紙を郵便局で出した。まったく、それは束のように分厚くなっていた。
さて、今日はスワヤンブナート寺院に出かけよう。宿からかなりの距離があったが、歩いていくことにした。騒がしい街を抜けて、西へひたすら歩いていくと、それは小高い丘の上にそびえていた。すっかり観光地となっているその場所は、それでも地元の人々の信仰をあつめる立派なお寺で、それは荘厳な異空間でもあった。
宿のあるタメル地区に戻り、商店街をうろうろしていると、見覚えのある日本人を見かけた。バンコクのドンムアン空港で会った、京都の大学院生の彼だ。あまりにぼくの人相が変わっていたからか、彼は最初ぼくのことが分からなかったらしい。互いの旅の過程を報告しあい、その時はあっさり別れたのだが、夕食に入った食堂でまた一緒になった。
こうまで一緒になるなら、縁があるのでしょう、ということで、ともに食事をし、メールアドレスの交換もした。その席で、旅行者としてのぼくたちは、ぼくたちなりに、カトマンズの街の変遷や、タメル地区(旅行者エリア)のゆがんだ発展も含めて、日本での日常やらそれぞれの抱えている課題など、ずいぶん色々なことを、長いこと話し込むことになったのだった。
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