ゲーム業界あるある物語①:曲がったハンマー
■曲がったハンマー
「曲がったハンマー」とは?
一種の「大企業病」のようなものです。
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あるプロジェクトに入って「曲がったハンマー」を渡されます。
そしてこのハンマーでクギを打てと言われます。
「なんで曲がったハンマー!?
クギが打ちにくいじゃん!!
なんで誰もこのハンマーをまっすぐに正そうとしないの!?」
とほとんどの人が思います。
しかし、しぶしぶ曲がったハンマーでクギを打っていると、そのうち慣れて、クギが打てるようになってしまいます。
そしてクギが打てるようになると、もうハンマーをまっすぐに正そうとは思わなくなってしまいます。
何故ならハンマーをまっすぐに正すのは、それはそれで大変だからです。
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はじめてのプロジェクトに入った時に
「なんでこんな方法で仕事してるの?」
「なんで誰もこれを正そうとしないの?」
ということはありませんでしょうか?
これが「曲がったハンマー」です。
「曲がったハンマー」とは、プロジェクトの変なルールやワークフロー、作業手順などのことです。
そして「クギ」とは実際の業務や作業を表しています。
最初は「変だなー。やりにくいなー。」と思っていた作業も、慣れてしまえばなんとも思わなくなってしまうことってありませんか?
■「曲がったハンマー」は何故生まれるのか?
もちろん誰だって曲がったハンマーを作ろうなんて思いません。
最初は「まっすぐで仕事のしやすいハンマーを作るぞ!」と意気込みます。
しかし、いざ始めてみると、予期せぬトラブルや余計な圧力、様々なしがらみでまっすぐなハンマーを作れません。
そして気力と体力をどんどん削られ、「その場対応」「妥協」などが増え、ついにはハンマーのコントロールを失ってしまいます。
そうした紆余曲折の果てに何とか完成させますが、最終的にハンマーを俯瞰してみると、見事に曲がったハンマーが出来上がってしまうというわけです。
■なぜハンマーを正そうと思わなくなるのか?
曲がったハンマーには改善できる部分もあります。
そうした部分は気づいたらすぐに補正しますが、全体から見れば誤差の範囲で、ハンマーはまだまだ曲がったままです。
そうしたハンマーですが、それでも仕事はまわっています。
こうなると、補正はするものの、抜本的にハンマーをまっすぐに正そうとは思わなくなります。
何故ならハンマーをまっすぐに正すということは、もうほとんど最初から作り直すに等しいからです。
その労力の膨大さを天秤にかけ「それなら今のままで仕事をやり続けた方がいいか…。」となってしまうわけです。
■人によっては曲がったハンマーも曲がっていない?
また、自分にとっては曲がったハンマーでも、相手にとってはまっすぐなハンマーである場合もあります。
この場合、力関係でどちらのハンマーが優先されるかが決まってしまって、負けた方はしぶしぶ曲がったハンマーで仕事を続けるしかなくなってしまいます。
■どうすれば曲がったハンマーはなくせるのか?
「過去の成功事例や踏襲にとらわれない。」「常に新しい技術や考え方を取り入れ組織を進化させていく。」「目上や目下という上下関係をなくし、フラットな人間関係を構築する。」などなど、色々ありますが、どれも「大企業病」に陥らないための施策に似ています。
そしてこれらの実現は非常に難しいです。
大昔から「大企業病」の危険性については警鐘が鳴らし続けられていますが、それでも尚、多くの企業が病に陥り、脱却できず、そして衰退して消滅していっている昨今です。
1つの方法としては、組織のトップ(会社であれば社長、プロジェクトであればプロジェクトリーダー)が「曲がったハンマー」に理解があり、そうしたハンマーを見つけたら、一時の労力を惜しまず、是正を敢行するリーダーシップを発揮してくれることです。
自分は常々、こうしたリーダーシップを発揮できるリーダーでありたいと思っております。
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