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牧野富太郎を救った新聞記事

NHKの朝ドラ「らんまん」でにわかに盛り上がっている(?)牧野富太郎は、54歳で極貧の時、自らの植物標本を海外に売り飛ばそうとしていた。

それを聞きつけた大阪朝日新聞は牧野博士の窮乏を記事として紙面に上げ、それに呼応した、神戸の大金持ちの池長孟(当時京都大学学生25歳)が三万円(大正時代1円が今の4千円というので、今なら1億2千万)で買い取ったと伝わる。

今日はその大阪朝日新聞の記事の写真を見ることができたので、ここの転記する


大阪朝日新聞の記事

大日本植物志、日本植物調説其の他多くの優れたる著述あるに係わらず今日の如き不遇の地位に沈淪しつつあるは不思議な様だが明治二十七年初めて菊池男の推薦に依り理科大学植物学の助手となった時が月給十五圓今日になって漸く三十五圓の月給に迄漕ぎつけた様な有り様あの高名なる牧野氏がタツタこれだけとは嘘の様だが是は事実である
(略)
それに植物記載学の方面では博士以上の実力ありとの定評ある牧野氏はまだ學位さへも、貰って居ないので諸所から不義理な借金さへ嵩んで苦しんでいるとは實に気の毒なことだ、今年五十四歳の同氏は「是から真実の研究をやって見たい」と言って居るが何とか此の不遇の学者を救ふ途はないものか

メディアが稀有な学者を助けることができた、というのは結果論ではあるが、メディアの力がわかる文章である

この一件に長谷川如是閑がかかわったと言われているが、それは、また、別の話

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