紫を着て、虹を見た日
先日8月30日、オーストラリアではようやく冬の終わりが見え始めました。
日本では暑さが残る中、多くの学生さんが残りわずかな夏休みを楽しんでいたことでしょう。
私の勤務先のオーストラリアの学校では、ある啓発活動の日でした。
ここ最近取り組む学校も多くなった、Wear it Purple Dayです。
ある心痛む事件をきっかけに、2010年にオーストラリアで設立された非営利団体、Wear it Purpleが主催です。LGBTIQA+、特に若者のアイデンティティへの理解を深めることを目的としています。
私の勤務先の学校でも、生徒や教職員が紫色の服を着て参加しました。
セクシュアリティについて、オーストラリアは先進的と言えると思います。2017年には同性婚が国で認められましたし、公的手続きなどの書類には当然のように性別に男女以外のオプションがあります。
しかしながら、もちろん個人の価値観は違います。受け入れられる人もいれば、そうでない人もいる。当然ですよね。この違いが宗教上の理由に基づくとき、その受け入れにはさらに慎重な態度が求められます。
私の勤務先の学校は、半数近くの生徒が宗教を深く信仰しています。その生徒の中には、このWear it Purple Dayを残念ながら心無い名前で呼ぶ生徒もいます。
そんな生徒たちがいることを知って思いました。
この啓発活動は決して、必ずLGBTIQA+を認めろ、賛成しろ、と言っているわけではないのだと。
人それぞれセクシュアリティやアイデンティティがあって、お互いの価値観を認められなくても、お互いを傷つけることなく無理のない距離感で付き合っていくために理解していきましょうね。
生徒も教職員もボランティアなど含むコミュニティすべての人も、みんなに安全な場所があると、誰か理解してくれる人がいるということを広めましょうね。
誰もが自分を愛して、自信を持って生きられる社会をつくりましょうね。
そういうメッセージじゃないのかなぁと。
もちろん、認めて受け入れられたら素晴らしいと思います。でも他の人のために宗教を曲げるなんてできないという主張も理解できます。
自分と違うから目の敵にして攻撃するのではなく、その違いを好きになるか、好きになれなければ、ただ距離を置くことができる人がもっと増えたら、傷つく人が減るんじゃないかな。
その日の家路、ぼんやりそんなことを考えていたら、お天気雨に降られました。LGTIQA+のシンボルでもある虹が出て、お天気までWear it Purple Dayを支持しているように思えてほっこり。
全身を紫に身を包み、紫色のカップケーキを食べ、虹のピンバッジをつけて過ごした8月30日。虹を見て、違いを超えて共存することの尊さにも包まれました。
*この記事の情報は、掲載時点での個人の経験に基づくものであり、正確性を保証するものではありません。情報は変更される可能性があり、内容に基づく行動については一切の責任を負いませんので、ご了承ください。
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