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保①:オーストラリアの保健室ってこんな感じ
さっそく生徒たちとの面白いエピソードを、と思ったのですが、お話の背景としてまずはオーストラリアの学校の保健室システムをお伝えします。
「オーストラリア」といっても実は州ごとにシステムが違います。
大げさな話ではなく、別の国扱いです。
ですので、私がお話しするのは、私が滞在している州でのシステムになることをご了承ください。
そもそも「保健室」って?
こちらで保健室はSickbayやFirst Aid Roomといいます。
正式名称はFirst Aid Room、呼び名はSickbay、といったところでしょうか。記録システムにもSickbayが使われていることもあるので、教育現場における細かい違いはないのかと思います。ご年配の先生方のお話しを聞く限り、Sickbayの方が長く使われているのかな?という印象です。
(今回の執筆にあたりGoogleのBooks Ngram Viewer でも調べましたが、"First Aid"は一般的な応急処置にも使われるので、使用率勝負は"First Aid"の圧勝でした。)
他の英語圏ではMedical roomやNurse’s officeだったり、違う呼び名があるかもしれません。
私の学校の保健室では、ケガや病気のみの対応です。精神的サポートが必要な子には、すでに担当のスタッフが付いているからです。もちろん、私のところにまず来る生徒もいます。その時は、私に打ち明けてくれてありがとう、と感謝しすこし落ち着かせたうえで、担当者に引き継ぎます。
養護教諭はSchool Nurse?
私の仕事は、公立小学校での事務と、いわゆる「保健室の先生」です。
なぜ「いわゆる」なのか。それは日本の養護教諭のように、それ専門の免許を持っているわけではないからです。
養護教諭に値するSchool Nurseがいる学校もあります。
私の学校にもいるのですが、週に1度の出勤。その出勤日も、保健室対応はしません。ワクチン接種の準備だったり、年に数回ある保健の特別授業の運営だったりと、正直見かけたこともほとんどありません😅
School Nurseが常勤する公立校もあるようですが、地域や学校によって違うでしょう。School Nurseが毎日常勤している学校は、州内上位校の1校しか私は知りません。
私はFirst Aid Officer
School Nurseが常勤していない学校の場合、私の様なFirst Aid Officerが対応します。常に保健室にいるわけではなく、私の場合、普段は事務仕事をしています。生徒がきたら、保健室対応もします。
なので、ケガ人や病人の数によって、多忙さが上下します。ひとりも来ない日もあれば、次の日突然示し合わせたように20人来たりと、ほとんど予測不能です。
First Aid Officerになるには
こちらで「保健室の先生」になるには、First Aid (応急処置)の資格を所持していなければいけません。この資格は多くのプロバイダーが提供していて、いくつか種類がありますが、大抵1日で取得可能です。
学校やchild careなどの教育関係の方は勿論、飲食店勤務の方々も取得する人が多いようです。(想像ですが、やけどなど調理中のケガやアレルギー対応のためでしょうか?)
私が所持しているのはHLTAID012 – Provide First Aid in an Education and Care Settingです。
もちろん、個人で受講することもできます。費用はコースによって変わりますが、A$70~180くらいのようです。
3年おきに再受講
資格期限は3年。切れるとまた1日かけてのトレーニングを受けています。復習にもなり大変役立ちます。受ける前は正直「1日座学か~。」と少し気乗りしないのですが、受け始めるとあっという間に時間が過ぎます。
特にぼんやりしているとおいていかれそうになるのが、毒をもったクモ・ヘビ・クラゲといった普段あまりなじみのないケガの対応。私は都市部に住んでいるので、幸い学校でこのようなケガの処置をしたことがありません。でも、通勤途中の緑地で蛇を見かけたことがあるので、知っていて損はないなと思います。(ちなみに見かけたのは毒蛇ではありませんでした。たぶん。私の知識情報バンク調べ)
CPR(心肺蘇生法)とエピペンは毎年
CPR(Cardiopulmonary Resuscitation)とエピペンの復習講習(Refresher course)は毎年受けます。
特にCPRはいざという時に冷静にできるよう、こまめに復習しています。
エピペンは誰でも打てるように本体に指示が書かれていますが、もし回復しなかったら何分おきに打っていいいのか、体重が見極められない時はどうすればいいか、など細かい点をトレーナーの方々を質問攻めにして復習します。
ま、最終的な答えはいつも「Paramedics(救急隊員)に電話して、指示に従って。」なのですが。仰る通り🤣
まとめ
なんとなく、オーストラリアの(ある州の)公立学校の保健室のイメージができたでしょうか?ざっくりと、
School Nurse (養護教諭)が毎日常勤している公立校は珍しい。
First Aid Officer (応急処置者)が、本業務に加えて、必要に応じて保健室対応もする。
First Aid Officer に必要な資格は1日で取得できるが、復習は必須。
という点について、お話ししてきました。
次回は、私がFirst Aid Officerとして気をつけていることについて書こうかと思います😊
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
*この記事の情報は、掲載時点での個人の経験に基づくものであり、正確性を保証するものではありません。情報は変更される可能性があり、内容に基づく行動については一切の責任を負いませんので、ご了承ください。