兄貴の恋人から学んだこと

デビュー戦にして勝利を収めた兄。
会場には、シャドーボクシングをして本番に備える選手たち。
見ろよ見ろよと、自慢の肉体を曝け出して相手に挑発する。
兄は、今舞台裏にいるのだろう。

デンジャーラス!デンジャーラス!デンッジャーーーラス!

登場曲に合わせて兄が登場。
あっという間の2分間だった。兄貴は、やはりかっこいい。
赤赤赤赤!全勝でした。相手も強く、顔面を喰らった瞬間は、兄貴もやられる時があるんだなと逆にしみじみとした。

試合後のインタビューを受ける兄貴と、それを近くで見守る彼女さん。
兄貴の彼女さんは、いつも差し入れをくれる。ケーキとか、どら焼きとか、野菜とか。こちらからは何も渡せていないのに、それでも構わず差し入れをしてくれる。見返りを求めない気遣いが素敵だ。

その夜、兄貴と彼女さんが家の前に来てて、彼女さんと初めて挨拶を交わした。

わざわざ車から降りて
「初めまして、(兄貴)とお付き合いさせていただいている◯◯です。
よろしくお願いいたします。」と丁寧に挨拶する彼女さん。

落ち着いていて、言葉遣いも綺麗でさ。一瞬にして心を奪われた。
「いつもお菓子とか、いろいろもらっちゃって、ありがとう」と言い、
マカロンと美味しいモナカの入った袋を渡す母。
「とんでもないです!ありがとうございます、いただきます」と謙虚に受け取る彼女さん。
その袋をすぐにしまうのではなく、袋を持ったまま会話をして、間を見てからゆっくり車に乗せた。
車にお菓子を積んだと思ったら、今度はさらに彼女さんからの差し入れが。
「皆さんでどうぞ」と笑顔で渡す彼女さん、自然に、全然わざとらしくない。人柄の良さが溢れている。

本命になれる女性の有様を見た。
周囲の人への気遣い、自分じゃなくて相手のことを考える態度、それでいて自分の意思をしっかり持っていること、謙虚な関わり。
私はあの時の衝撃を忘れない。自分を持てば、周囲から愛されるんだ。
それも、独りよがりじゃなくて相手のことを考えた意思。

出会えて嬉しかった。
また会いたいです。

いいなと思ったら応援しよう!