カタカナ発音で英語が上達しない理由
以前にも書きましたが、カタカナで英語を覚えると、いつまでも話す能力が伸びません。その理由を説明します。
① 英語と日本語では、発音に使う筋肉の位置が違う
例:「R」
Rが「ルー」や「ウー」になってしまうのは、下顎や唇に力を入れて発音しているからです。Rの音は唇や顎や舌の先ではなく、舌の奥の喉に近い部分で作ります。舌の先に力を入れたら、Lと同じ音になってしまいます。
② 英語をカタカナで表記すると、何種類もある違った音が同じになってしまう
例:「ア」
ah: eye
æ: ant
uh; adjust
ur: urgent
ar: art
これらの音を「全部同じ」だと思って覚えていたら、発音もアクセントもリズムもおかしくなります。
③ カタカナ表記では子音が強調されるので、強拍の位置がずれる
英語を話す時には、日本語の「アイウエオ」にあたる「母音」が強拍になります。Catという単語の発音は、Kæ-Tではなく、k-AE-tです。カタカナで英語を覚えると、「キャット」のように、「カキクケコ」のKや、「タチツテト」のTを強調する癖がついてしまいます。しかも「キャット」の場合、強調するべきæの母音が「ッ」なので全く聞こえません。これは英語圏の人にはとても聞きにくい話し方です。
④ 英語圏で通じない和製英語が頭に入ってしまう
マンション、フロントグラス、アフターサービス、クレーム、コンプレックス、マイペース、カンニング、ファイト、シンボルマーク、コンセント、ペットボトル、マグカップ、ホチキス、バイキング、ワンピース、ノースリーブ、フリーサイズ、デコレーションケーキ、ガードマン、ジェットコースター、ワンパターン、オンリーワン、スキンシップなど、子供の時から頭に入っている単語は英語を使っていても出てきてしまいます。頭の中が混乱するだけなので、役に立たない語彙をこれ以上増やすのはやめましょう。覚え直すのは二度手間になります。
よくある質問
① 最初はカタカナで覚えるのが簡単だから、後で直せば良いんじゃないでしょうか。
カタカナ英語を矯正するにはかなりの努力と根気が必要です。日本でも、地方訛りの強い人が標準語で話すのに苦労するのと同じです。間違いを直すための努力をするよりも、最初から正しい音を覚える努力をした方がずっと合理的だし時間の節約になります。
② 日本人なんだから、訛りがあるのは気にしなくて良いんじゃないでしょうか。
カタカナ英語は「訛り」ではなく「間違った情報」です。相手に通じにくいし、本人も話しにくいので不自由です。カタカナの口の動きを続けている限り、何十年経っても普通の速度で話せるようにはなりません。これが「会議の時に英語で発表はできても、その後の質疑応答には対応できない」「英語の論文は書けるけど、昼休みの雑談にはついて行けない」「一対一の対話ができても、大勢の会話には参加できない」などの理由です。
③ 大人になってから発音を直すのは無理じゃないでしょうか。
カタカナ英語は「間違った情報」ですから、正しい発音の知識を頭に入れたら、それを実行することは大人にも子供にもできます。大人になると骨は成長しませんが、英語を話すために骨格を変える必要はありません。筋肉の訓練は何歳でも可能です。
④ 発音矯正に力を入れた結果、日本人らしさがなくなるのが心配です。
正しい英語の話し方を覚えるには長期間の継続的な努力が必要です。どんなに頑張っても、しばらく発音の勉強をしたぐらいで「日本人らしさがなくなる」心配はありません。
⑤ 去年から英会話教室に通っているのですが、効果がありません。語学は才能がないと無理じゃないでしょうか。
週に一度か二度の英会話で効果を期待するのは無理です。日本の小学生がアメリカの学校に入って、家庭教師をつけて勉強しても、英語が地元の子に完全に追いつくには10年かかります。こつこつ勉強しないで英語ができるようになった人はいません。能力向上を期待するなら10年単位で時間をかけて勉強してください。
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