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ロンドン塔−ジェーングレイの9日間、ChatGPTありがとう

英国のチャールズ国王については「だったら最初のからなんとしてでもカミラさんと結婚すりゃよかったじゃんかよ」としか思わないし、メーガンさんに「人種差別でひどいイジメを受けた」と言われても「残念だけどそりゃされただろーね。ってより、されないとでも思ってたわけ?」としか思わない。そりゃ人種差別はいけないことだよ。でもさ、超名門とか超旧家とか超金持ちとか、いわゆる上流階級っていかにもそういうことしそうじゃん。どんなに裕福であろうとも米国人が英国王室に入ったらそれだけでいじめられるだろうし、ましてや人種差別しないわけないじゃん。今どきは表立って差別できないから、より陰湿にイジメられるだろうなって、極東の庶民のアタシでも思うもん。メーガンさんだって「私がそんなことに負けるとでも?」と思いながら乗り込んだでしょうよ。…それだけイジメが過酷だったんでしょうね(涙 何があったかはわかんないけど、離れて正解だったと思うよ。

ウチはパパもママも本がダイスキで、アタシが子供の頃は屋根裏部屋にも寝室にも古い本がいっぱいあってよく読んでた。家を査定?してもらったときに、「このままだと重さで家が倒壊しますよ」と言われて大処分されちゃった。アタシが好きだった児童書のひとつが、ジェーン・グレイのお話だ。もう二度と読めないのが残念だ。

ヘンリー8世の後に王となったのは、ヘンリーの3人目の妻が産んだ子にしてヘンリーの唯一の息子、エドワード6世だ。エドワードは9歳にして即位した。当然だが9歳に執務はとれず、母方の伯父が執政となるが、11歳の時に伯父が権力争いに負けて処刑され、ジョン・ダドリーが執政となる。しかし15歳になったエドワードが病でいくばくもないと見たダドリーは、ヘンリー8世の妹の孫ジェーン・グレイと自分の息子を結婚させ、エドワードに「自分の跡継ぎはジェーン」との宣告をしたためさせた。

当たり前に考えれば、エドワードの跡継ぎは、ヘンリーの最初の妻の娘メアリーで、メアリーが死ねば、2人目の妻の娘エリザベスだ。ジェーンを女王として擁立したのはかなり無理があり、実際、ジェーンは貴族にも国民にも受け入れられず、わずか9日でメアリーに廃位させられている。

ジェーンは16歳という若さではあったが、メアリーの命令で、ダドリーとその息子(ジェーンの夫)と同様、ロンドン塔で処刑された。後世から見ても、16歳のジェーンが自分で「私だって女王になれるポジションだわ」と主張して女王の座を狙ったとは考えにくく、ダドリーのコマにされたに過ぎないと思われる。しかし、女王の座についてしまった以上、廃位後に処刑されるのはやむを得ないところであろう。後にブラッティメアリーと呼ばれるメアリーだが、当初ジェーンには寛大な措置を考えていたとされる。しかし、メアリーへの反乱が起こり、首謀者らがジェーンの即位を要求したこともあり、廃位から5カ月後にジェーンの斬首が命じられたのだ。

ってのが史実らしい。アタシの記憶の中の児童書の流れもそんな感じ。大人になってもう一度あの本を読んでみくなったアタシは、この児童書には元ネタがあるはずだと考え、まず岩波文庫でそれらしい作品がないか探してみた。「三銃士」「巌窟王」とか「悲劇の王妃」とか、児童書に翻案される文学って、いかにも岩波文庫にありそうだからね。でもなかった。次に調べたのはAmazonで、ここにもそれらしい日本語の本はない。ストーリー的に戯曲っぽい感じがしたので、英語の戯曲でジェーン・グレイを扱ったものがないかGoogle先生に聞いてみたが、よくわからない。

そこで、ChatGPT先生に聞いてみたところ、どんぴしゃで教えてくれたよ。すごいね!

覚えてたのは、主な舞台がロンドン塔で、3人の巨人と小人がでてきて、彼らはジェーンと直接の絡みはないこと、メアリーが挙兵すると、巨人らがメアリー側について闘うこと、ジョン・ダドリーがロンドン塔の中で亡霊と会話することとその亡霊がダドリーの敵だということ、そしてジェーンの夫が処刑される直前に、ロンドン塔の壁に爪でジェーンの名を彫ったというエピソードだ。あと、ロンドン塔の秘密の隠し通路がでてくるエピソードもあった気がする。巨人たちはメアリーの即位はめっちゃ喜ぶんだが、ジェーンの処刑は気の毒に思って泣く。ジェーンは涙を流す彼らの姿を見かけて「私のために泣いてくれる者たちもいる」と慰められた、ような気がする。あとは、メアリーとエリザベスにふたまたかけた男がいて、メアリーも怒ったんだけど、エリザベスも事実をつきつけられて一瞬すっごくショックをうけてうちのめされる。しかし素早く態度を取り繕ってそいつを軽蔑し、二度と恋愛を自分の人生で大切なことろはしない、と決意する、というエピソードもあったと思う。

亡霊と会話するシーンが頭に残っていたのには理由がある。児童書を読んだときのアタシの認識は「これはイギリスで実際に起こった出来事」である。同時期よんだ「三銃士」や「鉄仮面」(の児童書)はちゃんとフィクションと理解していたのだが、この作品と「悲劇の王妃」(マリー・アントワネットの生涯を追ったツヴァイクの作品の児童書)は史実だと思って読んでたのである。

史実なので、書かれてあることは誰かが目撃して記録しているか、本人が起こった出来事を誰かに伝えていなければいけないはずだと思ったわけだ。しかし、亡霊はダドリーが独りでいる時に訪れており、しかも(内容は覚えていないが)ダドリーにとって不吉なことを発言するのである。ダドリーは激昂して亡霊に言い返すが、亡霊はそんなダドリーを嘲笑して消えちゃったんだと思う。独りでいるときに起こったことだから、ダドリーは誰かにその内容を伝えねばならない。だが、子供心にも「こんなにプライドの高いオヤジが、こんな屈辱的なことを誰かに話すわけがない」と思ったアタシは、ママに「誰がこのシーンを見てたの?」と尋ね、ママはその問いをムシしたのであったw ママにムシされたショックで、このシーンがあったことをよく覚えていたんであるw (このシーンが戯曲、ってよりシェークスピアっぽいな、と思ったんだよね。違ったけど。)

改めて史実を追うと、この亡霊ってのは、ダドリーが処刑に誘導した、エドワード6世の元執政、母方の伯父、エドワード・シーモアっぽい気がする。

ChatGPT先生にきいたのは、「ジェーン・グレイが即位してから処刑されるまでの話、夫と夫の父親がでてくる、夫のギルフォードは処刑されるときジェーンの名を壁に刻む、3人の巨人がでてくる作品って何?」で、「おそらく、William Harros Ainsworth の The London Tower でしょう。」ってすぐ答えてくれたよ!ジェーンの名を壁に刻んだってのは有名な『ロマンチックなフィクション』だって。万が一、アタシがロンドン塔に行くことがあったら、ギルフォードが刻んだ文字を見たかったんだけど、ないんだね。残念だ。

で、Amazon先生に相談したら、どうやら今はこの作品の翻訳版は出版されてないらしい。英語のKindle版はえらく安くてとりあえず買ってみた。普段アタシが仕事で触れる英文と違って、やたら文章が長い。装飾がめっちゃ多くって、「〇が、〇とは□が△であうところの、△というのは▽でよく知られている✕が、◎においてΩしたときの」みたいな文章で、しかも初めて見る単語も多くて、アタシの読めるスピードだと『だから○は何したんだよ!?早く教えて!!』ってキレそうになるような文章だったw 

アタシの英語力ではムリだ。と、アタマを抱えていたところ、なんとKindleってテキストをコピーできるじゃんか!コピーしてDeepLに貼り付けて自動翻訳だね!

と、読み始めたが、3章まで読んだところで「出版元が許可しているコピーの分量を超えました」ってメッセージがでてきたwww

そうか。後は辞書とくびっぴきで読まないとダメか。タイヘンだ。なんとか頑張って、少なくとも以下を突き止めたい。
・ホントにロンドン塔の隠し通路の話はでてくるか
・出てきたとしたらどんなエピソードか
・亡霊はホントにエドワード・シーモアか
・ふたまた男はトーマス・シーモアか

ところで、アタシの記憶では、児童書の冒頭で、ジェーンは田舎の邸宅で夫のギルフォードと幸せに暮らしている。夫の父と自分の両親は野心に満ちあふれているが、ジェーンの関心は今の幸せな生活を続けることのみにある。しかし、エドワード6世に死が迫る中、義父と父はギルフォードに「ジェーンが女王になったらゆくゆくはお前を国王に指名させ、お前がこの国に君臨するのだ」と吹き込み、ギルフォードにジェーンを説得させる。

ある日早馬でエドワード6世が崩御したとの知らせが届き、愛するギルフォードに懇願されたジェーンはしぶしぶ即位を受け入れ、幸せだった田舎の邸宅を断腸の思いで発ち、義父らとともにロンドン塔へと船で入城する。塔を見上げ、「ここが私の苦難の場所になるかもしれない。それでも私は神様の御心に従って女王としての重責を果たすのだ」っぽい決意をするシーンがあったような気がする。

が、原書には「田舎の城で」みたいな描写はまったくなく、ロンドン塔入城のものものしい行列の描写から物語が始まる。さすがにそれだと、ロンドン塔にもイギリス王室にもまったくなじみのない日本の児童には受け入れ難いと思ってこのようなストーリーを付け足したのであろう。

アタシが思った『田舎の邸宅で』は、背の高い窓に揺れるレースのカーテン、柔らかい芝生がしきつめられた広い庭、色とりどりの花が咲き乱れるよく手入れされた花壇、である。今思えば大きな間違いだ。オペラ椿姫でヴィオレッタとアルマンが暮らしていた田舎の別荘のイメージと混同してるんじゃないかと思う。

また、児童書にはふんだんに挿絵が散りばめられており、襞襟やエリザべーザンカラー(ひだがクビ、というか頭の後ろに扇状に立って大きく広がる襟)が描かれていた。これも少女心を非常にそそるものだったが、いかんせん、イラストなので仕組みがよくわからず、半ば困惑しながらも魅了されたのであった。ちなみに、このnoteで使っているイラストは、エリザベス1世のイラストである。

うーーん。原文かあ。挫折せずに読めるだろうか???自信ないぞ。