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グイン・サーガのこと

グイン・サーガという長編小説がある。栗本薫の書いたヒロイック・ファンタジー小説で、高校1年生のとき、初めて手に取った。本伝よりも先に外伝の第4巻(タイトルは氷雪の女王)から読み始めた。表紙に惹かれたのだ。

表紙のデザインは加藤直之。重厚な画風のイラストレーターで、このたび初めて画集を買った。その流れで、グイン・サーガをKindle版で買いなおして週末に読み返した。外伝を含めて百数十巻という超長編でもあるので一気読みというわけにもいかないが、今読み返しても文章に力があると感じる。

読んでいると、当時の風景がありありと思い起こされる。僕の青春時代の大きな部分を、この小説が占めているようだ。すでに故人となられた著者であるが、彼女の文章から、大きな影響を受けた。

ついでながら、高校時代はクラスで国語の成績が少しばかり良い方だった。それで同級生に、なぜお前は国語で点数が取れるのかと問われ、たいそうなことはやっていないのだけれど、強いていえば、この長編小説を読み続けているのが関係しているのかもしれない、と紹介したこともあった。

大学受験を控えた頃ともなれば、得点力は切実な問題である。ひとりの友人は、山形市内の書店で(僕のいないところで)、庄司はこの小説を読んでいるから点数が取れるといっていた。じゃあ俺も読んでみようかと手に取った、という話を人づてに聞いた。受験生は小説など読んでいる場合ではないだろうと今なら思うが、山形南高校は、そういう素直な良い子の多い男子校で、当時の僕はしあわせであった。

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