No.2足の伸筋支帯の可動性、バランスと足部・足関節の構造と機能
”知のコンパス・コレクション”では、理学療法の世界で日々蓄積される膨大な研究成果の中から、実践に役立つ重要な知見を端的に厳選してお届けします。最新のトレンドだけでなく、時代を超えて価値ある基礎的研究まで幅広くカバーし、皆様の臨床実践に確かな方向性を示す「知のコンパス」となることを目指しています。
※端的にまとめますので、詳しくは文献にてご確認ください。
足関節の伸筋支帯の可動性
伸筋支帯は,脛骨腓骨を繋ぐ肥厚した深筋膜であり,伸張性に乏しい組織である。伸筋支帯は解剖学上,上下に分かれ,伸筋(前脛骨筋,長趾伸筋,長母趾伸筋,第3腓骨筋)の長い腱を押さえることで,筋の発揮する力を正しい方向に促す働きがある。足関節背屈筋群である前脛骨筋,長母趾伸筋,長趾伸筋,第3腓骨筋の筋収縮により,深筋膜(伸筋支帯)が内部から押し上げられ,さらに筋腱以外の軟部組織の機能的変形に伴い生じる。
💡ポイント
足関節の関節裂隙の前方には関節包や脂肪体があり、背屈筋群と伸筋支帯の機能的変形が上手くいかないと背屈運動を妨げる可能性がある。
バランスと足部・足関節の構造と機能
加齢は足部・足関節の構造と機能に変化をもたらし、地域在住高齢者の約3割に足部の問題がみられるとされている。バランスおよび機能的能力と相関がみられた足部・足関節の特徴は、足底の触覚感受性、足関節の柔軟性、2~5趾の変形の有無、外反母趾の重症度、足趾筋力であった。感覚運動機能の評価でバランスおよび機能的能と強い相関が見られたのは、膝伸展と足背屈筋力および反応時間であった。
💡ポイント
臨床的には、足部機能の低下している高齢者は多く、ここに介入するだけでも、転倒予防に繋がると感じます。