短編小説「眠れない夜は、気楽亭へ」その1
……眠れない。
どうしても眠れない。
怖いことばかり考えて、頭がぐるぐる回ってる。
どうすれば解放されるんだろう。
どうすれば他の人みたいにホッとして寝れるのかな。
そう思った時、心の奥のあのお店に、灯りがついた。
チリン、チリンと、風鈴のような音を立てたドアチャイムをBGMに出てきた彼は、私を見るなり「なんつー顔してんだ」と呆れたような顔をした。
「えへへ…眠れないの」
「んな事だろーと思ったよ」
そう言いながら彼は私の手を取って、店内へと導いてくれる。
不真面目に見