赤いリボン-10年後のバレンタイン-
受けたい授業を自分で選べて、クラスや学年を超えて誰とでも繋がれる大学生活というものに憧れていたけれど、だからこそ、それまでのように顔を合わせるチャンスが毎日あるわけではないことを思い知った。
それにしても大学というのは広い。どこかのショッピングモールかと思うような巨大な校舎の裏側には、それに劣らない立派な部室棟がある。
その部室棟の1階の隅に、くたびれたベンチがぽつんとある。手前は掃除用具や過去の学園祭で使われた看板が入った大きな物置部屋で、普段は鍵がかかっていて誰も出入