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noteで想いを伝え、Twitterで広くつながる「noteとTwitterでつくる新しい企業コミュニケーション」
コロナ禍によって企業のデジタルシフトがさらに飛躍的に進む現代。発信力を磨き、顧客とのコミュニケーションを自らの事業やブランディングに昇華させる力が、企業には必要不可欠となっています。
そこで今回、Twitter Japan社のマーケティング責任者・森田謙太郎さんをお招きし、noteとTwitterを組み合わせて活用する具体的な方法について議論しました。あまたあるデジタルツールをどのように活用すればよいか悩まれている方へのヒントになれば幸いです。
登壇者紹介
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森田 謙太郎(もりた けんたろう)
Twitter Japan株式会社
Head of Marketing, Twitter Business Japan
ソフトバンククリエイティブと宝島社で雑誌広告の営業を経験後、アイレップでリスティング広告のコンサルティングに従事。その後、ウォルト・ディズニー・ジャパンにてモバイル・ゲームコンテンツのマーケティングを担当。2015年より現職。全国各地のイベント登壇や番組への出演を通じて、Twitterのビジネス活用に関する認知推進活動を行う。
Twitter
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廣瀬 藍里(ひろせ あいり)
note株式会社 メディアチーム
マーケティングリサーチ会社で法人営業に従事したのち、2021年7月note株式会社に入社。メディアチームにて、法人向けにnoteの活用法や読まれる記事づくり、無理のない発信の続け方などについてさまざまな提案を行う。
note
モデレーター
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徳力 基彦(とくりき もとひこ)
note株式会社 プロデューサー
note
noteは長文でなくてもOK。伝えたいメッセージを表現することが大事
徳力 まずはじめに、森田さんはnoteに対してどのような印象をおもちでしょうか。
森田 noteといえば、まず「長文」をイメージしますね。
廣瀬 そうおっしゃっていただくことが多いのですが、noteではみなさんが必ず長い文章を書いているわけではないんですよ。中には、自社のTwitterやInstagramのリンクを並べて短いコメントをつけ、記事にしている法人もあります。
徳力 でも、短文ならTwitterで書いてもいいですよね。noteとどのようにつかい分けるのがよいのでしょうか?
廣瀬 お客さまには、TwitterはLook at THIS、インスタはLook at ME、noteはLook at STORYとお伝えしています。
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Twitterでは「これを見て!」と世の中の出来事や物を紹介し、Instagramでは自分が今何をしているかを「見て!」と伝える。対してnoteは、自分たちの「想い」を表現するのに適しています。更新頻度を追求するよりも、1記事ずつをていねいにストーリーをつづっていくのがnoteのつかい方の王道ですね。
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目標値はフォロワー数だけではなくインプレッション数も
徳力 企業がTwitterを運用するときは、何をゴールに設定するのがいいんでしょうか。適切な目標と評価基準がないと、担当者も続けるのが辛くなってしまいますよね。
森田 多くの企業が、フォロワー数を運用の目標値に設定しているようです。でも、思ったようにフォロワーがふえなくて、行き詰まってしまうケースが少なくありません。
片や、たとえば自分たちの商品がテレビで取り上げられた途端、フォロワーが激増することがあります。こうなるとTwitter担当者たちは、今まで地道に積み重ねてきた努力が報われていないように感じ、モチベーションを失って疲弊してしまいがちです。そうならないためには、頑張れば達成できる合理的な指標を、ゴールに据える必要があります。
そこでおすすめしているのが、発信したツイートのインプレッション(表示回数)を指標のひとつにすることです。無料でつかえる「Twitterアナリティクス」という解析ツールを用いると、投稿したツイートがどれだけの回数見てもらえたか、ツイート単位、月単位でわかります。
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インプレッションは、たとえフォロワーが少なくても、反応のよいツイートをするコツがまだつかめていない場合でも、ツイートの頻度をふやせばそれだけでも伸びていく数字。つまり、インプレッションは現場の頑張りを表しやすい指標なんです。
徳力 noteも同じですね。投稿数を積み上げていけば、見てもらえる機会は必ずふえます。大変だけど、外部要因が大きすぎるフォロワー数を指標とするよりも、自分の頑張りが数字として見えるものを用いるほうが、モチベーション維持には有効ですね。
メッセージの明確化と社内共有がnoteを続けるコツ
森田 Twitterと違ってnoteは、書いた記事がアーカイブになります。ですから長く続けることに価値があると思うのですが、続けるヒケツはありますか?
廣瀬 発信する目的、届けたい相手、読んだひとにどう思ってもらいたいのかを、会社のみなさんとにぎっておくことが大切だと思います。
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徳力 Twitterで日々お客さんとコミュニケーションをしているのであれば、noteはストック用にたまに書くだけでもいいと思います。自社が大事にしていることをnoteに書いておけば、Twitterなどで質問がくるたびにその記事を見せて回答できます。自分の仕事が楽になるようなつかい方をしていただけるといいですね。そうすれば、結果的に長く続けられることにもなります。
フォロワー増につながる「終わらない選挙活動」を
徳力 Twitterのフォロワー数をふやす方法を教えていただけますか。フォロワー数にこだわりすぎないほうがよい、とは言えやはり気になります。
森田 再現性があることを地道にやることだと思います。そのひとつに「フォローしてね」と、さまざまな場所でちゃんと伝え続けることがあります。HIKAKINさんや江頭2:50さんのような人気ユーチューバーでも、番組の最後に必ず「チャンネルに登録してね」と言い続けていますよね。まさに「終わらない選挙活動」のようなものですが、これがとても大事なんです。
一方で、私が少しだけ気になるのは「バズってフォロワーがふえた」といった記事を時折目にすることです。最近では、島根の醤油メーカーさんのあるツイートが人気を集め、たった1日でフォロワーが40人から4万人に急増したという記事がたいへん話題になりました。
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私もこの記事を、とても興味深く拝見しましたし、このような記事を読まれた方々が「私たちもバズってフォロワーをふやしたい」と考えるのは自然なことです。
しかし、このケースでバズからフォロワーがふえたのは、タイミングが奇跡的なほどよかったことや、読者とのコミュニケーションが絶妙にハマったことなど、さまざまな要因が偶然重なったから。大変レアなケースです。容易に再現できるものではありません。こうしたことをご理解いただき、より地に足がついた施策に注目していただければと思います。
廣瀬 noteのフォロワーをふやすのも同じで、「スキしてね」「フォローしてね」を必ず入れるようアドバイスしています。ただ現状、noteのフォロー機能はTwitterほど強くありません。
「フォロー機能」はnoteの会員になると活用できるのですが、noteは会員以外の方も自由に閲覧することができるため、この機能をつかっていない読者も多くいらっしゃるんです。そのため、積極的にフォロワーをふやしたい方には、noteとTwitterを連携させることをおすすめしています。(詳しくはヘルプ「Twitterアカウントを連携する」)
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徳力 noteの記事をTwitterでシェアするときのテクニックはありますか?
森田 いろんな切り口で、時間帯を変えて、何度もツイートするのがいいと思います。自分のツイートに最初の「いいね!」をすることで、ほかのひとがいいねをしやすくしたり、自分のツイートを自分でリツイートしたりするのもアリです。
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徳力 最後に、これから企業でSNSを活用しようとしている方々に向け、メッセージをお願いします。
廣瀬 まず自分のメモがわりにnoteを書いてみて、それを会社でどうつか
えるか考えてみていただければと思います。
森田 日本企業で働く方は、がっちり内容を固めてから開始したいひとが少なくないですよね。でも、Twitter運用が成功している企業の担当者に聞くと、「何となくはじめた」という方が意外に多いんです。ですからみなさんも、固めるプロセスは最低限に抑えつつ、気軽にはじめていただければと思います。「Twitter公式ビジネス活用パワーアップセミナー」でも、Twitterのつかい方や活用術をお話ししていますので、ぜひご利用ください。
徳力 本日はありがとうございました。
※敬称略。
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【11/29(月)15時〜】オンラインイベント「YouTube活用でさらに拡張する noteでつくる新しい企業コミュニケーション」を開催します。
企業はYouTubeをどのように活用するべきなのか、またYouTubeとnoteはどのように組み合わせるのがよいのか。YouTube コンテンツパートナーマネージャーの定元 邦浩さんをお招き、じっくりお話をおうかがいします。ぜひご参加ください!
text by いとうめぐみ