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【アメリカのPostdoc留学】内定からDS2019, SEVIS, J-1Visa (査証)の取得までを一気に解説します
サマリー
家族全員分のパスポート、DS-2019(受け入れ機関が発行)、SEVIS (I-901) 、DS-160、大使館(総領事館)面接予約、の順番で手続きを進めることになる。
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はじめに
海外旅行に何回も行っている人ほど、渡航の手続きは大したことないだろうと思うかもしれません。私も学生時代から20カ国以上旅行はしてきましたが、日本のパスポートの力はさすがというべきか、苦労したことは一度もありません。わたし自身もVisaというものの言葉自体は知っていましたが、実際に発行が必要な国に行くまでは、パスポート一つでどこにでもいけると思っていました。
働く、研修する、住む目的で入国するとなると、より厳格な審査と手続きが科されます。ここではアメリカ留学のJ-1 visaの手続きについて説明します。他の国はインドの観光ビザの手続きぐらいしかしたことがないので、ご容赦ください。
Visaの手続きの前に準備せねばならないもの
Visaの手続き費用
SEVIS fee 220ドル
VISA申請費 185ドル x 人数
送料 2300円 x 人数 (申請料は年々高くなっているので、確認ください)
家族全員のパスポート
DS-2019
SEVIS Fee (I-901) の支払い証明
現地の受け入れを証明する書類(DS-2019で代用可能な可能性が高い)
現地の収入を証明する書類 あるいは 残高証明
証明写真(電子可)
DS-160とはvisaの申請書のこと
J-1/J-2ビザを取得するために検索すると、申請にはDS-160フォームが必要だとでます。このDS-160フォームを埋めようと手続きを進めると、DS-2019というフォームが必要だと気づくはずです。ではこのDS-2019が欲しいとなるわけですが、これを発行してもらうには受け入れの内定の証明と、パスポート番号、プログラム開始日、そして給料の出所をFIXする必要があり、それらが決まれば受け入れ研究機関が発行してくれます。
次にDS-160を埋めるにはSEVIS(I-901) への登録とその領収書が必要と出てきます。このへんから聞いたことのない書類とフォームが次々出てきて嫌になるわけですが、このSEVISの登録にはSEVIS IDが必要です。このSEVIS IDはDS-2019の発行時に番号が付与されるので、DS-2019の手続きが終わってからでないと進められません。
非常にややこしいですが、順を追っていくと、まず採用内定が決まったら、
家族全員分のパスポートが手元にないとDS-2019は発行されません。持ってなければ手続きを(DS-2019の仮手続きは可能かもしれません)
いつから働くか、給料をどうするかを決める面談を人事部と行います。これが決まらないとDS-2019は発行されません。
これらが揃ったら、DS-2019を受け入れ機関に発行してもらいます。DS-2019にはSEVIS IDが付与されているため、これを使ってSEVIS FEEを支払い、領収書をもらいます。
これで一通り書類が揃うので、はれてDS-160フォームを埋めることができ、ビザ申請に進めます。収入証明書や受け入れ証明(invitation letter, offer letter)は、ここまでの過程のどこかで得られているはずです。
では、申請のタイムラインに沿って一つずつ見ていきます。
ますばとにかくパスポートが必要
パスポートがないとDS2019は発行できません。私は期限に余裕のあるものを持ってましたが、おそらく渡航予定期間中に切れるパスポートは問題になるので、受け入れ研究機関の人事部(HR:Human Resource)に聞きましょう。DS-2019を発行するのは受け入れ期間で、その書類にパスポートの期限が重要なので、おそらく受け入れ機関でアドバイスをくれるはずです。
プログラム開始日と給与をFIXする
プログラム開始日とアメリカで過ごす費用の出所を決めないと、DS-2019は発行されません。つまり、何月何日から働く予定であるかと、給料はどこからでるのか、という点をまず明確にせねばなりません。このために、通常は内定をもらってから人事部(HR)との面談があります。プログラム開始日は大事です。この日がVISAの基準日になるからです。ひとたびVISAが発行されてしまえば、アメリカへの入国はこの基準日の前30日か後ろ30日でしかできません。言い換えれば何らかの事情で渡航が延期になってしまったとして、この基準日の30日以内に米国に入ることができなかったら、DS-2019の再発行からスタートになります。もちろん、visaの再審査にはまたお金がかかります。私は人事部と相談して2か月半後に開始日をFIXしましたが、人事部がDS-2019の発行に時間がかかるようならば、3か月くらい先がいいのかもしれません。
VISAの申請はDS-2019フォームから始まる
米国滞在期間のお金の目処がつき、プログラム開始日をFIXし、パスポートが家族全員分揃ったら、これでビザ申請のスタート地点です。ビザの申請プロセスは、まずDS-2019フォームの発行を受けるところから始まります。この書類は受け入れ研究機関から発行されるもので、今後あらゆる場面で顔を出すとても重要な書類です。私の場合は研究機関の人事部(HR:Human Resource)の移民課(Immigration office)が担当してくれました。DS-2019が手元にない、発行のやり方がわからない場合は、受け入れ研究機関に聞くのが正解です。なお発行には数週かかる場合もあるのですが、私の行き先のHRは仕事がとても早く、1週間で送られてきました。
DS-2019に必要な情報は、家族構成と各家族の生年月日などの情報、本人と家族のパスポート番号、米国滞在時に収入をどこからどうやって得るかなどです。内定先のラボに雇用される予定なら、サラリーを向こうのほうで書いてくれますし、日本からフェローシップや助成金を持っていくなら、その金額の情報を受け入れ機関のHRに提供する必要があります。これはただHRの指示にしたがえばいいと思います。
わたしの経験談は採用が決まったその日から採用先の人事部が勝手に動いてくれて、あれよという間にアンケートが送られて来て、その後PDFになったDSー2019が送られてきました。でも自分で申請しないと発行してくれない研究所や大学もあると聞くので、内定が決まった段階で人事部などへの照会がないようなら、自分から動かないといけないのかもしれません。
お医者さんの場合は、無給の客員の立場でスタートする場合もよくあります。この場合は、現地で自分の貯金で生活できることを示すために残高証明書が必要になる可能性があります。HRの指示に従うのがいいでしょう。
これらの必要書類をHRに提出したら、あとはDS-2019の発行を待つだけです。この間はVISAの発行のためにできることは特にありません。
SEVISに登録してFee (I-901 fee)を支払う
この手続きはDS-2019が発行されてからでないとできません。手続きはWeb上で完結します。SEVIS IDは発行されるDS-2019フォームに記載されています。フォームの右上あたりに「N」から始まる番号がSEVIS IDになります。この番号は、SEVIS費用の支払い手続きにも必要ですし、ビザ申請時にも必要となる重要な番号です。ほか、Program Noも必要です。これもDS-2019上にP-0-12345などと記載があります。下記のサイトから手続きに進み、Feeを支払って領収書を得ることができます。注意書きにもありますが、Feeを払うのはJ-1 visaを取得する予定の留学者本人のみです。J‐2に該当する子どものFeeは不要、配偶者も留学するわけでなければ不要です。これにより、SEVISのPayment Confirmation # が発行されます。私の場合は(英字3文字)+(数字10桁)でした。
DS-160フォームを作成
✅パスポートもある、✅DS-2019も発行された、✅SEVIS (I-901)登録と支払いも完了した、これでようやくDS-160フォームを埋めることができます。DS-160はUS Department of Stateのウェブサイトから申し込みます。
https://ceac.state.gov/genniv/
DS-160申請時の落とし穴はいくつかあります。一つ目に注意しなければいけないのは、良心的とは言えない仲介サイトの存在です。2024年時点では、DS-160 とグーグルで検索すると、米国政府機関とは全く関係のない、DS-160の代行サイトがトップヒットします。これらは巧妙に政府機関を装うウェブサイトの作りになっていますが、料金がだいぶお高めです。おそらく最終的にDS-160の申し込みはできるので完全に詐欺とも言えず(代行業としてやってはいるので)、摘発されていないのだと思います。政府機関のドメインは.govで終わるので、必ず確認を。なぜ私がそんなことを知っているかというと、別の機会で米国に行く際、ESTAの申請の時に間違って引っかかってしまったからです。本来20ドル程度で済むはずが、100ドル程度取られた記憶があります。
二つ目の注意すべき点はDS(Department of State)のウェブサイトが不親切設計で、すぐにタイムアウトしてしまうことです。再ログインはできますが、その際には割り当てられた固有番号が必要で、固有番号をメモすることを忘れずに。固有番号は「AA00DPC09D」みたいな10桁の番号です。固有番号を忘れると途中からの再開はできません。埋めるのに全部で30-40分程度かかるので、何度もやり直すのはおそらく心が折れます。
3つ目は、DS-160は提出すると修正どころか確認もできないことです。書類に不備がなかったかの確認はできません。スクショでもテキスト保存でもいいので保全しておくとよいです。
4つめはDS-160を提出しても自動的にVISAが発行されるわけではないことです。大使館か領事館の予約をとって面接を受ける必要があります。面接の予約はDS-160を完了しないとできません。そして面接は数週程度先まで予約がいっぱいなので、ここは一つの手続きのボトルネックになります。
5つめはDS-160を提出すると二つIDが発行されることです。「確認番号」と「UID」です。確認番号は面接の予約に必要です。UIDはパスポートを郵送で受け取る場合に必要です。どちらも保全しておきましょう。
6つめは家族一人当たり1つDS-160は提出が必要です。「確認番号」と「UID」もそれぞれ別々に発行されます。
面接を申し込む
DS-160を完成させたら、申請料金を支払って、大使館・領事館の面接予約をします。面接予約は、2024年現在はUS Travel Docsというウェブサイト経由で行いました。
下記のサイトから予約が可能です。「ログイン」をクリックすると、支払い・大使館予約のための登録が可能。
https://www.ustraveldocs.com/jp/ja/step-4
ドメインにgovが入っていなかったり、時々日本語がカタコトで怪しく感じますが(「印刷」と書くべきところを「刷る」と書いていたり)が、ここが公式サイトです。
まずアカウント登録
↓
ログイン
↓
新たに申請を開始
*悩むポイント
・団体か個人か
家族で行く場合も「団体」には該当しません。「個人」に該当します。ですが、留学者本人の申請で、付添人も同時に登録して一緒に面接できます。
・パスポートの発行場所
→結論から言えばおそらく何でもいい。
「外務省」でもいいし、Kobe(都市名)でもいいし、Hyogo(県名)でもいい。私は発行してもらった都道府県名 例;Miyagi にしました。
・出生地
都市名でも県名でもOK。私は居住市外の病院で生まれたため悩みましたが
出生届を出した市名にしました。
「郵送」を希望した場合は、後から郵送費を請求されました。
面接を受ける
面接は米国大使館(東京)か、米国総領事館(大阪)でしか受けられません。最寄りの領事館で受けられるわけではないので注意がいります。面接そのものは5分程度です。
私は月曜日の9時50分の予約でした。大阪神戸総領事館前に9時20分ごろに到着し、9時40分ごろに中に通され、11時ぐらいにすべての行程を終了しました。列はどんどん長くなって待たされる時間が長くなるので、可能な限り早く予約をとり、予約より10分前には到着するのが良いかと思われます。
面接への持ち物は、DS-160の申し込み完了画面に出ます。人によって異なるので、ネットで書いてある「必要物品」を全て揃える必要はありません。たとえば、残高証明書は雇用される予定の場合は不要です。
面接後、パスポートは預かられて1-2週間程度返ってこないので、他の手続きを進めるために、家族全員分のパスポートの写真を取っておくといいと思います。
以上、ビザの準備でした。
いくつかメモが残っているので、多分追加していきます。
この記事が誰かの役に立つといいなと思います!