【上川学園構想ワークショップ開催】町の教育ビジョン策定が始動
2024年9月26日、北海道上川町かみんぐホールにて上川学園構想ワークショップが開催されたので、1回目の様子のレポートをお届け!
第1回の今回は「上川の教育プレーヤー解剖WS」ということで個人の想いにフォーカス。町全体で子どもたちの成長を支えるための教育ビジョンが議論され、参加者は教育者、行政職員、地域住民らが約30名が集まり、地域の未来を見据えた議論を行いました。
地域で支える子どもたちの学び
ワークショップは、上川町教育委員会館山教育長の挨拶でスタートしました。館山教育長は、上川の幼児から高校生までの一貫した学びの場を地域全体で支えていく意欲を語り、学校や地域、家庭が連携して教育を支えていく必要性を強調しました。さらに、「どのような子どもに育って欲しいか、どんな学びが必要か」といった意見を出し合い、それをまとめていくことが今後のビジョン作りの鍵になると述べました。
「上川で学んでよかったと思えるまちづくり」を目指し、教育者や保護者をはじめ、幅広い立場からの意見を集めることが期待されています。
上川学園構想とは
教育委員会 社会教育グループ係長 池端さんによる説明では、上川学園構想の目的は「子どもたちの今と未来を幸せにするための道しるべ」を描くことであり、地域全体の教育ビジョンを明確にすることにあると語られました。
少子化に伴い、上川町の人口は8割減少しており、学校の廃校や教育の質の低下、地域社会との連携の薄れといった問題が今後の課題として浮上しています。このような状況を受けて、町のミッション「町民の真の豊かさの実現」と、バリュー「世界に誇る山岳リゾートタウン」を目指す方針をあらためて提示しました。その中で上川では、教育だけでなく、地域の活性化にも力を入れています。例えば、未来型公民館の上川ヌクモ、オートキャンプ場のリノベーションや地域おこし協力隊が利用出来る施設「カミカワーク」など、地域振興のためのプロジェクトも同時進行で進められています。
なぜ今、教育ビジョンが必要か
時代や産業構造が大きく変わり、求められる能力や思考が変化する中、教育も時代に合ったものへと進化する必要があります。池端さんは、これからの社会を生き抜く力を子どもたちに養わせるために、学校や家庭、地域がそれぞれ果たすべき役割を再定義することが急務だと指摘しました。
これまで上川町では幼児教育、学校教育、社会教育といった施策が行われてきましたが、一貫した教育ビジョンを示していないことが課題として挙げられ、今回のプロジェクトを通じて明確な方向性を打ち出していく必要があります。
飛騨市学園構想から学ぶ
株式会社Edo代表の関口さんより、飛騨市での「学園構想」事例をもとに、上川学園構想でも地域全体を学びの場として活用し、教育魅力化を進めるべきとの提案がありました。飛騨市では、地域を一つの学園と見立て、コアチームを結成して対話を重ねながら、目指すべき人物像や育むべき資質について議論を重ねてきました。
こうした取り組みを通じて、地域住民の意識変革が進み、実践を通じた成果も上がっています。しかし、飛騨市と上川町では求められる教育の成果が異なるため、上川町独自のビジョンを描くことも重要であるとされました。
第1回「上川の教育プレーヤー解剖ワークショップ」の実施
今回のワークショップでは、上川で活躍する教育プレーヤーたちの自己紹介や意見交換が行われました。参加者は、町民や教育委員会のメンバーなどで構成され、グループに分かれてお互いのバックグラウンドや思いを共有します。
自己紹介に加え、参加者はプレイヤーカードに自分の出身地や所属、人生の歩みを紹介し、教育や学びで大切だと思うことをキーワードで発表しました。
自分の人生と上川、そして教育との関わりを通して、例えば「少子化の影響で、子どもたちがやりたい部活動ができない」「子どもだけでなく、教職に就こうとする人も減ってきている」といった現状が語られたり、地域の課題も浮き彫りになりました。
参加者の意見と全体共有
ワークショップの終盤では、参加者から出た意見を全体で共有しました。「選択や出会いによって子どもたちは自発的に動けるのではないか」という意見や、「好きなことに取り組む環境を整えるべき」「楽しいことを大切にしつつ、子どもたちの自然な成長を見守ることの大切さ」といった意見も出ました。
未来の上川学園構想に向けて
今回のワークショップを通じて、上川町の教育ビジョン策定に向けた第一歩が踏み出されます。参加者同士の意見交換により、町の教育環境を改善し、子どもたちが自由に学び、成長できる場を作り上げるための具体的な議論が始まりました。
これからも、地域全体で子どもたちを支えるための取り組みが期待されています。第2回目のレポートもお楽しみにお待ちください!
(記事:上川町地域活性化起業人 早川修平 )
(写真:上川町地域おこし協力隊 佐藤幸希)