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僕はエチゾラム(デパス)をやめた③

デパスがやめられない

適応障害になってからもデパスだけは出してもらっていた。
厳密にいえば、中毒になっていたからやめられなかった。
身体的な依存はなかったように思う。とにかく心理的な依存だけはめちゃくちゃ強くあった。
それこそ週刊誌やYoutubeで煽って笑いたいのは僕みたいな人間だったのだと思う。(真剣に警鐘を鳴らしているコンテンツも沢山あった)
アシュトンマニュアルなるものを知って、漸減法を試してみる何度も挫折。

色々調べていて、ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)を知った。
どうやら、この薬にシフトしていくことでデパスをやめる方法がある。
これならデパスをやめられる!と根拠のない自信を得た。
デパスを本気でやめようと決めた。

かなり上手くいった

最初はメイラックスとデパスを併用。
デパスの量を減らさずにメイラックスを追加。
次第にデパスのあのパキッとした高揚感が無くなってきた。
それでも、たまに嫌なことがあったり立ち直れそうにないことに出会うとデパスを飲んだ。しかし、効果が実感できない。何も起きない。
メイラックスが効いているので、デパスが意味を成さない。
なので、飲むだけ無駄だと本気で思えるようになり自然と飲まずに済むようになった。併用期間は2か月弱。

根拠のない自信の重要性

何においても、根拠のない自信は重要だと思う。
自分が今まで乗り越えてきた山も、最初は根拠ない自信から始まり、挫折を経て最後はまた根拠のない自信を持っている状態に戻り山頂にたどり着いた。結局、デパスも同じようにやめられた。
改めて、根拠のない自信の重要性を痛感した。

努力の先に

適応障害を抱えてから半年ほど経って禁煙を始めた。
これがフックだったかはわからないが、徐々に調子が悪くなり始めた。
事務所でも理由なくぽろぽろ涙がこぼれ落ちるようになり、自殺マニュアルのようなサイトに何度もアクセスした。
自分で異変に気付くまでに時間はかからなかった。次回の診察まで2週間。僕は泣き続け、仕事は手につかず、先が見えない毎日が続いた。
ついに抗うつ薬の治療が始まった。これは、一般的に治療が長期戦になることを意味する。

病気を隠してはいけない

僕は、適応障害であることを職場の人間にしか話していなかった。
徐々にそういうわけにもいかず、友人や仕事関係の人たちにもオープンにするようになった。
信じられないかもしれないが、家族にも一切話していなかった。
心配をかけるのが嫌だったからだ。
だが、いよいよ言わないといけないところに来てしまった。
打ち明けづらい。
誰に聞いても、家族に言わないのはありえないと言うし、中には顔を真っ赤にして怒る人もいた。
言うのも愛。言わないのも愛。そう言ってくれる人もいた。
長期戦に備えるためには、自然と家族に打ち明けるしかなかった。
そこから一気に気分が楽になった。
一日中家で倒れていても家族は理解して協力してくれた。

心をオープンに

ある時、クライアントに電話で怒鳴られたことがあった。
先方の間違いが原因だったのだが、怒鳴られ続けていたら涙がこぼれてきて声にならない声しか出なくなった。流石に先方もおかしいと思ったようで、怒鳴るのをやめて、「大丈夫か?」というテンションになった。
そこそこ大口のクライアントであったため、契約を切られると困る。
しかし、体調が優れない。切られても仕方ないと割り切って打ち明けることにした。復調してまた営業すれば良い。
その日の夜にメールをした。自分の現状と、こんな自分では付き合いづらいだろうから切ってくれと。すると翌朝電話がかかってきた。

「なんで早く言ってくれなかったんだ。そういうことは周りの協力が大事なのを君は知らないのか?協力するから一緒に治そう。隠さずに、心をオープンにするんだ。必ず治る。」

大人げなくボロボロ泣いた。

クライアントには絶対に言えないと思ったけど、言って良いのだと教えてもらった気がした。

治療は続く

精神科に通院を始めて2年ほどになるが、薬は減り、体調は良くなってきた。積極的に外出できるようにもなった。ただ、再発が本当に怖い。
再発率は60%、再々発率は90%で何かで読んだ。
単純計算で54%は再々発するわけだ。なんと恐ろしい病気なのだ。
ただ、その時はまた、心をオープンにして協力を仰ぎたいと思う。

振り返ると

振り返ると、ぶっ倒れてから誰も離れていかなかった。
むしろ理解してくれる人しかおらず、これは僕の中で衝撃だった。
離れていく人がいるならそれまでだと思っていたが、それがなかったのはとても嬉しかった。
それは僕の人徳などではなく、周りの方々の理解度と教養の問題だったように思う。

さいごに

今もメイラックスは飲み続けているが、毎日ではない上に飲んだとしても当初の半分以下まで量が減った。
デパスをやめて1年になる。飲みたくなったことはただの一度もない。
こんな簡単なことがなぜできなかったのか?メイラックスに置き換えることは誰にでもできる。デパスがないと何か起きるのではないかという漠たる不安は僕にもあったけど、そんな僕にも置き換えは簡単にできた。よって、誰にでもできる。

デパスがないと何か起きるか?最初は起きるかもしれない。だが最初だけだ。メイラックスはすぐに効き出す。それまでは飲んでいたら良い。
そのうち飲んでも効かなくなり、飲むのが馬鹿馬鹿しくなる。
医者でもない僕が言うのは良くないかもしれないけど。経験からそう言わせてもらいたい。
この調子でベンゾ自体やめられる。そんな根拠のない自信がある。

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