無痛分娩と夫氏

思い出話。
すこしまえ、私は妊婦であった。
とにかく食べに食べる妊婦であった。食べづわりかもねぇと看護師さんに言われるくらい体重が増えていった。もともとあまり量食べないので、妊娠が発覚する前には職場の方に「最近やたら食べる量増えてるよね、どしたの?ストレス…?」って心配されてた。自分でもやたらお腹すくんだよな、と思ってたら妊娠してた。
なんでもたくさん食べてたけど、例に漏れずマックのポテトがいつでも食べたくなって、通勤路にマックがあったので寄っては貪り食べていた。
夫のご両親が病院に付き添ってくれた時診察室から出てきた私が「また体重増えてて気をつけるよう言われました」と伝えると「えっ今晩これ食べな〜と思ってヒレカツとササミの大葉チーズフライ(私の好物)買ってきたんだけど…持って帰ろっか…」「やだ!!食べる!!」ってことがあった。揚げ物いくらでも食べられたの今思えばすごかったな…。

もとがそんな食べるタイプではなくさらに低血圧気味だったのでお医者さまに強く言われることこそなかったけど毎回体重増えてるね〜とちくっと注意されてた。
臨月は「息をするだけで体重増える」って聞いてたけどほんとそうだったな。散歩好きだから毎日父や夫と歩いてたけど息をするだけで増量してた。

そんなこんなで、無痛分娩の話。
周囲がわりと無痛分娩を選択してたので念頭にあった。結果的にお世話になった産院では無痛分娩やってなかったので選択できなかったけど、なんとなく無痛分娩できるならお願いしたいなーと思ってた。
その話を夫にした際、夫の顔はすこし曇った。
夫のことなので、費用がどうとか痛みを感じてこそ出産だとかそういうことは言い出さないだろうと思ってたからどしたの?ってかんじだった。仮にそれ言われてたら離婚考えてたと思う。私が命と人生懸けて大事な赤子を生むのに心配以外のなにかだったら絶対に許さないぞ私は!などと。今思えば。
そしたら夫は心配だと言った。
無痛分娩についてあれこれ調べておいたのだという。調べたら麻酔のなにか(?)の具合だかなにかで確率は低くてもまれに下半身に麻痺が残る(?)可能性があるとかだったっけ(???)、もう覚えてないので正確ではありませんがなにかしらの大きいリスクがあると調べたらしい。
「わざわざ回避できる痛みを味わう必要はないし、とはいえ無痛とついてる割にまったく痛みがないわけではなく結局すごく痛いらしいけど、そしてそもそも自分が口を出すことではないかもしれないけど、そのリスクが心配ではある」と夫は言った。
でも想像を絶する痛みは恐怖だろうし、無痛分娩じゃなかったとしてもあらゆる危険があるし、というようなことを夫は言った。
なんかすでに私以上に一生懸命調べてくれてて、その情報を並べて怖いだろうにありがとうみたいなこと言ってた。
逆に私は長い間お腹の命と過ごしてきて、腹を括っていた。お腹の中に心臓があってそれが自分のものではない恐怖というのは本当に人生で経験したことのない気持ちだった。この恐怖というのは、とにかく大切に大切に育てなければならない、愛する我が子を、この心臓を、しかと守り抜かねばならないという恐怖です。伝わるかな…自分の体にふたつ心臓があったあの期間、私は常に幸せだったし怖かったんだよ!!
だからもう赤子が無事ならなんでもいいのであとはお医者様に頼む!というかんじだった。
夫の心配そうな顔は今でもたまに見るけど、あの時はこの人一生懸命調べていろいろ考えて、それを産まない自分が産む私に対して口出していいのかどうかまで考えてくれたんだなーと思ったのです。
最終的に、私の体や赤子の状態から予定日過ぎて帝王切開することになったけど、あれこれ心配してくれてた夫はありがたいなぁと思ってます。

翌日の帝王切開のために入院したらその夜陣痛はじまって一晩中陣痛味わったあとに慌てて帝王切開でしたが。ちなみにやっと手術室空いたよ!って時にちょうど一番の友達から連絡が来て、「今陣痛中!帝王切開いってくる!」と連絡したので友達はハラハラ待っててくれました。陣痛〜出産の実況中継してしまった。
夫は立ち会いたかったらしいけど帝王切開になっちゃって立ち会えませんでした。私は立ち会いはどっちでもいいって思ってたけど。

帝王切開になったことにより、いまだに子宮破裂とか調べてウッて顔してることがある夫。えらい。えらい夫の話でした。
そしてそんなこと書いて途中にしてたらプチ言い争いして、もーー!ってなったけどこの下書き自分で読んで落ち着いたのであった。セルフケア。