チーターは楽めているのか?
最近よく会うチーター
ご存じじゃない方が多いと思いますので先に言いますが、私は運動神経からっきしなので、あの俊敏な肉食獣の前に立つと20秒と持たずに哀れな獲物となってしまうので近づきません。ちなみに筋トレも今日はお休みです。
なのでこのチーターというのは動物のCheetahではなく、詐欺師イカサマ師ペテン師のCheaterの方のチーターです。
私はビュンビュン銃弾飛び交う中を重そうな銃をもって駆けまわるようなゲームをよくやり、特に対戦は楽しんでやっていました。
ました、という過去形なのは今楽しめていないからなのですがね。
私が楽しめていた理由
さて、今回はヘッダー画像にしている『バトルフィールドV(以下BFV)』というゲームに関して。
こちらのゲーム、大規模な戦争を体験できるFPS(ファースト・パーソン・シューティング)としてシリーズをご存じの方もいらっしゃるとは思います。
FPSというゲーム、普段ゲームを遊ばれない方のために軽く説明させていただきますと一人称視点でゲームが進行するシューティングゲームです。
TPS(サード・パーソン・シューティング)や他のアクションゲームなどに比べて没入感や臨場感が強く、また自分と同じ視界で展開するゲームとなっているので視界の外から撃たれるようなハラハラとした展開も楽しめます。
それに他にもいろんなFPS作品はありますが、このBFシリーズが特にお気に入りだった理由は
・32vs32の大規模戦闘
・戦車や戦闘機など戦況を変えうる乗り物の存在
・4人1分隊のシステムによるある程度の連携
・兵科による役割分担があり、何かしらの形で貢献できる
といったBFならではのシステムによるところが大きいと思います。
32vs32、総勢64人による銃撃戦ですから本当にわちゃわちゃしてるんです。撃ちまくる人もいれば隠れて動けない人もいるし、遠くから狙ってくる敵もいれば突っ込んでくる敵もいます。
そんな膠着した戦況をひっくり返そうと戦車が道を切り開いたり、その陣地を取られまいと戦闘機の空爆に晒されたりともうはちゃめちゃなプレイになるんです。
通常10vs10以下のFPSにはそういった乗り物は出てこず、また少人数対戦であるためひとりのプレイの技量、撃ち合いの上手下手に左右される部分が大きいのですが、BFは一兵士として味方とともに自分にできることをやっていく、有り体に言えば『撃ち合いばかりじゃないし、それ以外の部分でも貢献できる』ゲームでした。
正直私はゲームは好きですが上手い方ではありません。
一回やられる前に一人倒せれば、という感じのプレイヤーでした。しかしそれでもBFなら弾薬を味方に配ったり、敵の位置を伝えたり、仲間が撃ち漏らした敵を漁夫の利になりますが倒したりと何かしらで貢献ができたのです。
そうやって前作までを家庭用ゲーム機でプレイし、新作のBFVはPC版でプレイしようと意気揚々と戦場に降り立つと…
私が楽しめなくなった理由
最初のうちは撃ち合いを楽しんでいました。下手ながらも倒し、今まで通りにじわじわ前線を押し上げたり、撃たれた仲間に駆け寄って助け起こしたりと新しい要素も加わったプレイを満喫していました。
が、ある時こちらからは点としか見えていないような距離から、正確に撃ち漏らすことなく私の頭を撃ちぬかれました。
この人上手いな、とスコアボードを見たら『ゲームが上手』では説明のつかないスコアが。
たとえどんなに上手でもあり得ないほどのスコア、戦闘ログを見てもどんどんとまるで機械の如くどんどん相手の頭を撃ちぬいているプレイヤー…
『あ、これが噂のチーターか』と妙に納得したのを覚えています。
何らかのツールか、エイムボットというのか詳しいことは知りませんが撃てば必ず相手に当たるようなチートを使っていたのでしょう。
チャット欄も『Hacker』やら強めの口調での罵倒が飛び交っており、プレイヤーはどんどんとそのサーバーから退出していきました。
もちろん私もそうです。だって相手と自分が同じ条件で戦うのがゲームであり、それが醍醐味なのですから。
私や味方はクレー射撃の的じゃありませんし、敵も機械のようなインチキプレイヤーと遊びたくはなかったのでしょう。
そしてゲームをすれば毎回そういったチーターに出くわす始末。一人くらいなら我慢して続けざるを得ないというような状況になっています。
我慢してやるものほどつまらないものはありません、そうして私はだんだんプレイしなくなってしまいました。
チーターは楽しいのか?
思うのですが、勝つか負けるかわからない不確定な状況で勝つから何事も楽しいのであって、勝つことが確定しているチーターは楽しいのでしょうか。
周りからも疎まれ、気付けば戦場に一人残るチーターは何を楽しんでいるのでしょうか?
別のゲームの話題に飛びますが、昔『モンスターハンターポータブル2ndG』というソフトがありました。社会現象にまでなったのでこちらはご存じの方が多いと思います。
さて、その2ndGですが一匹のアイルー(猫の獣人のマスコットキャラ)を狩りのオトモとして連れて行くことができ、小さいながらも主人公を手助けするその姿は愛くるしいものがありました。
友人も皆遊んでいて、○○が倒せないだの△△作った!だのという会話がクラスのあちこちで聞こえていたそんなとき、一人の友人が
『俺、悪魔アイルー持ってるから何でも狩れる』と自慢を始めました。
当時今ほどネットも発達しておらず、初めて聞く『悪魔アイルー』なる言葉にプレイしていたクラスメイトは皆耳を傾けていました。
なんでも、『改造してどんなモンスターでも簡単に倒してくれるアイルーを悪魔アイルー』と呼ぶのだと。
友人たちはざわめき、やべえ!じゃあアイツもすぐ倒せるじゃん!とかそのアイルーくれよ!とかその子に食いつきましたが、その喧騒の中でひとりが『でもそれ楽しい?』と問うたのです。
悪魔アイルーを自慢していたその子は黙ってしまい、熱狂の中にあったクラスメイトも水を打ったように静まり返り、その場は終わりました。
その子について覚えているのはあまり輪に入れるようなタイプの子ではないがかまって欲しい、そんな感じの子だったなという記憶だけです。
あれから何年も経っているのにその子のことを思い出したのは『でもそれ楽しい?』というゲームに対するシンプルな問い。
きっとその子はちやほやされたかったんだろう、尊敬を集めたかったのだろう、輪に入りたかったんだろうと今となっては感じるのです。
ただ、さみしかったろうに、輪に入りたかっただけだろうに、やり方を間違えてしまった。もう誰からも一緒に狩りに誘われなくなって、違うゲームをやっていた彼はどんな気持ちだったのでしょう。
色んなゲームに出没し、プレイヤーを困らせるチーターさん。
『でもそれ楽しい』ですか?
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