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Netflixオリジナルドラマ『ゼロデイ』感想

Netflixオリジナルドラマの『ゼロデイ』を見ました。
あまりnoteに感想があがってないので軽く書いておきます。
ド3流エンジニアの私見が入ったかなり脱線多めの記事になるのであしからず。

・予告とあらすじ

予告

あらすじ
何不自由ない隠居生活を送っていたジョージ・マレン元大統領。そんな彼の人生は、恐ろしいサイバー攻撃の捜査を指揮するよう依頼されたことで一変する。


・ゼロデイとは?

タイトルのゼロデイとは何か?

これはサイバーセキュリティの用語におけるゼロデイ脆弱性(ゼロデイ攻撃)を表しており、あらすじに書かれている本作のサイバー攻撃=ゼロデイ攻撃って認識で見てもらえれば、このタイトルの意味が分かります。

ゼロデイ脆弱性(ゼロデイ攻撃)

[ゼロデイ攻撃の概要](三菱電機ITソリューションズHPより)

ゼロデイ脆弱性とは、アプリケーションやオペレーティングシステム内に存在する未発見の欠陥です。 ソフトウェアメーカーがその存在を認識していないため、防御策やパッチが存在していないセキュリティギャップであり、有効な対策をとるために使える時間が「ゼロデイ (0日)」しかないことに由来します。

日本HPの公式サイトより

簡単に言うとメーカが認識してないセキュリティ上の欠陥を攻撃されて問題が起きるってことです。守られる前に攻めろ的なやつです!
また、このゼロデイ脆弱性を突く攻撃をゼロデイ攻撃と言います。

起きる問題には大小さまざまなケースがありますが、本作では数分間アメリカ全土のインフラがストップし、それに伴い死者が3000名以上出るという大事件になる。


・実際インフラに影響を及ぼした事件

実際の出来事と比較すると本作の事件は昨年夏のクラウドストライク事件と似ている部分がある。
クラウドストライク事件は不正アップデートデータと自動アップデートによるアップデート過失によるもので厳密にはこれはゼロデイ脆弱性(攻撃)ではない

ただ、この問題で世界中の850万台以上のWindowsマシンが停止し、5000便以上の航空機がストップ、世界中の銀行のストップ、他にも医療施設、TVなどのメディア、POSシステムと様々な問題が発生した。

数時間内にエラーが特定され、修正されたものの影響を受けたコンピュータは手動で修正する必要があったため1兆5000億円以上の経済的被害があったとされている。

本作のように飛行機の墜落、踏切の停止と車の線路侵入なでの事故、人的被害が無かったことが奇跡なくらいの事件だった。

ちなみにゼロデイは2023年末に撮影されているため2024年のこの事件の影響を受けて作られたわけでは無い、クラウドストライク事件が2000年問題のようと言われているように、ある程度想定できる範囲でのインフラストップの最悪のケースを描いているドラマと言っても良い。
これも脆弱性とは別ですがインフラストップの事例だと北海道地震で発生したブラックアウト(大規模停電)も近いかと思います。


・感想

作品のタイトルがゼロデイではあるが、ゼロデイ攻撃については結構ふわっとしている。
メインの元大統領ジョージ・マレンがゼロデイ委員会(対策本部的な組織)のリーダーのため、政治色は強いがあまりサイバーセキュリティの専門的な知識を必要とはしない感じです。

ちなみに本作でいうゼロデイワイスピゴッドアイミッションインポッシブルエンティティなど昨今良くある謎のAI、謎のプログラム的な立ち位置となってる。


最期にはざっくりと種明かしがあるものの基本的には

なんか良く分からんが全米のコンピュータが止まって大量の死者が出た!
何とかしないと!!!

ってやつです。

全6話で事件から30日間ほどが描かれるが、ずっとゼロデイと呼ばれてるのにはちょっと違和感がある。
確かに対策パッチ、バージョンが適応されるまではゼロデイではあるのですが、ゼロデイという言葉自体が個別の事象を表すものでは無く、脆弱性や攻撃のジャンルを区別するための言葉であるため何か少しもやっとした。

この30日間にも様々な他のゼロデイ脆弱性が発見されるわけで、実際に起きた時のどう運用されるかは別としてこのレベルの脆弱性や攻撃に対して固有名があってもよかったのでは?と思う。

シン・ゴジラのゴジラだって巨大不明生物からゴジラと命名されるわけですし……シェルショックとかハートブリードとか謎にセンスある脆弱性名とロゴを見たかったってのはある。(謎の癖)

ハートブリードのロゴ

「メモリから(血が流れ出すように)重要情報が流出するため、この脆弱性をHeartbleed(心臓出血)と呼ぶのが的確だとHerrala氏は考えた」
考えた人天才か…???


深入りするのはこの辺りにして、ここまで書いたことについては正直あまり描かれない。
この未知の攻撃に対して主人公の前大統領、現役大統領、CIAやら下院議員や政治評論家など様々な人物が登場し犯人と陰謀に迫る話です。

6話のドラマならこのくらいの設定とボリュームで十分な気がするんですがこれに追加して『プロテウス』なる神経兵器の存在、主人公マレンの不倫と隠し子問題が出てきます。
プロテウスの存在は1話の引きで結構いい仕事をしましたが存在自体が曖昧にされたところは微妙でした。主人公が精神操作を受けていて事実が有耶無耶になるあたりはミステリー感もあり、1話ラストのちょっとしたホラーより怖くてかなり良かった。

隠し子問題は正直いらなかったかな…人間ドラマは作りやすいかと思うが政治ドラマが結構出来ていたので不要だったかな。


・吹替え版について

吹替えで視聴したのですがこれがかなり面白い。
元大統領のジョージ・マレンをロバート・デ・ニーロ(CV:銀河万丈)、妻シーラ・マレンをリジー・キャプラン(CV:高島雅羅)が演じる。
初のデニーロ役の銀河万丈、そして妻は高島雅羅。この2人実の夫婦です。

声優の夫婦共演もの大好きです!!!

デニーロはフィックスがいない感じではありますが、夫婦共演と最後の演説のためのキャスティングだろうか。
ジークジオンで終わりそうなドラマでした。

そして大好きなクラーク・グレッグ(CV:村治学)
「南の島に行く」と海外逃亡を匂わせて退場しますがどこかあのタヒチを思わせるセリフに笑ってしましました。

「タヒチは魔法の国だ」


・まとめ

結構楽しめて見れた。
ゼロデイ委員会のエンジニア周りのスピンオフとか見たいけど、まあ需要はないよねー。

しかしハリソンフォード大統領に続き、ロバートデニーロ元大統領と2週続けて大物大統領作品が続くとはね。もしかして大統領交代の時期ってこの手の作品が多かったりするのかな?
前回の大統領交代の時期とかどうだったんだろう。


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