【サブスクよもやも話#1】本当にジブリの海外認知度は低いのか?
note公式に記事をピックアップして頂いた勢いでそれっぽいマガジンを開設してしまいました。
サブスクよもやま話と名付けましたが勢いすぎてナンバリングの第一弾にあたる記事の見通しも付いてなかった状態です…とりあえず以下二つの続編的な記事としてジブリ作品の海外認知度の話題でもう1本記事を書きます。
よろしくお願いします。
前回、Huluとジブリの話を取り扱うにあたり参考にしたのがすずきさんの日テレの株主総会のレポートでした。ここではジブリの国内、海外の配信事情についても触れられてました。
Huluでジブリ作品を配信しない理由は国内需要がまだ金ロードショー(TV放送)と円盤にあることですが、一方海外で配信をしている理由が海外での認知の低さだそうです。
国内需要については前回の記事で書きました。視聴率はやや右肩下がりなものの10%前半を維持しているのであまり方針は変わりそうに無いかと思う。
トトロやラピュタあたりが10%切ると方針が変わるだろうが、今夏の放送もなかなか視聴率だったので右肩下がりと言えどそこまで下がる未来がすぐに来るとも思えない。配信はまだまだ先だろうか……
で、今回の記事のメインの海外配信についてだが
日テレ的にはジブリは海外で認知されてないらしい???
本当に?
ということで今回の記事ではジブリの海外認知度についていろいろとデータを漁って書いて行こうと思う。
Netflixエンゲージメントレポート(ジブリ編)
まず直近公開された2023年下半期の映画データを見てみます。
国内作品の1位は実写ゾン100、2位が赤ずきん、旅の途中で死体と出会うでした。この2本はNetflixオリジナル映画なのでプロモーションにも力が入っていたため、まぁ必然的にある程度人気が出る作品である。作品の出来の良し悪しに関わらず再生回数はある程度回るだろう。
後者は邦画として初めてグローバルの非英語作品で1位になった作品であり、その結果を知っていると納得の数字ではある。
続く3位はリメイク版のミュウツーの逆襲です。そして4位がハウルの動く城で5位がキングダムとなってます。
ジブリのトップはハウルでした。ハウルの半年間の視聴回数は約730万回。
これは続編があるとか、配信開始直後とかの外部からのブースト要因があまりない状態での数字になります。日本国内では君たちはどう生きるかが上映されていたが、海外では2023年9月にトロント国際映画祭で初上映、その後上映拡大だったのであまり影響はなさそう。
年間通しての再生回数は1,575万回なので上半期845万回で上半期が少し多いですが、一般的なTVアニメの配信だと放送時期にもっと再生回数偏る傾向があるのでこの程度は誤差だと思います。
配信開始が2020年なので3年前から配信されていて常時このくらい見られてると思う。仮に2020年からペースを維持してるとすると4,500万回くらい再生されていてもおかしくはない。
年間通して1500万再生されてるんですよ?
これで認知されてない???
評価厳しすぎません?
劇場公開映画と比較するために『動員1500万人』でググってみてください。たぶん君の名は。や鬼滅の刃無限列車編のニュースなどが出てくると思います。どちらも動員1500万人に達したのは大体興行収入200億前後の頃です。
毎年上映してるコナンやスラダン、呪術0が到達できなかったレベルです。
ではハウル以外の作品はどうなのかということで、2023年の年間まとめが以下の通りである。
上半期、下半期の総再生時間と上映時間で割った再生回数(のべ視聴者数)を書いている。
1000万再生越えが4作品、映画で1000万人動員すると大体興行収入150億程度です。1/10の100万が大体15億くらいのラインになる。最近の劇場公開作品ならば全然ヒットのラインです。
最下位のホーホケキョ となりの山田くんは23万再生にとどまっている。
この数字がどの程度か判断するのが非常に難しいところではある。最新作の君たちはどう生きるかの円盤売り上げが初週3万弱(DVD1.3万枚/Blu-ray1.3万枚)なことを考えると国外のみで23万回も再生されてるのは十分だと思う。
地上波放送封印から24年、国内では円盤で年間何度再生されていることかをシンプルに考えると見放題サービスで開かれた状態であることの素晴らしさを十分に感じれる数字だと思う。
今は円盤全盛期の社会では無いもの実質配信封印、TV放送依存状態にあるジブリ作品においては90年代、00年代と大して状況は変わってない円盤至上主義なわけです。
TV放送もほとんどが日テレの金ローのみなので放送される回数も数に限りがあります。
だからこそ今の時代でも新作なら初週から10万弱くらい売れても良いような気がしなくもないですが……さすがにそこまで売れない。
君たちはどう生きるかの円盤発売から2ヵ月ほど経過しましたがまだTV放送は未定です。1年半程度で放送するケースもあるので年末年始あたりには放送する可能性はありますが現状では録画も誰も持ってないため、円盤の購入者しか見れない状態が続きます。
ジブリシリーズ全体の認知度
1500万から23万とシリーズ通してみると作品によってむらがあるのは確かですが、ジブリ全体の合計の再生回数は8,800万再生を越えてます。
次はこの8,800万回がざっくりとどの程度の数か検証してみます。
2020年2月のジブリシリーズ配信開始時はアメリカ、カナダ、日本の3ヶ国が除外されていたが同年6月にはカナダでの配信も開始されてます。(アメリカはHBO Maxで配信中)
Netflixのアメリカ・カナダの加入者は約8,000万人おり、比率は公開されてないが人口がカナダ3,800万人とアメリカ3.3億人と10倍近い差があるため必然的に7,000万人強はアメリカの加入者だと思われる。
Netflixには現在2.7億人が加入しているのでざっくりと日本とアメリカを除く約2億人がジブリ作品を視聴可能といったところだろう。
2億人が利用可能のサービスで8,800万回も再生されてることになります。
これはさすがに十分認知されてるのではないか?
配信だけでは無く円盤の方も海外は結構力を入れていると思う。
海外の方がコレクターズアイテムとしての売り出し方がされていてデザインの統一されたスチールブック(金属製ケース)がある。
日本国内でも結構人気でリージョンフリーの再生機を持ってるユーザーは集めてる人もいる。
国内向けには作品集BOXがあるがジブリ全体ではなく宮崎監督の作品のみとなっていて、値段もかなりするためライト層を取り入れたり、作品を普及させることは難しそう。同じくコレクターズアイテムではあるがちょっと方向性は違うような気がする。
いや、めっちゃ欲しいけどね……6万って月5000円のサブスク1年分だから今見てるサブスクの大半を止めて1年ジブリのみにすれば買える値段と思うと気軽には買えない。
MyAnimeListでの認知度
海外認知度と言うことで海外の方アニメ視聴者御用達のMyAnimeListを見てみる。英語圏を中心に月間数百万人が利用しているアニメのレビューサイトです。
いきなりですが人気ランキングから劇場版のみを抜粋したTop10が以下の通りです。(2024年9月11日時点)
10本中4本がジブリ、他の6本は2010年代後半以降に公開された映画で鬼滅の刃や呪術などは日本とタイムラグなくTVシリーズが配信され、劇場版も大規模なものだったので結構納得がいく。
他には新海誠作品が2本。12位あたりには秒速5センチメートルもあったので海外の新海監督人気は相当なものだと思う。
聲の形が2位で、君の膵臓をたべたいがTop10にランクインしてきたのは結構驚きな結果。
このランキングは作品の面白さの評価では無く、単純に見た人が多いというそのまんま認知度と言っても良い指標での結果です。
このサイトを見る限りでも決して認知度が低いなんてことも無いと思う。
まとめ
ノリと勢いで書いてきたのであまりオチというオチが思いついてないのだけど少なくともNetflixの数字や海外での売り方を見る限りでは認知度が低いとは思えない。
2022年にはDisney+で禅 グローグーとマックロクロスケという3分ほどの短編作品も配信している。
Netflixが独占配信権を持ってなかったらDisney+での配信権を欲しかったに違いない。
円盤の方は徳間とディズニーが提携して以降の販売権はディズニーが持ってるので配信はNetflix、円盤はディズニーで綺麗に権利を分け合ってることになる。
その点日本はまだNetflixもDisney+も配信してないし、Disneyとセットプランを展開しているHuluが傘下にある。Huluには是非このアドバンテージは活かしてほしい。
海外の認知度も高いんだし日本と海外分けて考えずに日本も配信すればいいとか単純な話でもないんだろうなというのは何となく察しがつくところ、最初にも書いた通りだがゴールデンタイムのドラマが視聴率一桁前半で苦しむ中ジブリの人気作は再放送にも関わらず10%を確実に超える数字を持ってるのは確かではある。
一方で前回書いた通り視聴率があまりとれない作品、宮崎駿監督以外の作品の放送頻度はここ数年でかなり減ってきている。レンタル業者も減る一方なのでそのあたり対策をして国内認知度を気にするフェーズに入っているようにも思う。
まとめとしては、そんなとこですかね……こんな感じで今後もサブスクのサービスについてなど、作品の感想以外の雑談をマガジンに追加していくのでフォローよろしくお願いします。
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