Netflixオリジナルドラマ『The Cage/ザ・ケージ』感想
Netflixユーザーとしても、MMAファンとしても期待していたオリジナルドラマ THE CAGE/ザ・ケージが配信されたので、配信日に一気に完走しました(寝落ちして、途中から次の日の朝見たけど)
あらすじ
プロになることを夢見るも、日の目を見ることなく奮闘していた若い格闘家。だが、ある日思いがけず挑んだ闘いが冷酷非道な対戦相手との大勝負へのきっかけとなる。
感想
この作品を簡単に説明するとサンクチュアリ-聖域-や極悪女王のフランス制作のMMA版というのが一番しっくりくる例えだと思う。
見どころはやはりUFCレジェンド達が実名のまま本人役で登場することにある。
このUFCレジェンド達の出演シーンに関しては比較的よくできてると思った。
しかし、ちょっと主人公贔屓過ぎる感じは否めない。
ノックアウト動画がバズってガーヌの番組に呼ばれ、ジョルジュ・サンピエールに修行をつけてもらう。試合に負けPTSDに陥ったらジョン・ジョーンズがサポートしてくれる。
ヒール役にはなってしまうが1人くらいライバル側にいてくれてもよかった。
まぁ、普通にそんな環境というか選手はいないっすよ……高校球児がまぐれでプロからホームラン打ったら、メジャーリーグの球団から声かかりまくって大谷と対戦することになるみたいな感じですかね(この例えで合ってんのだろうか……)
映像の迫力はなかなか、基本MMAはケージやリングの外からの映像が多い、戦ってる中にカメラマンを置いておくわけにはいかないので当たり前のことではある。
レフェリーの目線カメラがある試合もあるが基本的に格闘技の映像のアングルはほぼ決まりきったものしか無い。
そういったリアルの映像に比べてケージ内で選手にグッと寄った映像で魅せるMMAアクションはかなり良かったし、相手の攻撃を受けるシーン、仕掛けるシーンの一人称視点もあって臨場感あった。
だいぶ好意的に書いたが良くなかった点も書こう。
ストーリーが酷い。
正確に書けば一つ一つはそこまで酷くは無いと思うが、5話という実質TVアニメ1クールほどの尺に対してとにかく情報量が多い。
情報量が多すぎて整理出来てないと言うか、整理する気がない?投げっぱなしの話が多くて終わる。
ざっくりと主人公とライバルについて話を列挙する(結構ネタバレ有り)
・主人公
借金が原因で高いファイトマネーのために連戦を希望するが結局金は作れず、と言うか実の母が主人公から金を巻き上げようとしてる事実が発覚し、最終戦も応援に来ず夜逃げ……
ジムメイトと恋仲になるも同じジムの仲間のニコ(ドーピング常習犯)とは上手くいかなくなる。最終戦に向け一時は信頼関係が回復したように見えたが最終戦後に……
4話から5話にかけてジムの代表のボスがいざこざに巻き込まれ病院送りとなる。以降出演無し……容態回復したんすかね?
一番深掘りすべきはPRIDEのTシャツなのに…一番好きなキャラ
・ライバル
なんかずっとキレてるライバルキャラ、1話時点でジムを破門になっててボスとは確執があるように描かれるが真相がハッキリするのは最終話あたり。ボスは刺され病院送りになり退場してるため、過去の傷害事件で裁かれる云々に関しては不明で終わる。
主人公サイドから見ても家庭内の金銭問題、ジムメイトとの恋愛、それを良く思わないドーピング男、やたら文句つけてくる破門された先輩(ライバル)、UFCレジェンド達との特訓、試合シーンととてもたったの5話で終わらせる物量ではない。
これでライバルやジムのボスからさらに話を膨らませようとするのでさらに厄介。どっか削りなさいよ!!!
ツッコミどころ(MMA観点)
最後にちょっとだけMMAに突っ込んだ話をしよう。
このドラマは書いた通り、レジェンドの起用や迫力ある試合シーンからリーチしたい客層は既存のMMAファンだと感じ取れる。
とは言えNetflixには膨大な数の会員がいるため、一般層を取り込めればそれに越したことはない。
それ故のラブストーリーあり、家族の物語あり、過激とまで言えるライバル関係のいろんな要素を入れ込んだとっちらかりストーリーなんだと思う。
私はそこそこ歴の長いMMAファンの自負はあるので、この作品の第一ターゲットになると思う。そのファンから一言……
色々と作りが甘い!!!
全5話で進む時間は約8ヶ月間なのだが主人公は何と5試合+αの試合を行う。ファイトマネーが必要とは言え明らかに試合数が多すぎる。
今のUFC、RIZINファイターは多くて年間3〜4試合といったところだろうか。もっともこれは被ダメージが少ない選手に限る話です。
ライバルとのスパーでのKOから始まり、1試合目ドロー、2〜4試合目はファイトマネーのために適正階級より一つ上のミドル級での1日3試合をの1Dayトーナメント……KSW事情にはそこまで詳しくないがこんな2000年代のPRIDEみたいなことやるの?
決勝では失神KOくらい、精神的にはPTSDになる。上の階級でのダメージだし、普通ならこの時点である程度の休養がはいるはずも荒療治のため地下格闘技で+αの戦いから最後の5戦目となる。
多すぎ!!!戦いすぎ!!!死ぬって!!
借金返済のためのファイトマネーとは言ったものの正直この借金がストーリー上で上手く機能してないため、あまり試合を急ぐ必要性を感じない。やるんなら母親が取り立て屋のごとくジムに殴り込んでくるくらいの緊迫感が欲しかった。
なのでもう少し現実味のある試合日程でもよかったように感じる。
正直8ヶ月を2年間のストーリーに変えたところで全然問題なく展開は作れたかと思う。
次に主人公の実力が不明瞭なところ…同じウェルター級の中で比較的スピードがある方だとは明言されるがそれ以上の実力については実にかなり不明瞭。
カナダのジョルジュ・サンピエールのとこに出稽古に行ってもそこで何か技を習得したりといった描写も少ない。
コンビネーションのミット撃ちは結構印象的に作られてるので、ここは分かりやすくコンビネーションでKOして成果を描くべきだったと思う。
突然の閃きで膝一閃なんてくり出すもんなのでそれはそれでポテンシャルの高さだけは感じた。ここといった強みがなんなのか良くわからない。
最後、これは完全に制作サイドの話になる。
監修をつけましょう!!
KSWトーナメントの準決勝の相手のママエフはチェチェン/ダゲスタンあたりをイメージしてる選手になる。
この選手は現UFCライト級王者のマカチェフとトレーニングを積んできたと実況から紹介される。英語音声や日本語字幕もそのとおりだった。
しかし、日本語音声はというとカムザット・チマエフとトレーニングしたと紹介されるんですね。
マカチェフとチマエフは2階級差、ライト級70キロとミドル級83キロの違いがあります。
どっちとトレーニング積んできたかってのは結構重要なのでは?言語によって別選手になるのは違うでしょう……シンプルにMMAの監修入れてください。こんな素人ファンにツッコミ入れさせないでください。
実況/解説がリアネイキッドチョークと説明するシーンでも明らかに肩固めに近かったりするとこもあったのでまぁしっかりしてくれよと……
そんなとこですかね、以上です。
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