【サブスクよもやま話#2】将軍エミー賞受賞と海外ドラマとの付き合い方
9/16(祝)、特に予定もないので朝からエミー賞の授賞式を見た。
今回はそのエミー賞の話と海外ドラマ(配信ドラマ)との付き合い方について書いていこうと思う。海外ドラマって本数は馬鹿みたいに多いし、サービスも多い、実は1サービスで見れるドラマはかなり限られてて見やすいようで見づらいのが現在の状況です。
・2024年のエミー賞
まずは今年のエミー賞について、いろいろ触れたいけどドラマ・シリーズ部門に絞って書く。
エミー賞はアメリカのドラマのアワードで、映画でいうところのアカデミー賞、音楽でいうところのグラミー賞みたいなものだと例えられることが多い。今年の授賞式はU-NEXTで配信していた。
今年の目玉はなんといっても真田広之主演/プロデュースのSHOGUN 将軍が最多ノミネートしていることだった。前週に発表された技術系、美術系で既に14冠を達成し、今回発表される主要部門も総なめにする可能性もあると期待されていた。
結果は見事に作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞の4冠達成。
技術部門を合わせると18冠になった。浅野さん、平さんの助演男優が取れなかったのは残念だった。
12時頃に作品賞の発表があり、Xでのトレンド入り、夕方や夜のニュースでも大々的に取り上げられていた。
アカデミーやグラミーのノミネーションや授賞が話題になることは数年に一度くらいのペースであるが、エミー賞が日本でここまでの盛り上がりを見せたのは初めてに近いと思う。イカゲーム受賞のときもアジア初で少し盛り上がったり、2007年に助演男優賞でノミネートされたマシ・オカさんのときも今回ほどではないが少し話題になった。
祝福の声が多い一方で日本ではDisney+独占配信であること、地上波放送がないことへの疑問や批判的な意見も多く見られたので、そこについてちょっと解説というかフォローを入れたい。
昨晩もちょっとだけ書いたがそういうスタンスでは海外ドラマは観れないと思うんだ…
・2000年以降のエミー賞の転換点
将軍の配信についての前に今現在の海外ドラマの配信状況についてエミー賞の近年の歴史とともにまとめてみようと思う。自分が観測出来てる範囲はだいたい2000年以降になるが、これ以降エミー賞は2度ほど大きな転換点があったと思う。
1度目は2004年のザ・ソプラノズ 哀愁のマフィアの受賞、それまでABC、NBC、CBSの地上波3強で作品賞を受賞して来たなかでHBOというケーブルテレビのドラマが初受賞した。翌年LOST(ABC)、翌々年には24(FOX)と一度地上波ドラマの受賞に戻るが2007年からはザ・ソプラノズ(HBO)、マッドメン(AMC)、HOMELAND(Showtime)、ブレイキング・バッド(AMC)、ゲームオブスローンズ(HBO)とケーブルテレビドラマの独壇場が続く。
2度目の転換点は2017年のハンドメイズ・テイル/侍女の物語(Hulu)の受賞。これが配信ドラマとして初受賞になる。
こちらも同じく翌年にはゲームオブスローンズ(HBO)とケーブルテレビドラマの再受賞に一度戻っていくのだが、このタイミングをきっかけにノミネート作の半数をNetflix、Disney+、Amazon Primeなどで占める配信ドラマの時代に入る。
以降もHBOのゲースロとサクセッション(メディア王)がかなり強い時代が続くが2020年以降はHBOも配信サービスを開始し、緩やかにケーブルTVドラマ=配信ドラマのような流れになっていく。純粋な配信ドラマの受賞はこれ以外にザ・クラウン(Netflix)の2度だけになる。今回受賞した将軍もFXのケーブルドラマ扱いになっている。
配信ドラマの特徴としては基本的に配信サービスが固定であること(独占配信)にある。まぁここはほとんど揺るがない。Disney+で配信しているMCUのドラマがアマプラで見放題配信することはまず持ってないと思うし、アマプラオリジナルがDisney+で配信することもないだろう。
HBOが配信サービスHBO Maxを開始したり、ディズニーのFOX買収によりケーブルテレビドラマも配信先が自社配信サービス、親会社の配信サービスと限られるようになっていく。
将軍のようにFX製作(Disney傘下)は世界的にはDisney+、アメリカ国内ではHuluでの配信となる。ゲームオブスローンズやサクセッションはHBOなのでアメリカ国内ではHBO Max、日本ではU-NEXTでの配信となる。
・Huluの黄金時代
5年ほど前だと結構状況は違っていて、日本のHuluではブレキング・バッド(現在Netflix独占)、ゲームオブスローンズ(現在U-NEXT独占)も見れてたし24、LOST、HEROES、フラッシュなど地上波のドラマはCBS、NBC、ABC問わずかなりの数が見れた時代があった…ここ数年でブレイキングバッドとゲースロは独占サービスに持っていかれるし、目玉だったウォーキングデッドの最速配信もDisney+に持っていかれる始末。
他にもFOXの買収では過去に放送してたプリズンブレイクなどのFOX作品までもがDisney傘下のサービスでの独占配信という流れにもなっていった。最近独占解除されNetflixでも見れるようになった(これがよもやま話#2の予定でした)
こんな感じでエミー賞の転換点とサービスの台頭、確立により見れるドラマとそのサービスはかなり絞られてきている。一見サービスが増え便利そうに見えるがドラマを見るためには数多くのサービスに加入することを余儀なくされている状態になってる。
・日本の海外ドラマ事情
前の章で大体書けているがちょっと捕捉、所謂アメリカの地上波ドラマ(ABC、NBC、CBS、FOX)は結構日本の地上波でも放送していた。00年代中頃の24ブームなどはすごかった。(中学生だったのであんま覚えてないけど)
HBOなどのケーブル局が台頭したタイミングで日本の地上波放送はほぼなくなり市場としては下火だったと思う。
ゲースロのシーズン1はスターチャンネルでの放送までに2年ほどラグがあったし、Huluでの見放題サービスに入るまでに5年近くかかっている。地上波放送もないし配信サービスも無い時代がちょうどエミー賞でケーブル局が絶好調だった時期とほぼ重なる。
この頃のケーブルドラマはスターチャンネル、フジテレビNEXT、スーパードラマTV、AXNなどのCSチャンネルを中心に放送されていたが今の配信サービスに比べると加入者も少なく、熱心な海外ドラマファン以外が見ていたかと言うとそうでもない。
将軍を製作したFX(FXP)はゲースロやブレイキングバッドがあったHBOやAMCと違いドラマシリーズでは初受賞にだったので日本国内の知名度がなかったり、Wikipediaのページが無いのも何となく納得がいく。
ファーゴとかあるけどスターチャンネルだったしなぁ……
・将軍のエミー受賞とその反応、Disney+以外で見れる可能性
話を将軍のエミー賞受賞に戻そう。
先ほども書いたが多くの祝福の声はあったがやはり独占配信、TV放送無しの状態に対しての苦言などはかなり目立った。
こういったアワードでの注目がサービス加入へ繋がるのではなく、「あ、Disney+独占配信配信なんだ。じゃあいいや」で考えが止まってしまう人が多いことにはかなり疑問を抱く。
やはり多くの人は地上波で放送されることや、他の配信サービスで見れるようになることを期待しているようだった。
先ほども書いたが今の世の中、海外ドラマはそんな簡単に見れないですよ?
製作会社やケーブルテレビ局と配信サービスが密になってきてる現状、メインは独占配信コンテンツにあります。
・他の配信サービスで見れる可能性
100%見れないとまで言い切れませんが、FXはディズニー傘下のため基本的にDisney+でしか配信しません。ここはなかなか揺るがないと思う。
可能性があるとすれば日本国内でもセットプランを提供すうHuluが配信する可能性は捨てきれないですが、逆にセットプランも提供していることからHuluの単独加入者をセットプランに乗り換えさせるための良い餌になりそうなので簡単に解放とはいかないかと思う。
日本国内において将軍はDisney+一番のキラーコンテンツになったと思うし、ここは売り込むべきだし囲い込むべきと判断するだろう。
シーズン2配信タイミングでシーズン1をHuluへという撒き餌のような作戦も考えられる。
・TV放送の可能性
今回の受賞の話題性に乗ってTV局が手を出さないとは言い切れませんが、ここ数年地上波で海外ドラマを放送しているのを見たことがありますか?と言えば実情は大体わかると思います。
まぁ、無いんですよね…深夜の関東ローカル枠とかはありますが全国ネットの海外ドラマっていつが最後なんでしょうねってレベルです。
可能性があるとしたら有料のCSだけど、FOXチャンネルを継承している新Dlifeあたりかな…FX製作のアメリカン・ホラー・ストーリーなどの放送実績もあるので可能性はあるかな。鉄は熱いうちにということで年内くらいに放送してくれたらまだまだ伸びる可能性もあるけどどうなんでしょう。
ゼロから考えるとサブスク加入よりCS加入の方がハードル高そうな気がするけど…
・経緯や過程を無視した的外れな意見
ここはちょっと辛口で、今まで書いている通り将軍はディズニー傘下のFX製作です。それに対して「日本で会員数の少ないDisney+で配信するのは判断間違ってる」とか「Disney+はディズニーアニメ以外に手を出すな」みたいな使ってもないサービスのネガキャンに近いような意見もちらほらあります。
「日本で会員数の少ないDisney+で配信するのは判断間違ってる」に対しては製作の過程や経緯を考えるとFXが作ったのに別会社のサービス優先で配信する方が普通に間違ってますよね?加入者数とか関係なく自社コンテンツなので自社サービスが優先されるだけのことです。
ちなみにアメリカのHuluは国内で4000万人越え、Disney+は全世界で1億5000万人の会員がいます。会員数だけ見ても普通に観れる作品です。「日本は…」みたいな話ではないです。
これに近い意見でアニメもドラマも独占配信は辞めてアマプラ(国内加入者最多サービス)で配信しろって声は永久に無くならないんですが、これって漫画で例えるとジャンプの読者が多いのでサンデーとマガジンの人気作はジャンプに来いって言ってるのに近い気がします。
自社で作って、育てたコンテンツなのでそこは独占するべきです。それが強みだし、良い意味での差別化です。
アニメ配信においては独占配信にして話題の醸成が出来ないことも多々ありますがこれは制作側の判断でそうしているわけで、それが良いと思った理由もあるのでしょう…あぁ勿体ないと思うこともありますがそれがその作品が選んだ道なので仕方ないと思うことにしています。
「Disney+はディズニーアニメ以外に手を出すな」に対して、ディズニーがアニメのみを作ってる会社って認識はかなり古いので改めたほうが良いですね。
アニメ映画は数年に1本ほどです。実写のドラマ、映画が多くFOXを買収した今に至ってはその比重はかなり実写寄りです。
色んな作品に手を出していて明らかにディズニー資本の入ってないだろって時もあるし、この関係ない作品には手を出すなってとこは言わんとしてることは分かるし、全否定出来ないです。
でも、少なくとも将軍に関してはDisneyと関係のある作品です。
・まとめ
今回の話をまとめると配信サービス時代において海外ドラマは自分から見に行くスタイルでいないと作品からやってくることはそうそう無いということです。
将軍の地上波放送待ちしてる人、他サービスへの解放待ちしてる人へ、正直これはいつになるかわからないし後者に至っては製作会社の都合上「今日からネトフリでも配信しまーす」みたいな話にほぼならないです。
普通に作品が見たいなら加入してから観ましょう!それが海外ドラマ、配信ドラマとの上手い付き合い方です。続けることはない、見たい時に入って一気見して辞めればいいだけのこと。
マジでドラマは待っても来ません!!!自分から観に行け!!!
以上
今回の記事をマガジンの2本目としました。
#2、#3は決まってて下書きしてたんですがちょっとスキップして話題の将軍を取り上げてみました。
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