2/19「プロダクトデザイン特論。」

大学の授業おもろかった〜、というはなし。

大学生のころ、じぶんの専攻ではないプロダクトデザインの講義を半年くらい受講した。

べつに講義内容に興味があったわけじゃなく、知り合いのプロダクトデザイン専攻のひとたちが社交的で社会性があってよいひとばかりだったので、なんかいいなと思って受講した。

講義内容は、線について。担当教授はもともと大手メーカーの音楽機器デザインをやっていた男性だった。

教授。
「ぼくはずっと、線、ボーダー、ラインについて考えています。まずは今から配る紙に線を引いてほしい」
とか言って、葉書くらいの大きさのコピー用紙を渡された。

とりあえず1本引いてみる。紙は横位置で、線も左から右へ。水平線みたいなかんじ。

ほかの受講生たちもそんなふうだった。
うなずく教授。

「きみたちはものをつくるひとなんだ。ものをつくるひとが、線を引けといわれてただ引くだけなんて面白みがないよ。もっと線とはなにか考えてみよう」

うざ…と思いつつ講義はつづく。

「これを見て」

教授は手元から葉書サイズの紙を5枚取り出す。段階を踏んでそれぞれ違う太さの黒い線が引かれてた。いちばん細いのはシャーペンの芯くらい。いちばん太いと、紙の左右の端を残して画面のほとんどが真っ黒になるくらい。


いちばん細い線の紙を見せて言う。
「これを線だと思うひと?」
受講生は全員手をあげる。

3段階目、トイレットペーパーの芯くらいの幅の線?を見せる。
「これはどう?」半分くらいが挙手。

5段階目、ほぼ真っ黒の紙を見せる。
誰も手をあげない。


「でもね、ぼくはこれも線だと思うんだ。だってこれをたくさんつくって、黒いところを繋げて遠くから見たら、自然な線に見えるだろ。この紙は長い線の一部なんだって考えたら、やっぱり線だろ」

さらに話はつづく。

「いちばん最初の紙だって、仮にぼくらが微生物みたいに小さかったら、線じゃなくて面に見えると思うよ。最後の紙みたいに」

しーん。

「いま話したことを考えて、来週また線を持ってきてください」



たのしい講評会になった。

紙の厚みに黒いマジックで色をつけたひと。
紙をグレーに塗って、さらに画面の半分をもっと濃いグレーで重ね塗りしたひと。
紙を微妙にずらして重ねて折ったひと。

じぶんは飛行機雲を地上から撮ってコンビニでプリントした。飛行機雲は線に見えるけど、すごく近づくと排気ガスがもとになった氷の粒とか水滴。それをプリントすると、インクの粒で出来た線。


講義は何人も教授が入れ替わった。たぶん1人2コマ〜3コマ担当とかだったんだとおもう。教授の名前は覚えてない。検索したら出てきそうだけどそんなのつまんないし、内容が身になってるほうが重要なんだろう。

制作してるといまだに講義のつづきをやってるような気がする。




▼3/16(日)高田馬場にて対談イベント。


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