明治の女の血をつなぎ、お金は守銭奴で
一夜明けて。
採用担当者からの連絡は今日も来ない。
また直談判しに行こうか。敬語が間違ってないか、話すとき気になるけど。
おばあちゃんと、私の知らないおばあちゃん
祖母がまだ、寝ている朝食の食卓で、母とおばが話していたのは、認知症チェックシートについて。
母から、祖母は自尊心が高い人で、お嬢様育ちだったと母の祖母像を聞く。
でも育ちに関係なく、人は皆自尊心があるものだと思う。
話は、祖母の姑、母とおばから見て「おばあちゃん」になる人、サトばあちゃんに。
私が産まれたばかりの頃に亡くなり、その人については母とおばから聞いた話でしか分からないけど、はっきり言って意地悪な人だ。
母によれば、「いじわるばあさんだったんだよ」
祖母から、「いじめ殺されそうになった」と言われたんだと。
なにがあった。
ドラマの『渡る世間は鬼ばかり』のOP曲が頭の中に流れた。
2人の話をよく聞いてみると、サトばあちゃんはその昔、明治時代あたりになるのか、
女性は男性より下(が普通!)
の社会の価値観で嫌な思いをした人だったのだろうか。
サトさんには弟がいた。
が、土地の相続はその弟に全部与えられてしまい、かなり悔しい思いをしたらしい。
おば「井の頭線のあたりに土地があって」
その土地は弟が売り、弟の奥様がとっても豪奢な着物を着ていた。
おば「もしあたしが男だったら、あの土地は売らなかったから、井の頭線がこーんなに(右手で半円を描きながら)歪んでたんだ」
と、サトばあちゃんが言ったそうな。
私「こーんなに? 笑(おばの手の動きをまねる)」
おば「こーんなに」
弟夫婦に嫉妬しなくても……、ああ、でもカネは天下のまわりもの、遺産相続は遺産「争族」になるという。血縁の愛<金か、分断や怒りを起こす金。
まあ、子孫としては、井の頭線が走りにくい
_Ω_
妙なレールの形にならなくて、よかったよかった。
母「サトばあちゃん、後妻だったのよ。わかる? 後妻」
わかるよ。
おばは、サトばあちゃんの言動、行動のベースにあるのは
嫉妬
ではないかと分析していた。
夫は妻よりお母さんの味方になるもの、らしい。
祖父は、祖母よりサトばあちゃん側についていたので、それを聞いて
「じーちゃん……」そりゃないわぁ。
実のところは、サトばあちゃんの欠席裁判のようなものなので、
天国から本人を呼び出す能力の無い私にはわかりようがないが、
2024年の夫婦と、嫁姑関係はどうか、適度な遠めの距離で、家の中の誰かがきつい、辛い思いをする家族ではありませんように。
おばから聞いた話を祖母に聞いた。
サトばあちゃんに関する情報を、祖母本人に聞いてみる。
朝ご飯中の祖母。
わが家の今朝の、祖母の朝ご飯は、ごはん、しじみのお味噌汁、卵をレンチンしたもの、海苔にしょうゆをつけたもの。
祖母「うんうん。
結婚したけど追い出されたのよ」
私「ふーんふふっ」
おばあちゃんの、「追い出された」の声色にちょっとだけ攻撃を感じたのは、気のせいだろうか。
サトばあちゃんの夫が亡くなったあとも、義姉は生きていた。
祖母「大変だよね」
女性は男性より下のほうがいい は令和時代もまだあるの?
ただ、かわいそうなところは、サトばあちゃんは新聞が読めなかった。
識字率……。
気になって、Googleで「識字率 明治時代 女性」で検索すると、
この記事から一部引用。
<明治時代に入って識字率の調査が地域ごとに行われましたが、通商、交通の要所などで高く、それ以外は極端に低いなど地域格差が認められ、全国平均では男子が50~60%、女子が30%であったとされています。>
祖母に
「サトばあちゃんが生きてた頃は、女性は読み書きできなくてもいいって思われてたのかね」
と尋ねると。
「小学校出たぐらいで、畑仕事をしてたし、勉強ができると男性に嫌がられるから」
それでいいじゃないか、なんて認識だったそう。
ちなみに、おばあちゃんは女学校を出ています。だから新聞を読めるには読めるし、隣でいま読んでいます。が、さっき話した話題を数分後にもう一度家族に聞いたりしてくるので、
おばが、「新聞読めなくなってる」のではと言っていました。
んーどうだろう。
粗品さんの金銭感覚を楽しむ家族
この前見た『酒のツマミになる話』で、粗品さんのお財布がおもしろかったとおばから聞き、TVerで見てみる。音量は祖母に合わせて大きめに。
千鳥のノブさんが粗品さんの、いただきものだというルイ・ヴィトンの長財布を開けると。
ノブ「札、ゼロ、小銭ちょろ」
お財布から馬券がいっぱい出てきた。
ノブ「馬券たらふくです」
笑いが起きていた。
停止ボタンを押し、馬券の値段を見ようとする。
私「これいくらだろ。(見てやれ)……5000円?」
そもそも、馬券ってどこに金額が印刷されてるかも知らない。競馬未経験。
ギャンブルは、一生懸命働いて稼いだお金を、射幸心や高揚感と引き換えに誰かにあげるものだと思っている。
再生すると、ちょうど見える角度になった。停止。
すると横から見ていたおばが、「50000円?!」
これ何枚あるんだと考えて、だいたい、2、30枚ぐらい。
おば・私「250000円?!」
ぜんぶで何円使ったんだろう、あの馬券の数。
わが家に笑いと、驚きをもたらしました。
番組内で、「先月電気止まって……」なんて言っていたけど、大丈夫?
粗品さん、吉本のマネージャーさんに通帳取られたってネットニュースで見ましたよ。無職の私が言える立場じゃないけど、お金には気をつけくださいね。
いや、私こそ、気をつけろ。貯金どんどんなくなる一方だもんな。
守銭奴って悪口みたいな言葉だけど、この物価高で、政治家みたいな金銭感覚にはなれない、なったら破滅する身分の者としては、いまや守銭奴はほめ言葉に変わったのでは。