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小説

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主にカノウソウスケ名義で投稿ないし発表した小説を投げます。
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2018年9月の記事一覧

窓の向こう側(前編)

 きっと、惚れた異性に初めて告白するときにはこんな気分になるに違いない。
 絵のモデルになってくれないか、ただその一言を絞り出すのに随分勇気が要った。
「モデルって……」
「いや、ヌードとかじゃなくて、普通に座っているだけでいいから」
 慌てて早口で付け足した言葉は空回りした気がした。俺はさぞ滑稽な顔をしていたのだろう。そんな俺の様子が可笑しかったのかもしれない。斉藤ははにかみ半分、微笑んで言った

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