中国国家レベルのプロジェクト「全球漢籍合璧工程(世界漢籍統合プロジェクト)」に協力した時のこと
ナカシャクリエイテブが取り組んでいる文化財関連の業務は、文化財のデジタルアーカイブやレプリカ作成、アプリ・WEBサイトの開発、博物館展示支援など様々ですが、資料の整理や学術調査のサポートもおこなっています。
お客様としては日本国内の博物館や図書館、自治体様が多いのですが、実は海外のお客様とお仕事をさせていただくこともあるんです(海外に出張することもしばしば…)。そこで今後、NOTEでは海外との業務や海外の博物館事情などもご紹介していきます。
それは2018年のこと。中国の山東大学で「全球漢籍合璧工程(世界漢籍統合プロジェクト)」が立ち上がりました。これは、世界中に散在する漢籍(中国の古典籍。このプロジェクトでは中華民国成立(1912年)以前の書物を指す)の所在状況を調査・整理しようという計画で、その成果は目録やデータベースとして公開していくことを目標としており、現在もプロジェクトは進行中です。調査対象は全世界の漢籍所蔵機関で、中国政府の支援(日本でいう科研費のようなもの)を受けた大型プロジェクトでした。
古くから中国と交流を持っていた日本国内には大量の漢籍が各地に所蔵されています。プロジェクトが開始されると日本の所蔵機関の調査も進められたのですが、その際、東海地区の調査依頼を受けたのがナカシャクリエイテブでした。
当社には学芸員資格取得者をはじめとして、大学院で考古学や歴史学などを学び、専門的な知識と資料取り扱いの技能を有する社員が在籍していますので、そういった強みがこのような仕事につながったのでしょう。
調査を始めるにあたり、関係者同士で日本と中国を行き来し、綿密な打ち合わせをおこないました。
また、実際に作業を開始する前に、より精度の高い調査ができるように、社内で現場研究会をおこない皆で意見を出し合いました。
調査では、漢籍所蔵機関に赴き目録の作成に必要な漢籍の情報を抽出します。当社の担当は、名古屋市内にある鶴舞中央図書館の調査でした。
目録調査で抽出する項目には部類や書名、巻数、著編集者、出版者、年代などのほかに本のサイズ、行数、文字数も含まれています。そのため、現地では漢籍の表紙など情報のあるページをチェックしつつ、採寸のための撮影も行いました。
図書館で漢籍を実見しながらの調査には数週間を要しました。無事に調査は終了し、鶴舞中央図書館の漢籍目録データをまとめることが出来ました。
目録データは、世界中の中国学研究者が共有できるようになります。今後は冊子の形での出版や、データベース化が進められるそうです。最終的にこのプロジェクトがどのように結実するのか、とても楽しみです。
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