【コラム】漆器と小松菜の煮びたし
いつだっただろう。この漆器と出会ったのは。
多分、吉祥寺の中道通りを歩いていたときだったと思う。
一軒の古道具屋さんを見つけて。
自然と吸い込まれるように、入っていった。
「こんにちは」 と言うと
「いらっしゃいませ」 とかえってきた。
か細くて、しなやかな、そんな女性の声。
中に入ってみると、たくさんの陶磁器とガラス製品、
そして漆器が並べてあった。
どんな物があるのか、
ひとつひとつをしっかり見るようにして
店内を歩いてみた。
江戸のものは、粋がある。
明治は、