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お盆
あいにくの雨。
一年に一度、住職がいらっしゃる日。母とわたしは前日からそわそわ毎年のこと。夕方に迎え火を焚く。お経は朝八時の一番目だけど、なかなか見えず、待つ。やっと母が、「来たわよー」といっている。タクシーから降りたのは息子さんの副住職だけだった。
さっそく、お経をあげてもらい、手を合わせる。やけにお経が短く感じ、あっという間だった。母がお茶やお菓子とお手拭きの支度をしているあいだ、わたしは副住職と父のことを話した。いろいろと聞いていただいた。住職は体調悪くお休み。住職も何度も手術をくり返し、
「病気になっても病人にはならない」
と覇気をもっていう住職の言葉がいつも励みになっていた。どんなに病気をされても、へこたれない強さを見習いたい。副住職もそこが尊敬するところ、とおっしゃっていた。
後が押しているだろうから、さっとお帰りになったけれど、外へ出て傘をさして、母に、
「いっしょに相合い傘で参りましょう」
そう、おっしゃって母を傘の中に入れてくれて、肩を抱いてくださった。恥ずかしそうにしてる母。ありがたい限りです。
タクシーの運転手さんにお茶をお渡しして、ありがとうございました。と、お見送りした。
なんだか今年は父がいなくて、住職もお休みで、静かなお盆だった。
こうやって、毎年夏がやってくる。
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それでは、またお会いできますように。
ありがとうございました。