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美術作品はゼロから生まれるわけではない

Twitterを眺めていたらこんなツイートがまわってきた。
少し様子を見てみたが何日経っても同じような状況。
公式サイトで展示内容を見てみたところ国宝や重要文化財やらたくさんあって見応えありそうだった。
それなのに混んでいないの?と、疑うばかりだった。
そこで、時間ができたところで行ってきました「名作誕生 つながる日本美術

名作と言われる日本美術と、それが影響を受けた作品とを並べて展示するのが今回の美術展。
奈良時代(8世紀)に作られた木の仏像から大正時代に描かれた油絵まで、あの作品があったからこの名作が生まれた、という流れで見ていきます。
名作と言われている作品の多くは国宝や重要文化財で、今回は約120件の日本美術などを展示しています。
どこを見ても名作だらけで、興奮しっぱなしです。

展示は一本の木で出来た仏像のコーナーから。
左右に何体も並ぶ姿はとても荘厳で、1000年を優に超えた作品の威圧感がすごかったです。
日本で作られた木の仏像は鑑真と共に中国(唐)から渡来してきた仏師たちが彫ったと言われているそうです。
中国で制作された「十一面観音菩薩立像」と
というか、そんな昔のものが展示できる状況で現存しているというのもすごいな、という、頭の悪い感想が思い浮かんでしまいます。

こんな調子で「聖徳太子絵伝」、雪舟の水墨画、若冲の「仙人掌群鶏図襖」、源氏物語のいち場面を描いた「初音蒔絵硯箱」などを鑑賞してきました。
国宝や重文になっていなくてもすごい作品が目白押しです。
伊勢物語と源氏物語などは昔から人気の作品だったので、打掛や調度品のモチーフにされたものも多く展示されていました。

音声ガイドを聞きながら歩いたのですが、壇蜜さんが案内役でナレーションは櫻井孝宏さん。
櫻井さんがナレーションをするのは前期の5月6日までなのですが、後期は諏訪部順一さん。
私のようなアニメファンはこれだけでも価値があるのですが、櫻井さんのお声で源氏物語の一説を聞くことができたり、見返り美人のナンパを聞けたりと、耳が幸せになります。

後期は作品の展示が一部変わっているのでそれも見に行かないとなりません。
当然ながら諏訪部さんが語る音声ガイドも聞かないとなりません。

今回のテーマは「名作は何に影響を受けたか」となります。
最近一部の人が「あれはパクリ」「あれはトレス」と、実際とは違うのに因縁をつける人がいます。
「目トレス」なんていう言葉を作ってまで絵の上手い人に文句をつける人もいます。(目トレスとは、目で見たものをそっくりそのまま描くということ。美術の世界でそれは模写と言いますが、彼ら中では良くない行為のようです)
アートがゼロから生まれないと盗作だということのようです。
今回の展示には模写やオマージュも含まれています。
しかしそれが名作として展示されています。
そういう人にとって、今回の展示にある模写はどういうものになるんでしょうね。


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