
現地に行けないのでテレビで若冲「果蔬図巻」を眺める
伊藤若冲と言ったら『動植綵絵』に代表されるような細密な絵が思い浮かぶ。
ただ写実的というだけでなく、生きていることの生々しさまで描かれている。
ただ美しく生きているだけでなく老いた姿まで描くので、萎れたり枯れたりした葉っぱや傷ついた羽まで描く。
動物や植物の生と死を絵で表現しているのだと思う。
京都の福田美術館で10月12日から開催される展覧会「開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」(略称:若冲激レア展)は、展覧会の名前だけでもう興味を惹かれた。
ましてや展覧会のメインビジュアルの鮮烈さは、ここ最近ではダントツだった。
#福田美術館 の次回展覧会「開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!!… pic.twitter.com/DPaTWMXXar
— 福田美術館 Fukuda Art Museum (@ArtFukuda) September 15, 2024
タイトルにある「伊藤若冲の激レアな巻物」というのは、『果蔬図巻(かそずかん)』のこと。
ヨーロッパの個人が所有していたが、去年から福田美術館所蔵となったという作品で、全長3mもの長さで色とりどりの野菜や果物が描かれている。
若冲の絵が好きなので見たいのは山々だが、そう簡単に京都には行けない。
しかしテレビ東京の『新美の巨人たち』でたっぷり30分間特集してくれたのである。
全くありがたい話じゃないか。
【世界初公開作品の全貌に迫る】#伊藤若冲「#果蔬図巻」
— 新美の巨人たち (@binokyojintachi) September 28, 2024
昨年、欧州で新しく発見された奇想の絵師・伊藤若冲が描いた絵巻。鮮やかな色彩と様々な技法。若冲はなぜ野菜や果物を描いたのか。#渡辺いっけい さんと迫ります。
10月5日(土)夜10時
テレビ東京系列にて放送🌈#新美の巨人たち #磯村勇斗 pic.twitter.com/eIy4GkthAT
『果蔬図巻』が描かれたのは寛政2年(1790)以前の若冲70代の頃で、『動植綵絵』から約30年後の作品。
筆使いは多少異なるものの、若冲らしく食べ頃なものだけでなく、まもなく枯れようとしている葉も完熟し切った果実も描かれていた。
私の好きな若冲だ。
【#果蔬図巻(かそずかん)】
— 新美の巨人たち (@binokyojintachi) October 4, 2024
奇想の絵師 #伊藤若冲 が描いた長さ約3メートルに及ぶ絵巻。52種類の野菜と果物が踊るように描かれています。2023年に欧州で発見されました。10月12日から京都嵐山の #福田美術館 で世界初公開されます。#新美の巨人たち pic.twitter.com/Orda3Gjwpi
描かれた野菜と果物はランダムで、旬だったり色合いだったり、そういった規則性は見られないそう。
学芸員の岡田さんは「思いつくままに描いたのでは」と言っていた。
色の使い方にも注目した。
テレビは寄りで見せてくれるのが嬉しい。
クワイの青みがかった灰色がとても印象的だった。
元々青物問屋の若旦那だった若冲。
野菜を描いたのはこの作品だけではない。
今回のnoteのトップにしたのは『果蔬涅槃図』という、釈迦涅槃図をモチーフにした作品。
描かれた年代は不明だが、こちらの方が水墨画の筆致が色濃いように思う。
若冲はいろいろなタイプの絵を残している。
まだまだ見たことのない若冲がどこかにあるのかもしれない。

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