いま注目の自治体のnote pro活用方法は、市民ライターとWebメディアをつくること
こんにちは。noteで公共・教育を担当しています、ディレクターの青柳です。
noteでは、2020年から自治体向けにnote proの無償提供をはじめました。いまプランを利用する自治体は200まで増えています。
ふるさと納税や移住や観光、住民向けの発信など。さまざまな分野の情報発信に活用いただいています。
なかでも最近、自治体からの問い合わせが増えているのは「市民ライターとWebメディアをつくる」note proの活用方法です。
自治体が公式の市民ライターを募集。参加者向けに、写真の撮り方や文章の書き方勉強会など、学べるコンテンツを提供します。市民ライターが書いた記事は、自治体のnote proにまとめていきます。
参加者に学びがあって、自治体は地域の魅力を伝えるコンテンツを増やすことができる。お互いにプラスがある取り組みです。
このnoteでは、市民ライターの取り組みに関心のある自治体の方に向けて、事例をご紹介したいと思います。
まちの魅力をさまざまな切り口で描き出す市民ライター
自治体のnote proをはじめて市民ライターの取り組みで活用したのは、山口県周南市さんでした。
2022年2月にはじまったこのWebマガジンのコンセプトは「市民ライター独自の視点で描くからこそ、旅行雑誌とは一味違ったまちの歩き方をお届けする」というもの。
グルメや観光、地域のイベント、バス停の読み方クイズまで。まちの魅力がさまざまな切り口で描き出されています。
マガジンのTOPに、市民ライターとして活動するメンバーを紹介する記事が固定されているのも、とても分かりやすいです。
2024年5月には、福井県坂井市とnoteで「市民ライターのnote活用支援」を目的に連携協定を結びました。
坂井市の取り組みは、若い世代のシビックプライドを育み、定住の促進を目指すもの。そのため移住定住推進課が担当する事業です。
若い市民ライターが書いた記事で、若者に地域の魅力を届ける。若い市民ライター自身も、取材を通じて坂井市の魅力を再発見する。
読み手にも書き手にも若者世代を巻き込む主旨で、企画がつくられています。
noteは市民ライター向けの講座を実施したり、坂井市公式noteへのアドバイスをすることで協力することになりました。
ここからもうすこし具体的に、坂井市の取り組みをご紹介していきます。
福井県坂井市は、若者市民ライターが若者向けのコンテンツを作成
坂井市の市民ライターの取り組みは今年からスタートしました。
坂井市らしさキャラバンという名称で、10代から30代の若者市民ライターを募集。6名想定のところに13名の応募がありました。
コンセプトは、坂井市のブランドメッセージ「らしさ、かがやく。」を体現する市民への取材を通じて、地域の魅力を再発見すること。
市民ライターとして参加する若者同士のつながりをつくることも、重要な施策の1つ。そのためチームづくりを意識した企画になっています。
市民ライターの活動期間はおよそ1年。全4回の事前講座を受けたあとに、4ヶ所で取材を行い、一人につき4本の記事を執筆します。
市民ライター1年間のながれ
6月〜7月 :事前講座(4回)
8月〜10月:取材・執筆(1本目)
11月〜1月:取材・執筆(2本目)
2月〜4月 :取材・執筆(3本目)
5月〜7月 :取材・執筆(4本目)
記事は市民ライター個人のnoteで公開。坂井市のnote proが用意したマガジンに追加することで、市民ライターとWebメディアをつくっていきます。
市民ライターの参加者は、はじめて記事を書くという人がほとんど。
坂井市は事前講座を開催したり、取材依頼の手引書をつくったり、お手本になる記事のフォーマットも用意しました。ほかにも一人につき1万円の活動費を支給したり、他の人の取材に同行できるようにする工夫もしています。
はじめてでも参加しやすく、たのしめる仕掛けがたくさん用意されています。
はじめて記事を書くひと向けの、noteの書き方勉強会
坂井市の取り組みは、事前講座が充実しているところが特徴です。こちらの画像のように、2ヶ月で4回の講座が開かれます。
初回は取材先を決めるワークショップ。取材したいと思うことを20個かんがえて書き出し取材先を決めていきます。ワークショップのあとには交流会も開き、参加者同士が仲良くなれる機会も用意しています。
2回目はすてきな写真を撮る方法をフォトグラファーから学ぶ会。構図の取り方やレタッチの方法を学びます。
3回目はインタビュー取材のやり方と、取材で得た情報をどのように構成していくかを学びます。
4回目はnoteディレクターの筆者が坂井市を訪問し、noteの書き方勉強会を実施しました。この勉強会は坂井市との協定を元に、特別に実施したものです。
ここからnoteの書き方勉強会の様子を、少しだけレポートしたいと思います。
坂井市でnoteの書き方勉強会を実施したは、2024年7月26日の夜。
参加する市民ライターのみなさんは「noteは知っているけれど書いたことはない」という人がほとんどでした。
なので勉強会のゴールは、noteを書きたくなることに置きました。
noteがどんなサービスなのか紹介してから、まずはお題を提示して、文章を書いてもらいます。
何も意識せずに普段通り書いた自分の文章を、勉強会の最後に直してもらうためです。
文章を書いたあとは「Webの文章は直感で理解できないと最後まで読んでもらえない」ことを前提に、いくつかのポイントをお伝えしました。
たとえば、簡単なようで忘れがちなのが「1つの文章を短くする」こと。
最初から短く書こうとせずに、一気に書いてから丸をいれて区切っていくこと、なくても意味が伝わる言葉を削ることをお伝えしました。
ほかには、Webの記事ならではのポイントとして「文章をビジュアルでデザインする」ことにも触れました。
改段落は文法ではなくビジュアルでいれること。漢字・ひらがな・カタカナは全体のバランスをみて自由につかうこと。写真やリンクをバランスよくいれてリズムをつくること。この3点についてお伝えしました。
特に改段落の重要性は事例をつかって詳しく説明。ほとんどの人はスマホで記事を読みます。2、3行に1回は改段落を入れないと、スマホの画面が文字で真っ黒になってしまう。
そういう記事の読みにくさを、具体例をお見せしながら伝えて感覚をつかんでもらいました。
このようなポイントをいくつか説明したところで、「ここまで伝えたポイントを意識しながら、さきほど自分が書いた文章を直してみてください」とお願いしました。
「ちゃんと書けている自信があったのに、全然ダメだ!」「過去の文章も全部いますぐなおしたい」「改行も改段落も変なところでしてる」…
会場からは、悲鳴のような、絶叫のような声が聞こえてきます。
最後にタイトルの付け方のコツをご紹介して、自分が書いた文章にタイトルをつけてもらいました。
こうしてすぐにでも公開できるnoteが書けたところで、勉強会は終了です。
何も意識せずに文章を書いてみる。読みやすい文章の書き方をインプットする。ポイントを意識して文章を直す。このサイクルを1時間15分ほどの勉強会で体験して、記事を書くイメージをもってもらいました。
参加者向けのアンケートではこんな感想が届きました。noteを書きたくなる、という勉強会のゴールは達成できたようでホッとしました。
でも講師を担当した筆者がずっと気になっていたのは、この事業の行政側の担当者である小玉さんが、一番たのしんでいたこと。
たぶん悲鳴の7割は小玉さん。
坂井市公式noteは小玉さんが書いているので、よかったら読んでみてください。
坂井市の市民ライターのみなさんはこのnoteを公開する時点で、全4回の事前講座の受講をおえたところ。これから取材と記事の執筆がはじまることになります。
公開されたら、この記事にもマガジンのリンクを追記したいと思います。
学びのプログラムや参加者がたのしんで活動できる工夫がたくさんある坂井市の市民ライターの取り組み。
自治体のみなさん、よかったらぜひ参考にしてみてください。
またnoteでは、坂井市との取り組みのように自治体との連携を強化しています。
街のブランディング、移住定住、教育、産業振興など。
さまざまな目的で自治体と協定を締結し、情報発信を通じて課題を解決するプロジェクトに取り組んでいます。
「noteと一緒になにかやってみたい」「どんな可能性があるか一度話してみたい」と関心をもっていただけた自治体の方は、お気軽にお問い合わせください。