きっちゃんのつぶやき「自分で表現できる子どもに」
テレビを見ていると、子どもにインタビューする様子がよくニュースに流れます。例えば、「お正月はどうだった?」と言う質問に対して、「楽しかった」「おもしろかった」としか答えない子と、「おじいちゃんの家に行って、いっぱいトランプしたり、お話したりしてとても楽しかった」とちゃんと理由をつけて答えられる子がいますね。どちらがいいかと言えば、後者のように具体的に答えられる子どもですね。
日本には、「出る杭は打たれる」という言葉がありますが、日本人は総じて控えめであることに美徳を感じ、「私が」とか、「オレが」などと、自分が前に出ていくことをよしとしない文化の土壌があります。でも、今の子どもたちが社会に出る頃は、今以上にグローバル化が進み、そうばかり言っていられない世の中になっています。極端に言えば、批判を恐れず、出る杭になれる人間が評価されるようになっているかもしれません。そう考えると、「お正月はどうだった?」「楽しかった」だけではなく、どう楽しかったのかということをきちんと言葉で伝えらえる力が必要になります。
アメリカのジグ・ジグラーは、「心では感謝しているのに、それを態度で示そうとしないのは、プレゼントを包んだのに、渡さないのと同じことだ」と言っています。言葉や態度に出さないと、自分の言いたいことは伝わらないのです。これからは、何を考え、どうしたいのかを言葉によってはっきり伝える力、自分自身を表現する力を持っていることが重要になります。
しかし、そんな中で一つ気になることがあります。最近の保護者の中には、子どもに失敗させないように先回りして親がやってしまうようなところが見えます。例えば、こんなことはないでしょうか。子どもが「お腹すいた」という前におやつを準備して子どもに与える。こういう環境になると子どもは黙っていてもおやつは出てくると思います。忘れ物をさせないように「○○は持った?」「宿題はないの?」と、いつも親が先回りして確認する。これでは、子どもが工夫したり、確認したりしなくなります。いろんなことを先回りしてやっていると、自分の希望を言葉で伝えなくても済んでしまい、「ものごとを表現する力」が育ちません。
「お腹が空いたよ~」と自ら表現しなければおやつが出ない状況を作ったり、忘れ物をして怒られたりするなど、小さな失敗体験をたくさんさせることが大切ではないでしょうか。
何でも先回りをして親がやってしまうのは、子どもの「表現する力」を奪ってしまうと思います。