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リトアニア難民主導型NGOで別れを惜しまれた3つの理由

今年の1月からちょうど1年間
Refugee Council of Lithuania(以下: RCL)という
NGOでインターンとして難民起業家支援の実務に
携わせていただいた。

代表のリトアニア人以外は難民の背景を持つスタッフ達と素晴らしい実務を経験させていただいた。

有難いことに私の仕事ぶりを 大変高く評価いただいた。今月の外部講師を招いて行われた終日スタッフ研修で、1年間の毎月ごとの振り返りを行った。

その際、代表とウクライナ人スタッフAから
今年の1月に最も成功したことは
kaneをインターンとして受け入れたこと
とおっしゃっていたのが大変嬉しかった。

ロシア語、ウクライナ語が出来ない日本人大学院生として、どのように組織に貢献したか
大きく3つに分けて振り返りたい。

1つ目は、AIの積極活用によるイベント、ミーティングの書類化の徹底したことだ。

RCLの支援対象者の多くはウカライナ、ベラルーシ難民だ。したがって、イベントの9割はウクライナ語またはロシア語で行なわれている。

当初私が入った時は、ミーティングやイベントの文書化が徹底されていなかった。

さらに、団体のウェブサイトにおけるニュース欄の投稿が滞っていた。

私はウクライナ語、ロシア語が出来るわけがなく、当初はイベントに参加してもロジ周りのサポートしかできなかった。

そこで、Notta というアプリを使って、会議内容を全て録音、文字起こしを行い
その内容をChat GTPを使って翻訳/
内部•外部向け報告書と外部向けソーシャルメディア投稿用のPR文の作成を徹底した。

プロジェクトのモニタリング•評価を行う上でイベント内容を組織として記録しておくことは非常に重要な一方でそれらが抜け落ちていた部分を
埋めていった。

言語的な課題がある中で、テクノロジーを活用し、内部、外部向けレポートのドラフトを作成し、
随時ウクライナ人スタッフに内容の確認を行うことで周りからの評価が高くなった。

ここで大切なことは、業務に
テクノロジーの活用+aの価値を反映させることだと思う。

会議の文字起こし、報告書のドラフトは
AIで作成できるとはいえ
その中身の質の判断は自分で行う必要がある。

どれだけレポートの質を高められるか
これこそが付加価値を業務に含められるかである。

レポートの質だけでなく、スタッフが迅速に確認できるように、要約版と詳細版で分けて作成するなど、ただ文書化するだけでなく、
相手がなるべく見やすい工夫を意識した。

付加価値を意識せずにテクノロジーに100%依存すると、その業務は誰かに奪われる。

だからこそ、付加価値を創造することを
絶対に忘れてはいけないことを痛切に感じた。

2つ目は、ミーティングのイニシアチブ/議論の舵取りを積極的に行ったことだ。

多国籍環境のミーティングでありがちな事として
議論した後の今後のアクションが漏れる場合が度々ある。
RCLのミーティングでも問題の共有化を毎週行っていたが、その後のアクションがおざなりに
なっていた。

民間企業でプロジェクト管理を行なっていた経験を活かして、議論後の今後のアクションの問いかけの徹底、テクノロジーを活用した議事録の即時発信およびリマインドに随時取り組んだ。

この痒いところに手が届くスタッフということで
周囲から非常に感謝された。

3つ目は、相手の見えにくい努力に対しても
直接+全体ミーティングで感謝を伝え続けること/
仕事ぶりを賞賛すること
だ。

イベントを毎回企画しているウクライナ人スタッフAには、毎度彼女の企画力や支援者との抜群の関係作りを感謝&賞賛の言葉を伝え続けた。

ウクライナ人スタッフBが
全体会議でリサーチプロジェクトに関わった一人一人に感謝の言葉を伝えた際に、ウカライナ人スタッフAの関与に触れていなかった。(おそらく忘れていた)

これはマズイと思って
すかさず私は
スタッフAの尽力ぶりへの感謝と賞賛を
直接チーム全員に伝えた。

ミーティング後に、個別にスタッフAと話すと
「やっぱり貴方は私を分かっているわ。本当にありがとう」
と言葉をいただいた。

人と人が仕事をしている以上、論理だけでなく
なにかしらの感情が発生する。

できるだけ負の感情を減らして
感謝と仕事ぶりの賞賛で
相手の感情を暖かくすることは
何よりも大切なことだなと感じた。

この行動の影響のお陰か否か
全スタッフと良い関係を構築できた事で
一部のスタッフ同士のイザコザなどの仲裁役に
なった事も何度かあった。

以上、3つが私がRCLで意識的、今までの業務経験から無意識的に取り組み、大変重宝された。

もちろん、大変なことも多くあった。
自分の知らない言語を長時間
聞かないといけないことや
ウクライナ語、ロシア語が出来ないことで
支援者とのコミュニケーションに苦戦した。

しかし、大事なことは
組織の穴(改善が必要な点) と
自分の優位性(組織の穴を埋められれ改善行動)を
見つけてその業務に全力で取り組むことだ。

常に業務を楽にできるように改善項目を見つけて、みんなが気持ちよく仕事が出来るように心掛ける
重要性を痛感した。

ウクライナ語、ロシア語が出来なくても
これらの言語が出来るスタッフと良い関係性を作り
彼らが気持ちよく仕事ができる、負担を減らせるように、自分ができる付加価値の創造に取り組むことを学んだ。

組織の状況を観察して自分が貢献出来る業務・役割を発見した上で上記のようなポイントを踏まえて
協働することは、卒業後の国際協力の仕事でも役に立つと信じている。

次の舞台でも
“こいつと仕事するとやり易いな、心地良いな”
と思われるよう謙虚さと自己主張のバランス感覚を大切にして成果を出せるようになりたい。

最後のミーティングでパシャリ
記念に貰った色紙


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