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二次元オタク(女)がJリーグサポになった話

Jリーグってどんな印象ですか。二次元コンテンツを好むオタクたちにとって、サッカーはあまり良い印象が無いでしょう。サッカー選手ってチャラそう。怖い。男ファンしかいなさそう。地元の一部の人だけ盛り上がってるイメージ。数十年前にブーム終わった。などなど、サッカーをあまり知らない人からはこんなご意見をいただきます。

私は以前、二次元コンテンツを好む、いわゆる「オタク」でした。今でもその傾向はあります。そんな私がなぜ、Jリーグサポーターになったのか、その経緯をお伝えします。

二次元オタクだった頃のサッカーへの印象

サッカーって、なんか怖そうじゃないですか。サッカー部の人って何となく陽キャオーラすごくて、近寄り難いような。チャラいし、キラキラしてる。私自身もスポーツが得意ではなく、テレビでスポーツ中継が始まると即座にチャンネルを変えていました。ルールを1つも知らなかったし。試合って何分あるの、3ポイントシュートとかないのか。

転機となった2018年ロシアW杯

なんやかんやサッカーに抵抗を感じていた中、ロシアワールドカップが始まりました。なんか世の中浮かれてんな、くらいに思っていて、この流れに乗るもんかとあえて観ないようにもしていました。

ただ、サッカー好きの友人から「面白いよ」「筋肉見放題だよ」などと言われ、その頃筋肉フェチを拗らせていた私は、無料筋肉身放題チャンネルとして、不本意ながら試合を観戦しました。

W杯で見た光景

筋肉見放題チャンネルとして不本意ながらも観戦した私を待っていたのは、わかりやすいルール、一生懸命走るイケメン(にわか女サポの9割は柴崎選手から入ります)、1点入った時のあの熱狂的な盛り上がりでした。

オフサイドなんかはわからないし、コーナーキック……?とかなんだかよくわからない部分もあったけれど、よくわからない時間は柴崎選手見てました。雰囲気で乗り切れ、オタク。

そのままスルスルと次の試合、その次の試合と観ていくうちに、日本が負けてしまいました。覚えていますか、あのベルギーとの試合。最後に点を取られたシーンは今でも脳裏に焼き付いています。あの日の絶望感と、あの1点さえなければ日本はもっと……といった悔しさは忘れられません。自分のことでもないのに。

二次元コンテンツとサッカーの違いで驚いたこと

試合の余韻に浸りながら、オタクはまず、書店に柴崎選手の等身大ポスターを買いに行きました。タペストリーでもいいし、カレンダーでもいい。

あれ、売ってない。あんなに日本、世界でブームだったのに、グッズが売ってない。サッカー雑誌におまけとして付いてるポスターはありましたが、イケメンなキメ顔ではなく、泥臭くボールを追う必死な姿。なんか思ってたんと違うなぁって思いながら、書店を後にしました。

次に、pixiv検索しました。イケメンコンテンツなら、夢小説があるはず。漫画とかもあるでしょう。

あれ、ない。あんなにTwitterが盛り上がっていたのに、二次創作漫画がない。ジャニーズなどのアイドルの場合、ナマモノなので一般の目には付かないよう工夫されていますが、探し方次第では様々な二次創作があります。

試合後の違和感

W杯が終わり、世の中は元に戻りました。W杯がトレンドに上がることもないし、負けたから次戦はない。日本代表メンバーはひとまず解散しました。

えっ解散したの。あのメンバーはもう見れないの。しかも次の代表戦ではメンバー再編って、どういうこと。私が好きだったあのチームは二度と無い。

困惑したまま、各選手の所属チームの試合を追うようになりました。日本代表であんなに活躍していたのに、所属チームでは出番があまり無かったり、そもそもチームメイトみんな外国人で区別つかないし難しい。公式からの供給が英語のコンテンツは頭も使うし、追い切れないし、なんとも言えない喪失感に見舞われていました。

Jリーグに落ち着いた理由

そんな感じで、W杯は面白かった、海外サッカーは難しいと途方に暮れていた私を救ったのは、Jリーグでした。Jリーグはいいですね、公式からの供給は日本語、選手それぞれがSNSをやっている。さらには生で選手が観れます。会えるんです。しかも毎週。週末アイドルみたいなもんですよ。アイドルのLIVEに行くような感覚で、手が勝手にチケット購入ボタンを押していました。

最初は選手がみんな同じ顔に見えるし、髪型と番号でしか区別できないし、みんな知らない人ばっかり。なんか大きくて怖い。

周りのサポーターたちも、(サッカー界隈ではファンのことをサポーターって言うんですね)おじさんが多いし、なんか居づらい。いかにもサッカー少年って子もいるけれど、女オタクっぽい人はあんまりいない。オタクは習性として家に引きこもるのを好み、人混みを嫌う傾向にあるので、ゴール裏の飛んだり跳ねたりする光景は恐怖でしかなかったです。みんなチャント歌ってて新参者を拒む雰囲気あるし。まぁ慣れてきた頃に新型コロナが流行し、応援に規制がかかったので恐怖は減りました。今ならチャントが怖いにわか女も参戦しやすいです、チャンスですよ。

サッカーサポになって良かったこと

個人的な意見ですが、主に3つあります。

①スポーツへの恐怖が無くなった

②趣味として語れるようになった

③毎週末に楽しみが生まれた

他にも山ほどあります。3つだけ紹介します。

①スポーツへの恐怖が無くなった

オタクは運動部を恐れる傾向にあります。スポーツ用品店なんかも怖くて入れない。おしゃれな服屋に着ていく服がないから服を買いに行けない理論と同じ。スポーツ用品店に行く筋肉がないからスポーツ用品店に入れない。もちろん世の中には屈強な筋肉系オタクも一定数存在するため、全員そうとは言い切れませんが。

でも、サッカーを知ったことで、スポーツに興味を持ち始めました。スポーツ用品店に推し選手のユニフォームを買い求めて入店したり、自分も少し運動してみようと思ったり。服の好みなんかも、以前のオタサーの姫みたいな服から、スポーティーなスタイルを好むように変わりました。

②趣味として語れるようになった

これまで、「自己紹介して!」って言われてもなんて言えばいいかわからなかった。本も大して読まないのに「趣味は読書です……。」なんて言って、もやもやしていました。趣味は漫画とかアニメって言うのもなんかちょっと抵抗あって。

でもサッカーを知ったことで、「趣味はサッカー観戦です」って言えるようになりました。個人的な意見ですが、わりと人に言いやすいし、悪い印象も与えない趣味だと思います。

しかもサッカー好きな男の人は世の中に一定数いるもので、彼らとの会話も生まれます。大体のオタクはそんな人たちから1歩離れたところでソシャゲしてるんですけどね。思わぬ方向に人脈が広がります。

③毎週末に楽しみができた

これは良いです。すごく良い。二次元コンテンツの場合は公式からの供給に偏りがあり、ファンからの投資が無くなればコンテンツ自体が終わったり、サービス終了してしまったり。アニメも放送中ならいいけれどそのシーズンが終わったら一時的に供給が途絶えます。

でもサッカーは確実に毎週末に90分の試合が供給されます。勝ったり負けたりするので、絶対にいい気分で終われるかというと微妙ですが、供給ゼロよりは良い。最高のコンテンツです。

Jリーグは正義

こんな長文を読んでくださったあなたが、Jリーグサポーター側なのか、二次元オタク側なのかはわかりません。

もしまだJリーグを知らないのであれば、一度スタジアムに足を運んでみてください。おすすめ席はゴール裏ではなく、バックスタンドの真ん中ら辺です。値段もそこまで高くないし、緩いサポーターが多いので怖くないです。間違えて浦和のゴール裏なんかに潜り込んでしまったら恐怖の90分を過ごす羽目になります。

Jリーグをご存じの方であれば、こんなサポーターもいるんだなあと、温かい目で見守ってください。あなたの隣の席で観戦しているあの子は、実は今回初めて観戦しに来た、サッカーを怖がっているオタクかもしれない。

ボールを持つ女性の画像は「ぱくたそ」さんから拝借したフリー素材です。イメージであることをご了承ください。

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