商業科ならではのnoteを活用した学習とは? 山口県立徳山商工高校で実施した出前授業
「情報発信やSNSの活用は、商業教育に必要です」
そう語るのは山口県立徳山商工高校の、近藤先生。
近藤先生が担当する「電子商取引」の授業では、生徒のみなさんが「とくやまなびや」というオンラインショッピングモールを運営しています。そこで、2021年5月にnoteでも出前授業を行いました。
出前授業の目的・概要
「とくやまなびや」は地域の企業様と連携してつくるオンラインショッピングモール。オンラインショップを運営する中で、契約企業とのやりとりから商品の販売まで担う生徒のみなさん。
これからnoteを使って地域の情報なども発信していくとのことでしたので、インターネットでの情報発信のイントロダクションになるような授業を目指して、実施しました。
実施時期:2021年5月
実施した時間:選択科目「電子商取引」 50分授業
参加した生徒:高校3年生 「電子商取引」を選択している13名
生徒のみなさんの反応
授業後、生徒のみなさんが感想をnoteに書いてくれました。(授業を担当したnoteディレクターは感涙ものです…)
そして授業後、実際にnoteを使い始めた生徒のみなさんの声も……!嬉しすぎたので、13人のコメント全部ご紹介します!
実際にnoteを使ってみて、noteを書く楽しさや様々な人の投稿を見る楽しさを知りました。noteを使ってみて、タイトルや文の構成などを工夫し、どうしたら多くの人に見てもらえるのか考えながら書くことができました。noteを書くのは少し難しかったけれど楽しかったです。noteでは自分が投稿するだけでなく他の人が書いた、自分の趣味や気になることについての記事なども見ることができ、これからも書くだけでなくたくさんの記事を見てみたいと思いました。
先日noteを実際に投稿してみて、自分のかいた記事に共感していいねをもらったりフォローをしてもらったときはすごく嬉しかったです。
noteは自分の素直な気持ちや思いをまっすぐにかけるとこだとおもいます。ほかのクリエイターの投稿をみて共感したりと見る側としてもとても楽しめるのがnoteだと思います。これからnoteを使ってく中で少しでも多くの人に共感し読んでもらえるよう頑張っていきたいです!
noteを授業で初めて知り、授業で初めて使いましたが、操作が簡単ですぐ使えるので機械音痴の私にとってはとても使いやすかったです。また、ハートを押してくれる人がいると頑張って作成して良かったなという達成感があり、記事を作成するのが楽しいです。
noteのことをあまり知らなかったけど授業を通じてたくさん知ることができました。たくさんの記事もあるし見ていて楽しいです。自分が書くことはなくても気になるジャンルの記事とか気が向いたときに見たいと思いました。
授業で、初めてnoteの存在を知りました。実際に使ってみると、いろいろな人の投稿を見ることができ、自分の興味のある投稿を見つける度に、思わず見入ってしまいました。また、クリエイターの伝えたい気持ちや思いなども感じ取ることができ、考えさせられる投稿も多くありました。今後卒業してから、noteを使用する機会は少ないかもしれませんが、これからも興味のある投稿はぜひ見たいと思いました。
私は文章を考えて書くのが苦手ですが、今回3つの記事を書いてみて、記事を書くことの大切さや楽しさを学ぶことができました。また、ほかの人の記事を読んでみることで、自分にはなかった考え方や、新たな気づきをみつけることができ、もっとnotoを使いたいと思いました。
長文で自分の伝えたいことを伝えられるのはとてもいいと思った。でも、私は長文を書くことも読むことも苦手なので自分では使うことはないかなと思った。
noteというブログを今回初めて知りました。電子商取引の授業を選択していなければ出会うことがなかったかもしれません。授業でnoteを使って記事を書き始めた時、どうやって書けばいいかもどうしたら綺麗にまとまった記事が書けるのか悩みました。しかし、何個の記事も書いていって慣れてきたのと、楽しくもなってきました。
他のSNSとは違って、必ず誰かと繋がっていないと見てもらえないなどの人間関係を気にすることがなくできるのではないかと思いました。この考えが浮かんでから、私も趣味として好きな芸能人やゲームのことについて書いてみたいと思いました。
自分で書いた記事をインターネットに載せることが初めてのことだったので、記事がインターネット上にあるという事が嬉しいです。そして、興味のある記事がいくつかあったのでゆっくり見てみようと思いました。
noteというsnsがあるということを初めて知りました。noteを見てみるとイラストを投稿している方がたくさんいたので自分は絵を描くことが好きなので、今後使ってみたいを思います。
いろいろな人の経験談や人生観、職業など知ることができ、いい経験になる機能だった。
今回noteを活用してnoteの魅力をたくさん知ることができました。
書き手側としては、特に気軽に投稿を作成することができる点や、簡単に有料化に設定することができる点、がよいと思いました。
読み手側としては、気軽に記事を見ることができる点や自分の好きなジャンルを選択し自由に見ることができることがとてもよかったです。
書き手としても、読み手としても非常に活用しやすかったので授業外でも活用したいと思います。
毎日続けなきゃいけないという雰囲気もないし、個人的に続けやすそうだと思った。趣味の繋がりができそうだなと思ったしいろいろなことも知れて楽しいと感じた。これからも続けたいなと思った。
今回、授業を選択している生徒には個別にnoteアカウントを付与されているとのこと。
学校でnoteを活用する時に、生徒に直接アカウントを付与して運用させることに難しさや抵抗はなかったのでしょうか?
今回noteを授業に取り入れてくださった、近藤先生にお話を伺いました。
(写真左)山口県立徳山商工高等学校 近藤英夫 先生
生徒ごとにnoteアカウントを取得
ー 「生徒にアカウントを付与するべきか、先生が代理投稿すべきか」、note の授業内での利用を検討される先生によくご相談いただきます。現状は先生が代理で投稿されることが多いのですが、徳山商工高校の「とくやまなびや」では個人アカウントを運用されてますよね。
近藤先生 はい。今回授業でnoteを使うにあたって、まずは選択科目での利用になるものの、将来的には商業科にいる80人みんなが記事をかけるようにしたいと思いました。
1つのアカウントで全員分を代理投稿では限界がある。それで、「生徒01_山口県立徳山商工高等学校」という形で生徒ごとにアカウントを取得しました。管理者は学校で、note用にアドレスを発行しています。
ー 生徒のみなさん、最初はどういう反応でしたか?
近藤先生 最初はやはり「え〜かけません」という反応だったんですが(笑)、私自身がnoteプロデューサーの徳力さんの本に影響を受けていたので、徳力さんのおっしゃるように「構えなくていいんだよ」「メモがわりでもいいんだよ」と伝えました。
発信すること、クリエイトすることを練習で楽しもう!と伝えていくと、少しずつハードル下がっていったのかもしれません。みんな同じ教室にいるので、お互いの様子をみながら始めていきました。2本目とか3本目の記事をかくころには問題なく書けていましたね。私自身が、こうやって操作しなさいみたいなことは伝えてないんですよ。
(写真:オンラインで開催した授業。みなさん笑顔で挨拶してくれました!
ー 生徒のみなさんが個々にnoteを投稿できる環境にあるということですが、公開前にはどのようなやりとりをされているのでしょうか。
近藤先生 noteには下書きを共有する機能がありますよね。生徒は、記事が書けたら下書きのURLを、スプレッドシートに入力します。それを、念の為教員が確認してから順次公開する流れです。このコロナ渦なので、場所を問わず自宅で端末を持ち帰って作業してもいいようにしています。
ただ、私から指摘するのは「人の名前が間違ってないか」とか、ときどき「ここはもっとこうしたほうがいいのでは?」というくらいです。ほぼ生徒たちが書いた原文のまま公開していますね。
みんなで同じ授業を受けて感想を書いていても、意外に同じタイトルにならないんですよね。生徒たちもいろんなものを研究したり、他の生徒のタイトルを見て重なっていたら変えているのかもしれませんね(笑)。私が細かく言わなくても、こんな風にやるんだなと感心しています。
ー 生徒のみなさんの創意工夫が感じられますね! 今後はどんな記事を公開していく予定ですか?
生徒が運営しているオンラインショッピングモール「とくやまなびや」の、ご協力いただいている契約店の紹介だったり、商品の紹介だったり、あるいは地域の観光スポットなども発信していく予定です。生徒が考えた独自の観光ルートなどもnoteで公開してみたいなと思っています。
商業学習には情報発信が欠かせない
近藤先生 新しい指導要領で「観光ビジネス」科目が始まります。ほかにも総合実践や情報処理の授業の中でもnoteは活用できるのではないでしょうか。商業教育の中で、情報発信やSNSの活用は重要だと考えています。
商業学校といえば簿記やそろばんをイメージされるかたも多いかもしれませんが、たとえば地域と連携して社会に貢献していくことも、商業科での学習です。本当の意味で地域に貢献するために何かできないかなと考えていたときに、やはり情報発信しないと物事が進まないと思いました。
高校時代にnoteを通じて、完全な匿名ではなく「学校を背負った匿名」で公式な文書を書くことに意味があるのではないかと思います。記事に対してリアクションがあったときにどういうことを感じるか。生徒の感想の中にもありましたが、noteに「スキ」っていう反応があったときに嬉しいとか、そういうのってあると思うんですよね。
商業科の生徒たちには、3つの「きょう」が大切だと伝えています。
まず共感すること。共感したら協働しよう。協働したらそれを共有しようと。そして共有することで、新たな共感をうむサイクルが生まれるのではないかと思っています。このサイクルで、地域が変わっていくんじゃないかなと。
つまり「共有」がキーワードになる。共有するためには、SNSやブログを活用した情報発信が必要になります。
生徒がSNSを使うことについて、否定的な見方をされることもあるかもしれませんが、いずれは必ず使うものですよね。そしてAIなどの台頭で、さまざまな職業が今後どうなっていくか、わからない時代です。個人のブランディングが重要になっていきます。だからこそ、SNSを単に遠ざけるのではなく、ちゃんとした使い方や役に立つ使い方をするための提案をしていけたらと考えています。
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お忙しい中、お話をお聞かせいただいた近藤先生。そして感想を届けてくれた生徒のみなさん、本当にありがとうございました。
「学校を背負った匿名」で公式な文書を書く経験が、社会に出ていった時に力になってくれるのかもしれないということが、強く印象に残りました。なにより、noteを通じて「創作が楽しい!」と感じてくれている生徒のみなさんのコメントが心強いです。とくやまなびやnoteの今後の発信がますます楽しみですね。
これからも、山口県立徳山商工高校のみなさんの創作を応援していきます!
noteディレクター 中野
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