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高級レストランの味覚のカラクリ
高級レストランメニューがなぜ満足できるのかを掘り下げたお話。
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出会ってしまったメニュー
肉団子の黒酢ソースをがんばって食べました。
このお話はそこから得た知見で、なんと高級レストランのプレート料理に関する気づきを得てしまいました。
執筆メモだけで1500字超えてたので少し長くなるかもしれません(笑)。分割も考えましたが臨場感が薄れるので、いっぱつの記事で書き残します。コーヒー紅茶片手にゆったりとお読みください。
がんばって食べたってどゆこと?となりますよね?。
実は私、酸味に敏感な性質を持っておりまして、酸味系のメニューを見たときは食するのにとても慎重派になってしまう傾向があります。酸味に弱いというよりは人より酸っぱいと思う閾値が低いからか、他の人が酸っぱくないと思っても自分には酸っぱすぎてしまう、みたいな感じです(でも酸っぱいのは好きなんですけど)。
このときも「〇〇シェフ監修!」みたいなえらそーなかっこいいメニューを見かけてとても興味があったのだけど、「黒酢」とあるのを見て「う~むどうしよう…」と取るのを悩みました。もし失敗したらかなりのダメージを喰らうのはわかっているので。でも、たかが昼ご飯されど昼ご飯、まいっか~と「えいやっ」って選んでみたのです。
でもやっぱり失敗したときのことは考えたい(笑)。保険にペペロンチキン(チキンの照り焼きを塩だれにんにくでペペロンチーノ風にしたもの)を選び、いざというときに備えました。あとはコンソメスープとごはん。これで準備万端!。
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気になるメニューとご対面
どちらかと言えば苦手系の酸味なのですが、興味だけは津々あるんです。
なんかおかしいですよね。苦手ならやめとけばいいものを、黒酢などというワードを聞けば「コクのある酸味ってどんなんなんだ?(@v@)」と食べてみたい興味が湧いてしまいます。
肉団子の黒酢ソース、見た目はとても豪華でした。
750円という低価格だけどビジュアルだけは負けまいと考慮されたのか、ワンプレート料理としてもすごくきれい。肉団子が3つとそれを取り巻く数種類の色とりどりの野菜、そして黒酢ソースが「こんな感じかな?」という感じで少しばかりかかっていました。
このビジュアルだけ見たら「おしゃれうまそ~!」です。ここまできれいなら黒酢がどう調理されているのかがとても気になります。はやる気持ちを抑え、ペペロンチキンが保険に有効なことを確認し(笑)、酸味ダメージへの防御力を高めた私はいざ実食に入りました。
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夢のような信じがたい味覚体験
付け合わせの野菜から食べたけどおいしい。野菜を黒酢ソースにほんの少しだけつけて食べたら超おいしい。これでこの価格はすごい!(ってまだ肉団子食べてないw)。こんなおいしい黒酢ソースは今まで食べた中でもなかった(たいていは酸っぱすぎ、アクが強すぎ)。もう高級レストラン料理のワンプレートに出てきても遜色ないレベルです。
ここで強烈に感じたことがありました。それは、
このうまい黒酢ソース、なぜもっとかけててくれないんだ!
黒酢ソースがもっとドバっとかかっていたらいいのにと思ったんです。おいしいものに出会ったら「もっと!」という考えは自然です。ってかそれを大切にしないと料理は楽しめないもの、とさえ考えていました。
しかしこの考えが気づきによって覆されます。
高級料理店のワンプレート料理でかかっているソースが少ない理由がわかったのです。われながら料理勉強などしてないのに、この気づきには自分で驚きました(笑)。ではいってみましょうか。その理由とやらを。
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高級ワンプレート料理でソースが少ない理由
私が見つけただけでも4つあります。
①美しく映えるイメージを与えること
②ソースを大切に食べる楽しみを知らせること
③ソースが欲しい気持ちから対象食材に意識を向けさせること
④ソースに対する知覚を最大化させること
それぞれの説明と思考の推移を書き記します。
①美しく映えるイメージを与えること
ソースは粘度の差こそあれ液体です。液体はどんな形状もデザインできるため作り手の表現が多彩になります。ところが料理のビジュアルでは、液体がそれに占める面積割合はどうやら死活問題のよう。液体が多すぎると対象食材の印象が崩れてしまいます。これは料理の盛り付けが視覚に大きくかかわっているので重要な要素みたい。
②ソースを大切に食べる楽しみを知らせること
味が濃厚で複雑なソースは口にしたときの第一印象が強いので、少量であるべきということ。もしソースが多量に存在すると、その濃厚さと複雑さの味覚は価値が薄まってしまい、味覚のバランスを大きく崩してしまうことになります。だからソースが少量であることは、結果的には食べる側の楽しみが増えるということ。
これ、食べる側は普通の人ならまず気づかない。難しいよ(笑)。でも食べる側がいい意味で作り手に踊らされるというのは、ある意味一種の快感であることは間違いない。私の口(舌、味覚)のすべてを作り手の人にいっとき委ねる、みたいな。
③ソースが欲しい気持ちから対象食材に意識を向けさせること
濃厚で複雑なソースをもっと欲しいんだけどそれは叶わないので、高ぶったソースがもっと欲しい気持ちを対象食材を愛おしく食べることに意識を向けさせること。
これねぇ、すごくない?わざとソースが少ない状態にさせることでソースよりも対象食材を気にさせる。対象食材がいいものだから成り立つんだろうけど。おそらく高等テクニックのひとつのはず。
④ソースに対する知覚を最大化させること
少量のソースをどうやって味わうか?に食べる側の意識を集中させ、ソースに対する知覚を最大化させる。こうすることで料理への意識が視覚から味覚へ強烈にシフトされ、食べる側はインパクトのある味覚体験を味わうことが可能になる。
いやはや、このテクニックもすごい。もっと欲しい!という欲求をうま~く誘導することで料理の味覚体験すら向上させることができるなんて。
少し考えを掘り下げたとしても4つ出てきました。おそらくもっとあるのでしょう。そしてそれくらい高級料理というのは奥が深いのかもしれません。少し思考の整理をしておこう。
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高級レストランの味覚のカラクリ
よく考えられたメニューというのは、皿の上で食べる側の味覚が踊らされている。もっと食べたい!もっと味わいたい!という強烈な欲望の喚起が、次の味覚体験への期待に変わる。この繰り返しを少しずつ丁寧に食べる側に与えることで、とてつもない満足感を結果的に与えることができる。これが高級レストランの味覚のカラクリですね。
高級レストランのシェフはすごいね~!
たった3つの肉団子で食べる側を満足させる難しさをきちんとクリアしている。そんな料理が750円ぽっちで食べれたのはラッキーかもしれない。これは視覚的・味覚的完成度が高い料理の一例。
こんな料理を途中で味変しようとして、他の食材(今回はペペロンチキン)の食体験を挟んでも、いざこんな料理に戻ってきたら味変味覚のつけ入るすきがないくらいに完成された具材同士のがっちりスクラムに、味変体験なんかひとたまりもなく倒されてしまう。こんな料理とは、それくらいに味覚の結びつきの強さがすごいということ。
もちろんすべてのメニューがこうある保障はありません。保障はないけれど、しっかり理論立てて考案され、食べる側の心理状態をうまく操作し、目の前の料理に自然に味覚を集中させ、対象素材同士のコラボと独立性を担保した「整った味覚」で食べる側の口内と味覚を刺激する。
これができるのは、料理という分野の特権であり醍醐味であるなぁという気がします。
監修というメニュー開発形態だったけど、監修者がうまく関わり、調理側が真摯に向き合えば低下価格でこんなメニューができるんだという感動がありました。
黒酢、捨てたもんじゃないね。これに調子こいてまた他の黒酢をいっぱい試したら、いっぱい失敗するんだろうなぁ(笑)。
でもまぁ、こんな当たりに出会えることにしっかりと幸せを噛みしめて、止まぬチャレンジ精神はいつまでも持っておきたいと思いました。
長くかいちゃいました。読んでいただきありがとうございます。みなさまの高級レストランメニュー体験の際のいち参考情報となればうれしいです。
高級レストランを食する機会なんて、結婚式やイベント、式典、記念日などしかないと思います。だからこそ、少ない機会をいろんな気づき体験豊富な場としていただければ、食の楽しみ方としてこんなにいいことはないですね。
その際の感じ方、考え方の一助となれば幸いです😊。
さぁ、あしたは何を試そうか。
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