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フリーゲーム『代筆屋ワールドワード』レビュー

このフリーゲームの作者様はうた様です。短時間でプレイ可能なアドベンチャーゲームを今回は紹介させて頂きます。お手軽に遊べるコメディチックなゲームです。DLかブラウザ版のどちらかでプレイ可能となります。

代筆屋「ワールド✕ワード」で代筆屋に勤めることになった主人公。先輩代筆屋のモノが教えてくれるには、代筆とは筆一本ですれちがいをなくし、言葉を使って人の心を繋ぐ、素敵なお仕事だという。

しかしこの仕事は近年人手不足。という訳で、「新入りクン」であるプレイヤーは、ぶっつけ本番で代筆を行うことになってしまいます。「多少の」言葉選びの間違いは仕方ないと、おもしろおかしくなっても大丈夫、とのこと。これは実は本当のことで、ルーレット形式で言葉をクリックしていくのですが、正解を当てることに躍起になる必要は全くありません。その結果のハチャメチャさで笑いを誘うのが、このゲームの本懐なのです。

代筆行為をしてノルマの4人のお客さんの依頼を達成していくというのが筋書きです。全員が異なる事情とニーズで代筆を依頼してきますが、ルールは至ってシンプルなままです。つまりは同じようなルーレット形式で4人分の手紙の言葉選びを行えば、このゲームはクリアとなります。

美麗なドット絵で、懐かしくもなる作風であり、まず視覚的な満足としてオススメしたい作品です。成功するまで何度もチャレンジするというゲーム性は無くて、ユルいシナリオとコメディ的な世界観を味わうのが醍醐味となるでしょう。成果によるED分岐も存在しない為、一周してしまえばお終いになるのですが、なんといいますか、「いい力の抜け加減」で完成していると言えます。フリーゲームとしての一つのユニークな在り方なのではないでしょうか。どこまでもストレスフリーにこだわった仕様は、このゲームならではのものかと。

あえてジャンル分けをするのなら「ハチャメチャゲー」とでも言うべき内容なのですが、可愛らしいオチも含めて、全体としての完成度が非常に高いです。攻略性を度外視して、ゲームの作品性を重視した結果、このゲームが生まれ落ちたのかと思うと、それは大正解だったのではないかと思います。

「ゆるゲー」とも言っていいのかもしれません。とにかくサクッとプレイすることを推奨致します。惜しむらくは、この世界観を味わえるのは、(実質的に)一回きりだと言うことです。分岐の用意をして欲しかったという意味ではなくて、代筆屋の仕事が一回きりしかできないことが淋しいのです。それくらい、世界観がカワイイ。浸っていたい世界観なのです。

時間にして15分程度の「代筆屋気分」でしたが、優しい先輩にフォローを受けながら、仕事を行いつつ、そしてこのゲームに相応しいED、オチを迎えることで、「ああ、面白かった」と素直に感想が漏れ出たのは、実際にその通りだからだと思います。

攻略性とは無縁のゲームであるので、テキストと世界観を楽しむことが主になりますが、可愛らしいドット絵に惹かれた方は、多少のお時間を使って、この仕事に取り組んでみるのは如何でしょうか?

以上、レビューになります。短編ゲームの一つの解答を見たような気分です。素敵な癒やしゲームをありがとうございました。

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