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咲良つばさ
2021年2月8日 15:20
「オハヨウゴザイマス。」無機質で温度のない挨拶を交わす。冷たい色の蛍光灯が作る空間。古びた冷房がヴーと耳障りな音を立てている。荷物を下ろし、ロッカーを開いて、制服を取り出すと同時にため息をつく。変わらないいつもの夜。午後九時五十二分。あと八分。急がなければならないが、その一つ一つの動作が重い。制服に袖を通すと、先ほどよりもいっそう深いため息が床へ落ちる。こんな日常を