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【短編小説】instant fiction「首夏の訪れ」
Instagramの着信がヒビの入ったスマホのバナーに表示された。
ビデオカメラをオフにしながら折り返しの電話をかける。決まって3回目の着信で彼女が出る。「ねえ、UP LINK吉祥寺でやってる線香花火って映画観に行かない?この前行った映画館でやってるってさ」と彼女は尋ねた。
なぜ決まって3回目の着信で出るかについて深く考えた。---- しかし、最後まで答えは出ることはなかった。
「それ、観たかった映画」と僕が言った。
ベランダに吊るされてる風鈴が鳴り、お昼の特番で「どうしてそんなに夏が好きなんですか?」とコメンテーターに質問されていた小沢一敬が「答えがある好きなんてたいしたことないと思ってもいるんだよ」と言った。
この人にとっては、キリスト教の人に「どうして救世主はイエスじゃないといけないんですか?」といった質問と同じ類の問いかけなのだろう。
決めの台詞を聴きながら、「べたちゃん」と名付けた熱帯魚が跳ねる。
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