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【JAFCA×武蔵塗料】デザイナーが自分らしくクリエイティブするために④

Episode4:デザイナーの皆様へ、JAFCAからのメッセージ

こんにちは、note編集部です。
前回に引き続き、JAFCAさんとの対談企画をお届けいたします。今回はこのシリーズの最終回となります。

これまでのEpisode1・2・3をまだご覧になっていない方や、もう一度読みたい方は、以下のリンクからぜひご覧ください。

JAFCAさんのnoteは、こちらからご覧ください。





❶デザイン界の潮流。デザイナーが直面している変化

大澤(JAFCA):最近のデザイナーは、自分でデザインする機会が減っているようです。それが良いか悪いかは別として、社外のデザイナーに発注したり、それを管理するインハウスデザイナーが増えているようです。
そのため、プロデュース能力が求められるようになっています。
また、デザイン部門もどんどん減少しているため、実際にものを作らないデザイナーが増えているのかもしれません。そして、自社内でデザインにかける予算も減少しているのではないでしょうか。

金子(武蔵塗料):デザイナーの就職先としてメーカー志望が減少しているという話も聞いたことがあります。自分で起業する人が増えていることや、人手不足が影響しているのかもしれませんね。

大澤(JAFCA):私たちの時代は、車や家電が中心的な存在だったので、企業のデザイナーになることは非常に魅力的でした。しかし、世の中の「ものに対する興味」が、そもそも変わってきているのかもしれません。

金子(武蔵塗料):車を所有する人も減ってきていますね。カーシェアやレンタカーで十分だと感じる人が増えています。ただ、もの離れが進んでいるとはいえ、家の中で使う製品にはこだわりを持っているように思います。

大澤(JAFCA):そうですね。例えば、身の回りにある雑貨やおしゃれな家電など、お気に入りのアイテムを持ちたいという気持ちはありますよね。
ただ、最近はシンプル志向が強くなっています。黒で統一したり、グレーの落ち着いたトーンでまとめたりと、シックな印象を求める人が増えているようです。確かに、昔に比べると遊び心のあるデザインは減ってきていると感じますね。

落ち着いたトーンが好まれている

金子(武蔵塗料):デザインをするということは、地味な部分が多いですよね。世間一般の人が思い描く華やかなデザイナー像と、実際に業務に携わるデザイナーとの間には大きなギャップがあると思います。実際には、裏で地道な作業が多くあります。

大澤(JAFCA):私が出会ってきたデザイナーの方々は、細部にまで気を配り、思いやりを込めてデザインを作ってくれる人が多いです。その姿勢には本当に感銘を受けていて、こういった方々がいるからこそ、デザインの奥深さを感じられるのだと思います。

金子(武蔵塗料):確かに、細かな作業を地道にコツコツ積み重ねることが、良いデザインを生み出す鍵だと思います。しかし、その努力が評価されないと、どうしても士気が下がってしまいますね。

大澤(JAFCA):その通りですね。企業に所属するデザイナーたちが、自分の努力が評価されないと感じると、モチベーションが低下するのは当然です。
その結果、彼らが会社ではなく趣味として作品を発表をしたり、独立を考えるようになるのも自然な流れかもしれません。
上の世代は、若い世代のデザイナーたちの努力にもっと気づき、理解し、しっかりと耳を傾けることが重要だと思います。

金子(武蔵塗料):若手デザイナーの成果に対して「これでは役に立たない」と切り捨てるのではなく、育成のプロセスをもっと大切にするべきです。そうでないと、デザイナーたちは成長の機会を失ってしまいます。

大澤(JAFCA):今はまさに過渡期なのかもしれません。上の世代が若い人たちにどう接するか、悩んでいることが多いようです。自分たちがやってきたことをそのまま押し付けるのではなく、時代の変化を理解して、柔軟にアプローチを変える必要がありますね。

大澤(JAFCA):そして最近では、自分で考えずにネットで情報を探すことが多くなっているように感じます。まるで外付けハードディスクからアイデアを引き出すような状況です。その結果、考える力が低下しているのではないでしょうか。表面的な価値観が増え、本物に触れる機会が減っているようにも思います。

金子(武蔵塗料):その点では、企業がコスト削減を進めている影響もあるかもしれません。かつては「現地に行って見て学べ」というアプローチがありましたが、今では「ネットで調べろ」という風潮に変わってきたように感じます。


❷AIにはできないことをやるしかない


金子(武蔵塗料):
JAFCAとして、デザイナーに向けてどのようなメッセージを発信されていますか?

大澤(JAFCA):私たちは、「AIにはできないことをやるしかない!」と強く感じています。そして、実際に体験することが重要だと考えています。
私たちが発信するメッセージの中にも「身体感覚」という表現を取り入れています。例えば、「音楽」や「におい」をデザインに取り入れるのは、視覚だけでなく、五感全体で色やデザインを感じてもらいたいという思いからです。

色やデザイを身体全体で感じさせたい

金子(武蔵塗料):では、これまで深く興味を持つことがなかったり、行動に移せなかった若手デザイナーに対して、どのようなアプローチができると考えていますか?

大澤(JAFCA):「一緒に遊びに行こう!」と伝えたいですね。
まずは、自分自身で体験することが大切だと思います。
そのためには、若手デザイナーに外に出る機会を与えてくれる環境が企業には必要です。JAFCAでも、実際に顔を合わせる場を提供しようとしていますが、現状ではなかなか集まりづらいです。出張費が出ないことや、「オンラインでできるのに、なぜわざわざ外で?」という声もあります。これも、良くも悪くもコロナの影響ですね。

金子(武蔵塗料):昔は「引き出し」を増やすために、いろんな場所に出かけて経験を積んでいたと思います。でも今は、ネットで簡単に情報を探せるので、引き出し自体が少なくなったのかもしれません。情報はたくさんあるけど、それをどう活用するかが課題ですね。

大澤(JAFCA):そうですね。今は情報を得るために、まず検索しなければいけない。でも、その検索キーワードを見つけるには体験が必要です。
例えば、「質感ハンティング」のように、身近な場所でも新しい視点で物事を見て感覚を磨くことが大事だと思います。遊んだり、いろいろなことを身をもって体験することで、脳が活性化して新しい発想が生まれるのではないかなと。


❸行動力と妄想力で、自分らしいクリエイティブを!


金子(武蔵塗料):JAFCAでは今後、どのようなことを発信していこうと考えていますか?

大澤(JAFCA):現在の悩みは、素材感を上手く発信できないことです。
イメージビジュアルで創造を膨らませてくれる人が減少しており、それだけでは具体的な素材感を伝えきれません。より具体的な素材感が求められていますが、予算の制約が大きな課題です。素材感に合わせた色見本を作成しようとすると、膨大なコストがかかってしまいます。
また、リアルに制作してくれるところもほとんどなくなっているため、非常に辛い状況です。これが今の一番の課題です。
しかし、においや曲を作る取り組みは続けていきたいと思っています。五感にどう伝えていくかが今後の重要な課題です。

素材感を伝えることは難しい・・・

金子(武蔵塗料):それは確かに難しいですね。
素材という観点から、来年の新しい色が発表された際には、ハローブルーのように塗料でサンプルを展開しても良いと思いました。

大澤(JAFCA):そのサンプルをサイトで紹介したり、イベントに貸し出したりすることで協力できればと思います。一緒に企画して、五感教育プロジェクトを進められると良いですね。
実は、10月から『耳で見る色』というタイトルのポッドキャストを始めました。月に1回、色を言語化する、ひいては五感で感じることを言語化する、その能力を磨くための番組を作りたいと思っています。

『耳で見る色』 (Radio Jockey: JAFCA)
耳をとおして五感を磨く番組です。色彩の専門家が、五感の言語化に果敢に挑戦します!
下記の配信プラットフォームより、お聴きください。
Spotify

金子(武蔵塗料):最後にデザイナーに向けてメッセージはありますか?

大澤(JAFCA):デザイナーの皆さんには、ぜひ「体を動かす」ことをお勧めしたいです。自分自身で感じ取り、それを膨らませてストックすることが大切です。行動力を引き出すためには、きっかけが必要かもしれません。思い立ったことがあれば、すぐに動いてみてください。
今の時代、独立を目指す人も増えていますが、それが必ずしも悪いわけではありません。個人の成長につながるのであれば、それも良いことです。外部の人が企業に刺激を与えることで、デザイン界全体が盛り上がっていくのが理想ですね。
私たちも体験を重視し、そのための発信をしていきたいと考えています。この発信がきっかけになり、デザイナーの皆さんが新たなインスピレーションを得る手助けになればと思っています。
しかし、最近は想像力が不足しているなと感じることが増えています。そのため、「想像力を高めるためには何が必要か」を考える良い機会だと思っています。

金子(武蔵塗料):想像力とは…妄想のことですか?

大澤(JAFCA):そうですね。妄想を少しずつ具現化していくことが、アイデアやクリエイティブにつながると思います。妄想する気持ちがないと、そこにはたどり着けません。初めから小さくなってしまうと、面白くないですからね。妄想力の豊かな人を募集中です(笑)。

金子(武蔵塗料):確かに、大きな妄想を描いても、実際にはそれが小さくなることが多いですね。
デザインの世界では、自分のやりたいことの30%が製品に表現できたら良しとされることが多いです。70%は様々な条件によって実現できないことが多いですし、そうした制約があるのは仕方がないことです。
自分のやりたいことの30%が表現できたら、自分にとってのデザインは大成功だと考えています。それを実現するためには、思いを大きくし、そのためのアイデアや情熱を持たなければなりません。

大澤(JAFCA):まさに、クリエイティビティとは妄想そのものですね。素晴らしい考えです。

妄想を具現化する




【JAFCA×武蔵塗料】「Episode4:デザイナーの皆様へ、JAFCAからのメッセージ」は、以上となります。

この記事をお読みいただき、心より感謝いたします

【デザイナーが自分らしくクリエイティブするために(全4回)】は、これにて終了になります。いかがでしたでしょうか?
この対談記事を通じて、皆様に「クリエイティブな活動における体験の重要性」や「デザイナーとしての自分らしさ」を見つけるためのヒントをお伝えできれば幸いです。また、協力いただいたJAFCAの大澤様に心より感謝申し上げます。

これからもnoteを通じて、様々な取り組みやアイデアを発信していきますので、引き続き注目いただければ幸いです。皆様の今後のクリエイティブな活動に少しでもお役に立てることを心から願っています。


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