シルク その奥深い世界
こんばんは。今日も一日お疲れ様です。
今日は、「シルク伝道師協会 設立記念イベント」に伺わせていただきました。
着物リメイクアーティストの原田世子さんが誘ってくださったのですが、とても奥深い世界に魅了されました。
映画『シルク 時空(とき)を超えて』
最初に映画『シルク 時空(とき)を超えて』の上映と、熊谷友幸監督や協会会長の中谷比佐子先生のトークセッションがありました。
シルクは、蚕の繭から、糸をより合わせて一本の糸にしていく工程を経て製糸されます。蚕種(さんしゅ)と呼ばれる卵から、成虫して繭になり、繭から糸をより出して製糸される。
どの工程をとっても、とても大事に大事に、手間暇をかけていました。
そうして作られた生糸や、時には蚕種が海外に輸出され、アメリカやフランスの産業を救い、隆盛させていく。
シルクに関わる人たちの深い想いや、国を超えて繋がるご縁の深さを、映像から感じさせていただきました。
絹糸の構造
繭の一本の糸は、2種類のタンパク質で構成され、フィブロインをセリシンが囲む形で作られています。
面白かったのは、フィブロインというタンパク質も、さらに微細なフィブリルという糸状のもので作られているそうです。
繊維の中に繊維が入っているフラクタル構造で、びっくりしました。
そうした構造であるが故に、最強の強度を誇っているそうです。
経営者の想い
シルクについて知れば知るほど、面白いし、胸熱になりますが、当時の製糸工場の経営者の想いにも感動しました。
糸を手作業で繭からより出す作業をする女工さんは、20歳未満の少女たちです。その女工さんたちに、読み書きや裁縫などを教える時間も作っていたそうです。寺子屋が工場に併設されているような、学んでいる少女たちの実際の写真が何枚も紹介されていました。
監督の話では、確かに「女工哀史」のような過酷な労働環境もあったが、それだけではなく、岡谷では、経営者がアメリカの一大産業となった織物工場に視察にいき、労働者福祉や手厚い福利厚生を行っているのを学び、実施していたのだとか。
「あゝ野麦峠」に描かれていた女工さんの姿は本当にそうだったのか?という疑問が、地元出身の監督が映画を撮る出発点でした。
良い糸を作るために工場で働く女工さんを育て、エンゲージメントを高めるために福利厚生やウエルネスを手厚くする経営者の想いが伝わってきて、感動でした。
たくさんの女工さんが温泉に入れるように、プールのような浴場まであったそうです。
日本の近代化を支えた製糸業が繁栄していたのは、明治から昭和初期にかけてです。
映画の冒頭では、実際に女工さんとして働いていた90歳を超える女性が、仕事が楽しかった、と、嬉しそうに話されていました。
新しい世代
トークセッションの聞き手は、着物姿の素敵な高校生でした。
同世代に和の文化を広めたいと話されていました。
今、養蚕業を継承している若い世代の方のお話も、明日あるそうです。
シルクが化粧品に使われたり、和の文化の継承や復興も、新しい形で盛んになっていくのを感じます。
今日は何より、古くからの友人、原田さんのご活躍を拝見できて胸が熱くなりました。
協会の副会長も務められていて、もともと着物を尊び、和の文化を継承されておられましたが、その道に入ることで素晴らしい開花をされた姿を拝見させていただきました。また学ばせていただきたいです。
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