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了巷説百物語を読んだ感想

1997年に連載開始。
2024年に書き下ろしを含めて完結したシリーズ。
実に30年弱も続いた長寿小説。
なお2024年、今年は京極夏彦デビュウ30周年。

久々に又市級に魅力的な主人公の稲荷藤兵衛とうかとうべえ
京極夏彦のオリキャラだと思ったら利根川図志に書いてある民話の登場人物らしい。
noteに完結記念の京極夏彦インタビュウ記事が上がっている。
正直、このシリーズはのちの巷説百物語で完結してて、残りは蛇足だと思ってる。
実際、京極夏彦はそのつもりだったと証言2:13している。

百鬼夜行シリーズが画図百鬼夜行を素材にしてるのに対して、巷説百物語は絵本百物語を素材にしてる。
歌川国芳「源頼光 四天王 土蜘蛛退治之図」がちょいとした小ネタになっている。
先日、日本史と格闘技を合わせた漫画修羅の刻 酒呑童子編を読んだばかりなので、個人的にタイムリィで笑った。

良く通る声。
能く通る声。
両方の表現があった。
意図はわからない。
昔は、善く通る声、だった気がする。

ルビと禁則事項のインタビュウで、巷説百物語は「言う」と書かずに「云う」と書く、と答えていたけれど、今回は「言う」だった。どんな心変わりが?

京極堂こと中禅寺秋彦の先祖キャラである中禪寺洲齋の出番が多過ぎる。
これもう巷説百物語と言うより百鬼夜行の外伝と言う感じ。
鵺の碑では又市側はこんなに扱いが良くなかったのに。

最後の仕掛けくらいは又市の出番が欲しかった。
稲荷藤兵衛との邂逅のためとは言え、少し寂しい。

27年も続いたシリーズもこれで終わり。
——御行奉為おんぎょうしたてまつる

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